枢軸特急トルマリン=ソジャーナー 異世界逗留者のインクライン

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エトワール・ノワールの燭光 ⑨ 七つの大罪(後編)

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 ■ 虚無山上空(承前)
 悪魔の総領ルキフを断罪すべく、望萌が鉄槌を下した。機体を離れた誘導弾は狙いたがわず、目標を目指す。それが引きずっているどす黒い罪業をおいかけていく。
 ヘッドアップディスプレイに時刻表示が浮かび上がる。接敵十秒前。命中までに一秒一秒が緩慢に感じる。
 ハーベルトは考えた。

 罪業とは悪徳の集大成である。しかし、何をもって善悪を峻別するのだろうか。生きとし生ける者には須らく生存欲求がつきまとう。なんじ殺生するなかれ。人を怨むより身を怨め。人を呪わば穴二つ。などと諫めてみても、人間はホルモンを分泌するために動物性たんぱく質を採るし、獲物を騙し討ちする。健全な競争社会を支えているのは他人に対する妬みだろう。
 なかんずく、物欲は飢餓に備えた防衛本能のあらわれである。生存欲求を極めたつわものが地獄に投げ入れられ、むごい裁きを受ける。彼らは「生きること」を――その方法論が社会通念上から逸脱してるとはいえ――追求した。
 断罪者どもは、それを「償え」というのだ。欲望を捨てよ。心清らかであれと。
 すなわち、それは、生命活動を停止すること――死に他ならない。では、地獄の摂理に屈服したとしよう。生存を放棄して冥界に滞留する。すると、やがて罪人の流入が停止し、地獄そのものの存在理由レーゾンデートルがなくなってしまう。
 それこそ、罪悪ではないのか。諸悪の根源は死、そのものにある。だが、死なかりせば、何事も生まれない。
 よどんだ思索の中に澄んだ男声が割り込んできた。
『その矛盾をどう解決すればいい? ハーベルト』
 名指しされて彼女は身をすくめた。そして動揺を悟られまいと力強く即答する。
「熱力学第二法則の克服よ。それ以外にあり得ない」
『よかろう。 汝と我々の到達点は一致した。いしゆみを降ろされよ』
 穏やかな口調に促されてハーベルトは誘導ミサイルのキャンセルボタンに手をかけた。
『そうだ。その無骨で稚拙な鳥籠から這い出て、我の袂へ飛び込むのだ』
 ハーベルトは恍惚とした表情でシートベルトを緩めた。世界は純粋な煌めきに満ちて、彼女の心を軽くしてくれる。
「……ルト。―ベルト。ハーベルト!!」
 呼び声が鼓膜に突き刺さった。次の瞬間、衝撃がハーベルトを蹴り上げた。
「――なっ?!」
 ありとあらゆる喧騒が堰を切った。警報や爆音や交信内容がどっと押し寄せる。ダイマー共有視界の隅で馬の鞍に似た物体がクルクルと輝いている。
 その前をF-18が横切る。自分の乗機だ。前席は無人で風防キャノピーが外れている。いつの間に放り出されたのだろう。
 共有聴覚から祥子が呼びかけてきた。
 ”ハーベルト。キミはもう帰って休んだら?”
 ”どういうことなの?!”
 ”ルキフの幻術に土壇場でやられたんだよ。百戦錬磨のキミらしくない”
 祥子はとっさの判断で前部シートの射出装置を作動させたのだ。幸いなことにミサイルはまだ発射されておらず、他の機体も異常はない。ずんぐりむっくりしたプロペラ機が近づいてくる。空母ライトの艦上輸送機グラマンC2グレイハウンド。逆三角形にくびれた後部ローディングドアが開き、枢軸兵がハーベルトを招き入れた。
 ”祥子。貴女だけで大丈夫? っていうか、どうやって幻惑を破ったの?”
 遠ざかるホーネットにハーベルトが疑問をぶつけると”全然平気。忘れたのかい? ボクはリンドバーグの壁と親和性があるらしいから”と頼もしい答えが返ってきた。
 ■ ALX427ψ
 車内は神々しい輝きに満ち溢れ、鬼哭は初めて見る地上の光にすっかり心を奪われていた。剥落する俗世と蓄積した地獄が激しくせめぎあい、真逆の欲望が衝突する。スペースX社のオーマイゴッド粒子レーザーが地獄に地殻変動をもたらしている。
 ALX427ψは真っ直ぐに光の渦動を突き抜ける。その先に約束の地マランツがある。
 高美はカネやモノを崇拝する唯物論者だ。こういう抹香臭い雰囲気に馴染めない。進行中の現象はすべて物理的な背景がある、と頭ではわかっていても生理的に受け付けない。
「うるさい蜂どもは巻いたの?」
 高美が百裂鬼どもを現実に引き戻した。
「純色の理論は完成した。雌餓鬼どもは臆病風に吹かれている。いい眺めだ。酒でも呑まんか」
 鬼哭は豪胆に笑い飛ばし、盃を傾けた。
「そうよ。【マランツ】に着いたら、ハイパー核に掘削機を召喚して貰わなくちゃ。それが嫌で私の理論にケチをつけるわけ?」
 女は生まれながらにして不定愁訴を抱えている。邨埜純色は御多分に漏れず、痛くもない腹を探りはじめた。これに対して、プライドを傷つけられた、と怒るのも、また女性心理だ。
「フン。ぶっちゃけ赤字覚悟で『科学技術振興』のために協力してあげてるの。能ある研究者はちゃんとした研究機関に勤めて『それなり』の予算を確保しているわ。パトロンなんかに頼りゃしない。ねぇ。ペーペーの田舎学者!」
 酒癖の悪い高美が、かつて仇敵ライバルにした様に絡み始めた。
「何よ!」
 純色が高美の頬を打ち、やられた側が倍返しした。たちまち取っ組み合いが始まる。
「やめんか! 二人とも!!」
 鬼哭が声を荒げるが、百裂鬼たちは鼻の下を長くして無料のキャットファイトを楽しんでいる。
 そのどさくさに紛れてマドレーヌはそっと席を外した。
「単細胞どもがここまでベタだとは思わなかった。実に優秀な単細胞。天然記念物ものだわ」
 彼女は周到な脚本を用意しているらしく、進行を楽しんでいるようだ。クスクス笑いを残していずこかへ消えた。
 ■ TWX666Ω 戦闘指揮車両
 砂時計型の竜巻が地獄と現世を連絡している。その軸に沿って鉄道連隊が異世界間軌道を仮設した。トワイライトエクリプスはALX427ψを遠くに見ながら併走を続ける。
「直接攻撃が無理なら、搦め手でいくわよ。作戦は単純明快。豊穣世界のシックスナイン装置は覚えているわよね? カリフォルニウム核で悪魔どもも鳴き砂を吹き飛ばしてくれるわ!」
 ハーベルトが合図すると、地上で起爆装置が作動した。ちょうどブライトリングでは世界的な平和式典が開かれている。シックスナイン装置が不要になった世界を盛大に祝っているのだ。だだっ広い会場に現存する最後のシックスナイン装置が陳列され、仕掛けられた火薬が爆発する。
 めでたく廃止しぼうしたシックスナイン装置は機械的な未練と化して地獄に落ちてきた。そして、彼岸上空で炸裂。本懐を遂げた。
 衝撃波で空中の鳴き砂が吹き払われ、スクリーンが機能を失った。空中都市が消え、ぐらりと砂時計が傾く。
 崩れ落ちていく軌道の上でALX427ψは七転八倒した。鬼哭を踏み台にして純色が優位に立つ。奪い取った棍棒を高美に向ける。「田舎者に私を殺すだけのスタミナはあるの? どうせ、山菜ばっかり食ってた癖に」
 高美がからかうと棍棒が壁に突き刺さった。
「ちょうど、このゴタゴタで私の理論が完璧になったわ」
 純色は掌のカロリーメーターを操ってヒョイと棍棒を引っこ抜く。
「運命量子色の中でも黒は別格なのよ。取り扱いが難しい。すべての量子カラーが黒にひれ伏すと言っていい。私はその扱いに難儀していたけど、この騒動がヒントをくれた」
 棍棒が放物線を描いて高美の頭上にピタリと浮かんだ。ひぃっと小さく悲鳴があがる。
「人間よ。心の闇こそがQCDの本質なのよ」
 田舎学者はそういうと、万歳をした。操り人形を手繰り寄せるように高美が起立し、壁に叩きつけられる。
「ま、待ちなさいよ」
 よろよろと立ち上がる高美。待ってましたとばかりに純色が言い放つ。
「貴女は【マランツ】に行けない」
「は?」
「だって、あなた……」
 意味深げに言葉を濁す。高美はうすうす感づいているようだ。怯えた子犬の目をしている。
「あなた……」
「ひぃっ、やめて!」
「あなた、死んでいるんだもの」
 現世と来世が激しく混ざり合う。ゲルマニア謹製スーパーホーネットの制御系は優秀だ。地獄の乱気流を飄々と掛け抜ける。悪魔軍団は混乱のため統率を欠いており、各個撃破に期待が持てる。
 赤紫色の雲をかき分けて三機のエキゾーストがたなびく。曇天を透かし鈍色の太陽が僅かばかりの光と熱を分け与える。鳴き砂の雲を切り裂き、罪悪の象徴がじわじわと浮かび上がってきた。はじめは、鳴き砂の塊に見えた。それは編隊の前方で散り散りになったかとおもうと、あっという間に祥子たちを取り囲んだ。敵味方識別装置が微細な粉塵を認識した。
 小さな昆虫、蠅だ。
「暴食の化身、ベルゼブブよ」、と望萌。
 黒い雀蜂が辛うじて罠から逃れる。「暴食には節制を!」
 ホーネットの爆弾架から空対空ミサイルが放たれる。ベルゼブブは豚や虎の眷属を繰り出して牽制する。だが、ミサイルは節制のQCDを浴びせかける。蠅はベルゼブブもろとも雲散霧消した。
「そっち、荒井先生」
 祥子が嫉妬の悪魔を追う。アグアスは犬と猫を従えている。彼らは連携して荒井機を挟撃する。ホーネットがアフターバーナーを吹かして犬の魔物をやり過ごせば、猫が遥か高みから襲い掛かる。終わる見込みのない逃走劇。そこに一匹の雀蜂が加わる。魔物どもの興味は祥子のホーネットに移った。大きくターンして、犬猫の群れを背後から襲う。その隙に風吹が窮地を脱する。攻守が逆転した。今度は祥子のミサイルに追いかけられる羽目になった。
「アグアスには忍耐」
 悪魔どもは雲の水平線に追い立てられていった。遠くの空が明滅した。
「マモンとアスモスデウスはまとめて殺って」
 望萌がアイスコーヒーを追加注文するように言う。そんな言葉を平気で口にするなんて、と風吹は顔をしかめる。だが、話し合いや説得で引き下がるような連中ではない。相手は悪魔だ。
 悪魔だと判っているのだけど……
 こんなの一方的だ。いくら、相手が魔物だとしても強硬手段で虐殺してよいものだろうか。人間にあだをなすからには、それなりの動機が有るはずだ。彼らには魔法を操る知能があるのだから。
「先生! 危ない!!」
 荒井が逡巡していると、強欲のマモンが急降下してきた。嘴が鋭いカラスとハリネズミを従えている。一気に風防を突き破る気だ。
「危ないって言ってるでしょう!」
 望萌が黒い雀蜂を割り込ませた。
「望萌さん!」
 風吹が叫ぶ。ハリネズミがホーネットの主翼に突き刺さり、カラスが風防に舞い降りる。コツコツと嘴で乱れ撃つ。
「先生。早く逃げて!!」
「だって!」
「後ろを見て。ALX427ψが行ってしまうわ!!」
 後部座席から有無を言わさず、留萌が操縦桿をロック。副操縦席に権限を全て集中し、アフターバーナーに点火した。
「そんな。望萌さん!」
 女教師が後ろ髪を引かれる思いでいる間に黒い雀蜂が遠ざかっていく。
 連合軍専用列車ALX427ψ。残りの魔物と百裂鬼を引き連れて、地獄の一丁目を目指す。堕落のイリュージョンは晴れ、陽の光が射してきた。

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