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エトワール・ノワールの燭光⑩ 最終話
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天地をひっくり返す文字通りの大異変がリアルタイムで進行している。
地獄からの脱出。この、創造神話が想定していなかった未曾有の事態に多元並行世界はついていけない。ハーベルトが持ち込んだシックスナイン装置が奏効して鳴き砂を消し飛ばしたものの、今度は異世界固有の復元力が混乱に拍車をかけた。
異世界をつなぐワールドチューブの内側は時制が混乱し、可能と不可能が激しく入れ替わる。
確率変動の摩擦熱は事象の上昇気流を生み出した。
虚無山があった場所から人間の顔をちりばめた雲が噴きあがる。それらはALX427ψを羨望の眼でみつめ、ひょろ長い腕を伸ばした。
ねばねばした胞子が列車を追いかけていく。しかし、天の光がそいつらを焼き払った。
「オーマイゴッド粒子?!」
高美は燃え尽きていく霊魂を車窓から振り返り、己の運命に重ねた。「甦り」は神意に反する行為なのだろうか。今までは復活を諦めておとなしく亡者ライフを満喫することもできただろう。
だが、選択肢が潰えた今、彼女には永遠の死しかない。
「いやよ! 霊魂喪失だけは、嫌ぁぁっ!」
霊魂は幽子情報系という基本粒子に還元され、新しい生命の素になる。それが不死野高美という人格の不可逆的な死を意味する。自分の自我が永遠に失われてしまう。言葉にできない恐怖が高美を押しつぶしていく。
「助けて! どうにかならないの? 助けて!!」
「ギャーギャーうるせえ!」
たまりかねた鬼哭が高美を踏みつけた。ギャッと短い悲鳴をあげたきり、動かなくなった。
「じき復活する。罪人は何度でも半殺しに逢うんだ。永遠にな」
百裂鬼は死体を無造作に蹴り転がし、席に戻った。
「地獄を脱するまでは貴重なサンプルよ。どうなるか記録しておいて」
純色は冷静沈着な観察を命じた。ALX427ψは地獄の崩壊を追い風にして理想郷に向かう。行く手を阻むものは何もない。
■ 虚無山上空 交戦空域
マモンの眷属を引きはがそうとスーパーホーネットが悪戦苦闘している。射撃統制装置を精密照準モードにしてカラスを一匹ずつ狙い撃つ。だが、望萌の機体を気遣うあまり、踏み込んだ攻撃ができない。おまけに多勢に無勢だ。
「望萌がつかまった! ハーベルト!!」
祥子はTWX666Ωに援護を求めた。
返事がない。
「ハーベルト! 望萌が霊魂喪失しちゃうよ!! 聞いてるの?!!!」
「前に進みなさい!」
彼女は妥協しない姿勢を示した。「嫌だ。ボクは望萌を……!」
命令無視は想定済だ。ハーベルトは有無を言わさず強制帰還プログラムを送信した。ホーネットの射撃統制装置が沈黙し、方向舵が翼を翻す。荒井の機体も同調する。
「望萌ーーー……!」
アフターバナーが吼え、祥子の叫びを掻き消し、猛烈な加重がのしかかる。網膜が充血し、視界が闇に閉ざされた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
TWX666Ωの屋根部分がいぶし銀に輝いた。特性の発電板がオーマイゴッド粒子の輻射を動力に変換する。機関車は地獄の重力に引き込まれまいと、首の骨が折れるほどの加速を続けている。随伴する空母ライトがF-18を収容した。
■ 航空母艦ライト格納庫
「ハーベルトはこうやって何人もの異世界逗留者をロストさせてきたんだね」
やるせない気分でヘルメットを脱ぐ祥子。
「いいえ。望萌と閣下は特別な関係です。私は信じています」
留萌が言葉少なに語った。ハーベルトはいったい何者なのか。彼女が抱える闇は計り知れない。
やがて、冥界の頂点が見えてきた。賽の河原、彼岸、地獄の一丁目一番地。様々な名前で呼ばれている生死の境界線。
とうとうと流れる大河を挟んで岩だらけの大地が続いている。
二つの路線は川の手前で合流している。鉄道連隊が連合側の軌道を付け替えた。
TWX666Ωがカーブの途中で急停車する。
「ATSが異常検知? 何なの??」
ALX427ψが急ブレーキ。鼻先を突きつける。
「待ってました。ここから先は通さない」
ハーベルトが線路上に立ちふさがる。
「トロイメライとか名乗ってるそうね? 蛆虫」
先頭車両から純色がひらりと降りる。
「蛆虫、などという姓はドイッチェラントにありません。運命量子色力学者さん」
「ああら。随分と物知りのようですこと。移民のなりすましさんが、ALX427ψに何の御用ですの? ホウ素12が欲しいのなら、手荒な手段に訴えずともセミナーに出席すればよろしくてよ。列車強盗さン↑?」
純色は馬鹿にしたように語尾のアクセントをあげた。
「うっさいわね! ヤンガードライアス彗星の残骸を独占した癖に。盗人猛々しいとはお前のことよ!!」
ハーベルトが柔和路線をかなぐり捨てて声を荒げる。
「彗星? 何のことかし……」
「バックレるんじゃねーよ!!」
甲高い声が純色を怒鳴りつけた。
「望萌?!」
ハーベルトが周囲を見回す。
カァンと金属片がQCD学者の前に転がる。
切り立った崖の上にボロ布のような塊がうごめいていた。翼を背負った二足歩行生物。ツルツル頭から爪先まで泥人形の様に汚れている。足の付け根から隠すべき部分にかけて、絞った雑巾のような物が張り付いている。起伏に乏しい胸。干しブドウのような突起。
異世界逗留者達だ。
「それ、おばさんのだろ?」
ズタボロの望萌が眉を吊り上げる。純色はその残骸に見覚えがあった。
「マモン? マモンの鎧じゃないか?! おまえ、よくも!!!」
彼女は眷属の変わり果てた姿に涙した。
「そうだよ。どえらい硬い奴だった。ホーネット一台お釈迦にしちゃったけどね……閣下、ごめん!」
ハゲ天使はハーベルトに頭を下げた。
彼女は気にせず、純色に問いただす。
「身をもって人間の腹黒さを実演して下さるとは、ずーいぶん教育熱心な先生ね」
「何を言っているの?」
「とぼけるんじゃねーよ。地獄の崩壊を装って、トンズラを企むとは図々しいにもほどがあるわ!」
洗いざらい望萌がぶちまけた。
彼女によれば、邨埜純色は百裂鬼と不知火高美をたぶらかしてハイパー核の持ち逃げを画策した。百裂鬼をマランツに案内すると見せかけて、高美からは異世界異物召喚の技術を、百裂鬼からは亡者の使役と物流ノウハウを、自らの立場を利用してQCD理論の完成を図った。そして、地獄ブラックホールの実証実験を通じて効率的かつ画期的なハイパー核の入手方法を編み出した。
費用と労力のかかる採掘ではなく「スピリチュアル」な形でかき集めればいいのだ。
一連の技術が完成したところで、百裂鬼たちを【マランツ】に追い出せばいい。純色はハイパー核の鉱脈を複数の異世界に見出している。【マランツ】だけではない。
「お前は地獄の崩壊のエネルギーを逆用して、この『地獄そのもの』を乗り逃げしようと考えていたでしょ?」
望萌が一気にまくしたてる。
「く、口から出まかせを……いったい誰がそんな事を」
「出鱈目な妄想じゃないわ。マモンに褒美を与えたのが運の尽きよ。鉱脈のことを教えてあげたら、彼、『これっぽっちの報酬で』って怒ってたわよ」
マモンの鎧だった物を望萌が見やる。ホウ素12Λハイパー核が緑色の輝きを放っている。
「ぐぬぬぬ……」
純色はぐうの音も出ない。
「人間の暗黒面を探求する学問じたいがブラック化してちゃ、世話ないわ」
ハーベルトがお腹を抱えて笑う。
「やかましいわ!」
進退窮まった純色はカロリーメーターをTWX666Ωに向けた。
と、その時、割れ鐘のような怒号が渦巻いて、大地が打ち震えた。鬼どもが金棒を掲げ、わらわらと列車周辺を埋め尽くす。
「とうとう、鬼哭にも見捨てられたわね」
ハーベルトが憐れむと、いきなり棍棒が飛んできた。
「なっ?!」
鬼の一族はALX427ψを護るように隊列を組んだ。
「鬼哭? いったいどういう」
「純色、いいから列車を出せ! 俺たちはお前についていく」
百裂鬼が言い終わるやいなや、悪魔どもがTWX666に襲い掛かった。
「待避線へ!」
ハーベルトが誘導弾の斉射を命じる。サトゥンとルキフが劫火に包まれている間に列車は後退する。爆風が砂塵を巻き上げ、煙幕になってくれる。TWX666Ωは猛スピードで地獄圏外へ離脱する。
望萌は鬼哭がてっきり反乱を起こすと踏んでいたのだが――。
「鬼哭って器量の大きい奴だったのね」
「意外だったわ」、とハーベルト。
はからずもALX427ψを取り逃がしてしまう事態を招いたが、彼らの終着駅が敗北である事には変わりない。
ハーベルトは報告書をしたため、ゲルマニアの大総統府に進むべき路線を伺うのだった。
地獄からの脱出。この、創造神話が想定していなかった未曾有の事態に多元並行世界はついていけない。ハーベルトが持ち込んだシックスナイン装置が奏効して鳴き砂を消し飛ばしたものの、今度は異世界固有の復元力が混乱に拍車をかけた。
異世界をつなぐワールドチューブの内側は時制が混乱し、可能と不可能が激しく入れ替わる。
確率変動の摩擦熱は事象の上昇気流を生み出した。
虚無山があった場所から人間の顔をちりばめた雲が噴きあがる。それらはALX427ψを羨望の眼でみつめ、ひょろ長い腕を伸ばした。
ねばねばした胞子が列車を追いかけていく。しかし、天の光がそいつらを焼き払った。
「オーマイゴッド粒子?!」
高美は燃え尽きていく霊魂を車窓から振り返り、己の運命に重ねた。「甦り」は神意に反する行為なのだろうか。今までは復活を諦めておとなしく亡者ライフを満喫することもできただろう。
だが、選択肢が潰えた今、彼女には永遠の死しかない。
「いやよ! 霊魂喪失だけは、嫌ぁぁっ!」
霊魂は幽子情報系という基本粒子に還元され、新しい生命の素になる。それが不死野高美という人格の不可逆的な死を意味する。自分の自我が永遠に失われてしまう。言葉にできない恐怖が高美を押しつぶしていく。
「助けて! どうにかならないの? 助けて!!」
「ギャーギャーうるせえ!」
たまりかねた鬼哭が高美を踏みつけた。ギャッと短い悲鳴をあげたきり、動かなくなった。
「じき復活する。罪人は何度でも半殺しに逢うんだ。永遠にな」
百裂鬼は死体を無造作に蹴り転がし、席に戻った。
「地獄を脱するまでは貴重なサンプルよ。どうなるか記録しておいて」
純色は冷静沈着な観察を命じた。ALX427ψは地獄の崩壊を追い風にして理想郷に向かう。行く手を阻むものは何もない。
■ 虚無山上空 交戦空域
マモンの眷属を引きはがそうとスーパーホーネットが悪戦苦闘している。射撃統制装置を精密照準モードにしてカラスを一匹ずつ狙い撃つ。だが、望萌の機体を気遣うあまり、踏み込んだ攻撃ができない。おまけに多勢に無勢だ。
「望萌がつかまった! ハーベルト!!」
祥子はTWX666Ωに援護を求めた。
返事がない。
「ハーベルト! 望萌が霊魂喪失しちゃうよ!! 聞いてるの?!!!」
「前に進みなさい!」
彼女は妥協しない姿勢を示した。「嫌だ。ボクは望萌を……!」
命令無視は想定済だ。ハーベルトは有無を言わさず強制帰還プログラムを送信した。ホーネットの射撃統制装置が沈黙し、方向舵が翼を翻す。荒井の機体も同調する。
「望萌ーーー……!」
アフターバナーが吼え、祥子の叫びを掻き消し、猛烈な加重がのしかかる。網膜が充血し、視界が闇に閉ざされた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
TWX666Ωの屋根部分がいぶし銀に輝いた。特性の発電板がオーマイゴッド粒子の輻射を動力に変換する。機関車は地獄の重力に引き込まれまいと、首の骨が折れるほどの加速を続けている。随伴する空母ライトがF-18を収容した。
■ 航空母艦ライト格納庫
「ハーベルトはこうやって何人もの異世界逗留者をロストさせてきたんだね」
やるせない気分でヘルメットを脱ぐ祥子。
「いいえ。望萌と閣下は特別な関係です。私は信じています」
留萌が言葉少なに語った。ハーベルトはいったい何者なのか。彼女が抱える闇は計り知れない。
やがて、冥界の頂点が見えてきた。賽の河原、彼岸、地獄の一丁目一番地。様々な名前で呼ばれている生死の境界線。
とうとうと流れる大河を挟んで岩だらけの大地が続いている。
二つの路線は川の手前で合流している。鉄道連隊が連合側の軌道を付け替えた。
TWX666Ωがカーブの途中で急停車する。
「ATSが異常検知? 何なの??」
ALX427ψが急ブレーキ。鼻先を突きつける。
「待ってました。ここから先は通さない」
ハーベルトが線路上に立ちふさがる。
「トロイメライとか名乗ってるそうね? 蛆虫」
先頭車両から純色がひらりと降りる。
「蛆虫、などという姓はドイッチェラントにありません。運命量子色力学者さん」
「ああら。随分と物知りのようですこと。移民のなりすましさんが、ALX427ψに何の御用ですの? ホウ素12が欲しいのなら、手荒な手段に訴えずともセミナーに出席すればよろしくてよ。列車強盗さン↑?」
純色は馬鹿にしたように語尾のアクセントをあげた。
「うっさいわね! ヤンガードライアス彗星の残骸を独占した癖に。盗人猛々しいとはお前のことよ!!」
ハーベルトが柔和路線をかなぐり捨てて声を荒げる。
「彗星? 何のことかし……」
「バックレるんじゃねーよ!!」
甲高い声が純色を怒鳴りつけた。
「望萌?!」
ハーベルトが周囲を見回す。
カァンと金属片がQCD学者の前に転がる。
切り立った崖の上にボロ布のような塊がうごめいていた。翼を背負った二足歩行生物。ツルツル頭から爪先まで泥人形の様に汚れている。足の付け根から隠すべき部分にかけて、絞った雑巾のような物が張り付いている。起伏に乏しい胸。干しブドウのような突起。
異世界逗留者達だ。
「それ、おばさんのだろ?」
ズタボロの望萌が眉を吊り上げる。純色はその残骸に見覚えがあった。
「マモン? マモンの鎧じゃないか?! おまえ、よくも!!!」
彼女は眷属の変わり果てた姿に涙した。
「そうだよ。どえらい硬い奴だった。ホーネット一台お釈迦にしちゃったけどね……閣下、ごめん!」
ハゲ天使はハーベルトに頭を下げた。
彼女は気にせず、純色に問いただす。
「身をもって人間の腹黒さを実演して下さるとは、ずーいぶん教育熱心な先生ね」
「何を言っているの?」
「とぼけるんじゃねーよ。地獄の崩壊を装って、トンズラを企むとは図々しいにもほどがあるわ!」
洗いざらい望萌がぶちまけた。
彼女によれば、邨埜純色は百裂鬼と不知火高美をたぶらかしてハイパー核の持ち逃げを画策した。百裂鬼をマランツに案内すると見せかけて、高美からは異世界異物召喚の技術を、百裂鬼からは亡者の使役と物流ノウハウを、自らの立場を利用してQCD理論の完成を図った。そして、地獄ブラックホールの実証実験を通じて効率的かつ画期的なハイパー核の入手方法を編み出した。
費用と労力のかかる採掘ではなく「スピリチュアル」な形でかき集めればいいのだ。
一連の技術が完成したところで、百裂鬼たちを【マランツ】に追い出せばいい。純色はハイパー核の鉱脈を複数の異世界に見出している。【マランツ】だけではない。
「お前は地獄の崩壊のエネルギーを逆用して、この『地獄そのもの』を乗り逃げしようと考えていたでしょ?」
望萌が一気にまくしたてる。
「く、口から出まかせを……いったい誰がそんな事を」
「出鱈目な妄想じゃないわ。マモンに褒美を与えたのが運の尽きよ。鉱脈のことを教えてあげたら、彼、『これっぽっちの報酬で』って怒ってたわよ」
マモンの鎧だった物を望萌が見やる。ホウ素12Λハイパー核が緑色の輝きを放っている。
「ぐぬぬぬ……」
純色はぐうの音も出ない。
「人間の暗黒面を探求する学問じたいがブラック化してちゃ、世話ないわ」
ハーベルトがお腹を抱えて笑う。
「やかましいわ!」
進退窮まった純色はカロリーメーターをTWX666Ωに向けた。
と、その時、割れ鐘のような怒号が渦巻いて、大地が打ち震えた。鬼どもが金棒を掲げ、わらわらと列車周辺を埋め尽くす。
「とうとう、鬼哭にも見捨てられたわね」
ハーベルトが憐れむと、いきなり棍棒が飛んできた。
「なっ?!」
鬼の一族はALX427ψを護るように隊列を組んだ。
「鬼哭? いったいどういう」
「純色、いいから列車を出せ! 俺たちはお前についていく」
百裂鬼が言い終わるやいなや、悪魔どもがTWX666に襲い掛かった。
「待避線へ!」
ハーベルトが誘導弾の斉射を命じる。サトゥンとルキフが劫火に包まれている間に列車は後退する。爆風が砂塵を巻き上げ、煙幕になってくれる。TWX666Ωは猛スピードで地獄圏外へ離脱する。
望萌は鬼哭がてっきり反乱を起こすと踏んでいたのだが――。
「鬼哭って器量の大きい奴だったのね」
「意外だったわ」、とハーベルト。
はからずもALX427ψを取り逃がしてしまう事態を招いたが、彼らの終着駅が敗北である事には変わりない。
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