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彗星発、永劫回帰線(マーサズ・ヴィニャード・ブレイクスルー・スターショット) ⑦ 小型帆船マーサズ・ヴィニャード
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■ レフレックス・ゼロ(承前)
「しかし、望萌君。まるで、こりゃあ小松崎茂か海野十三の口絵だ。ともかく空想科学の世界を目の当たりにするとは」
関東軍元将校・現ドイッチェラント特殊作戦軍司令官こと笠岡日生少佐は軽い見当識障害に見舞われた。
「笠岡さん。月刊『機械化』(※註 戦時下の青少年向に刊行された国策科学啓蒙雑誌)から飛び出した現実がここにあります」 望萌は平然と重火器を点検している。腰を屈めるたびにセーラー服のスカートからテニススコートと純白アンスコが見え隠れする。日本男児の鉄腸を蕩かす破廉恥とはまさにこのことだ。彼女たちの醜態と鉄面皮ぶりに殺意を感じたが、すぐさま此処が終戦の余波で生じた女性優遇社会である事実を思い出した。
米独混成部隊は着々と凍結遺体に対する攻撃準備を進めている。アメリカからは最新鋭の自走多連装ロケット砲M270。ドイッチェラントからは超ド級巨大戦車ラントクロイツァー P.1500「モンスター」が出張ってきている。
「主砲は口径80センチのドーラ砲。装甲圧は250ミリ、メインエンジンは2200馬力のディーゼルを四発」
ハーベルトは本初始祖世界において幻に終わった超兵器をウキウキと触っているる。
「それって、まさか、Uボートの?」
望萌がまさか、という顔をする。
「そうよ。な~んたって、クルップ製(※註ドイツ屈指の潜水艦メーカー)ですもの~。ドイッチェラントの造船技術は世界一ぃぃぃ」
彼女はそう言うと嬉々として整備を続けた。梯子をあがるたびに「パンモロ」したアンスコの裾から濃紺ブルマが顔を出す。
「とんでもない世界だ」
見かねた元シベリア拘留者が顔をしかめる。中にはハーベルトに銃を向ける者まで出る始末。ざわつきはじめた兵士たちを彼らの最高司令官が一喝した。
何たるや、後桜鳩女皇陛下その人である。凛とした声で並みいる将校を黙らせてしまう。その存在感は皇族特有のものであった。多元並行世界は第二次大戦と言う巨大な人類の愚行に反動として生じた。抑圧されてきた女性の深層心理がソースコードから多くの未来像を乖離させるに至った。原動力の呼び水になったのは、男系社会が主導した戦争に対する悪感情であり、物理学の作用反作用で説明がつくものだ。しかるに当地は女の天下である。郷に入っては郷に従え、と彼女はクドクドとお説教した。
女とはいえ、さすがに皇族に向かって引き金を絞る者はいない。兵士たちはしぶしぶ銃を降ろした。
「ねぇ。ハ~ベルト。この人たちを壊してしまうの?」
祥子は太古の巨人とはいえ、自分に似通った相手を攻撃する気になれない。氷漬けの死体は胎児のように体を丸め、尖った耳をこちらに向けている。色は黒ずんでブロンズ像そっくりであるが、目鼻立ちは祥子を象っている。
「破壊するんじゃなくて抹殺命令よ。大総統府は地底人類の斥候を殲滅する判断を下したの」
ハーベルトはきっぱりと眼前の脅威に対する温情を切り捨てた。国立研究所の見解によるとレフレックス・ゼロの傾斜は極めて近代――ぶっちゃけ、ここ数日ないし数時間以内に造られたものであり、自然景観とは考えにくい。かてて加えて気温その他の気象条件から、凍結防止措置なしでは遺体の腐敗を免れない。したがって、これは米国による捏造であるか、地底人の罠に違いないという。
「でも、さっき双眼鏡でひと通りスキャンしても生命反応が……」
邨埜純色は巨人の死亡を宣告したものの、ゲルマニアの没落令嬢に覆された。
「彼らを人間だと見くびると危険よ。だって聖書によれば、神と人の娘が咬合った結果でしょう。西洋医学は通用しない」 そう言っている内に、ネフィリムの一人がクワっと目を見開いた。魚のように死んだ瞳ではない。しっかりと混成部隊に焦点を当てている。
彼らの背骨がモゾモゾと蠢いた。一人、また一人とゆっくり頭をもたげる。
「えてして巨人はホモサピエンスの敵ではないわ。彼らは愚鈍、鈍重の代名詞よ。ゴリアテの伝説にいわく……」
ハーベルトが余裕でドーラ砲を旋回させると、後方から悲鳴があがった。羊飼いのダビデがペリシテ軍の巨漢に石礫で挑んだ逸話とはわけが違う。
彼らは見かけによらず俊敏で、人間の包囲網を楽々と飛び越えたのだ。正確な着地で歩兵部隊を踏み潰したあと、同じ攻撃が連続した。あっという間に混成部隊はゴリアテの人垣に取り巻かれた。
「ど~すんだよ。ハーベルト」
慌てふためく祥子をスルーして、純色に相談を持ち掛けた。
「ねぇ。貴女たちはどうやって対抗してきたの?」
「ええ。ハーベルト。わたしたちには立体機動できる翼なんてないから」
彼女はM2ブラッドレー兵員輸送車に反撃を命じた。
「こうするのよ!」
装甲車搭載ロケット・ランチャーがネフィリムに劫火を浴びせた。
■ カリフォルニア州サスーン湾 アメリカ国防予備艦隊
国防予備艦隊とは、米国が総力戦体制に突入した際に投入される予備艦艇である。退役した巡洋艦や平時に余剰となった艦船を動態保存して蓄えておき、いざとなれば数日で即応状態に復帰できる。「日刊駆逐艦、週刊戦艦」などと言われた第二次大戦真っ只中と違って、海軍の縮減によって、おいそれとは新造艦を調達できないためだ。その中に伏魔殿が混じっている。
かつてレインボープロジェクトという実験があった。1931年に始まったこの計画は天才と謳われた電気工学者ニコラ・テスラを中心に進められた。1940年の実験ではニューヨークのブルックリン海軍工廠において大成功をおさめた。大型の駆逐艦にテスラコイルという電磁石を搭載し、その磁場で船体を包み込んだ。主目的は消磁と言って、魚雷探知から身を隠すためである。それが予想以上の結果を招いた。地磁気を帯びた鋼鉄船をステルス化することで追跡の目を眩ませれば、それでよかったのだ。
だが、予想に反して艦は異世界へ飛ばされてしまった!
慌ててテスラコイルの電源を切って事なきを得たが、船は遠く離れたノーフォークに転移した。そればかりでなく、乗員は大火傷を負ったり発狂したり、あげくは壁にのめり込んだ兵士まで出た。当然ながら死んでいる。
事態を重く見た軍は船を封印し、計画を中断した。その呪われてる船がノートン七世の足元にある。
「ふ~ん、これが噂のエルドリッジ?」
未来のアメリカ皇帝はコツコツとハイヒールで甲板を踏み鳴らした。
「DE-171は謎や噂がびっしりと纏わりついています」
案内嬢は彼女を艦橋に昇る階段に連れて行った。踊り場で立ち止まり、壁を見やる。
「ねぇ、あなた。水兵がここからにょっきり生える、なんてあると思う?」
ジョアンナ・ノートンは片足を壁に押し当て、Yの字にのび上がって見せた。派手にスカートがめくりあがり、重ね履きしたパンツにしわが寄る。
「わたしは学芸員の資格しか持っておりませんので、そちらの方面はさっぱり。ですが、あり得ないと思います」
「なんで?」
皇帝候補は答えを知ったうえで意地悪な質問をした。
「デンキが大量に流れているのでしょう? 普通、べったり黒焦げになります」
「原形をとどめていないというのね。ご名答」
ノートンは虹計画の信憑性を間接的に否定した。
「嘘八百だというんですか?!」
案内嬢にとって、まことしやかな噂があながち嘘だとは思えない。
「そうよ。エフゲニーは政府の闇というシステムの欠陥を巧妙に利用しているの。これだけでも万死に値するわ!」
次期皇帝は大統領暗殺を決意した。じっさい、アメリカ初代皇帝を僭称したノートン一世は議会制民主主義の廃止を勅命している。
「では、エルドリッチ号はどうなったんです?」
いまだに信じられない、と案内状が食い下がった。都市伝説だと一笑に付す輩を黙らせるほどの証言、物的証拠がそろっている。
「黒を白といいくるめる。歪曲も権力者の特典よ」
彼女はフォートフィッシャー号のヨットを思い浮かべた。マーサズ・ヴィニャード。疑惑の真相はいつも斜め上にある。
証拠固めが終わったところでジョアンナは眷属を呼び出した。念じると羽ばたきが聞こえてくる。
「あたいに何をしろっていうのかい?」
鳥人が横柄な態度で聞いて来た。
「しかし、望萌君。まるで、こりゃあ小松崎茂か海野十三の口絵だ。ともかく空想科学の世界を目の当たりにするとは」
関東軍元将校・現ドイッチェラント特殊作戦軍司令官こと笠岡日生少佐は軽い見当識障害に見舞われた。
「笠岡さん。月刊『機械化』(※註 戦時下の青少年向に刊行された国策科学啓蒙雑誌)から飛び出した現実がここにあります」 望萌は平然と重火器を点検している。腰を屈めるたびにセーラー服のスカートからテニススコートと純白アンスコが見え隠れする。日本男児の鉄腸を蕩かす破廉恥とはまさにこのことだ。彼女たちの醜態と鉄面皮ぶりに殺意を感じたが、すぐさま此処が終戦の余波で生じた女性優遇社会である事実を思い出した。
米独混成部隊は着々と凍結遺体に対する攻撃準備を進めている。アメリカからは最新鋭の自走多連装ロケット砲M270。ドイッチェラントからは超ド級巨大戦車ラントクロイツァー P.1500「モンスター」が出張ってきている。
「主砲は口径80センチのドーラ砲。装甲圧は250ミリ、メインエンジンは2200馬力のディーゼルを四発」
ハーベルトは本初始祖世界において幻に終わった超兵器をウキウキと触っているる。
「それって、まさか、Uボートの?」
望萌がまさか、という顔をする。
「そうよ。な~んたって、クルップ製(※註ドイツ屈指の潜水艦メーカー)ですもの~。ドイッチェラントの造船技術は世界一ぃぃぃ」
彼女はそう言うと嬉々として整備を続けた。梯子をあがるたびに「パンモロ」したアンスコの裾から濃紺ブルマが顔を出す。
「とんでもない世界だ」
見かねた元シベリア拘留者が顔をしかめる。中にはハーベルトに銃を向ける者まで出る始末。ざわつきはじめた兵士たちを彼らの最高司令官が一喝した。
何たるや、後桜鳩女皇陛下その人である。凛とした声で並みいる将校を黙らせてしまう。その存在感は皇族特有のものであった。多元並行世界は第二次大戦と言う巨大な人類の愚行に反動として生じた。抑圧されてきた女性の深層心理がソースコードから多くの未来像を乖離させるに至った。原動力の呼び水になったのは、男系社会が主導した戦争に対する悪感情であり、物理学の作用反作用で説明がつくものだ。しかるに当地は女の天下である。郷に入っては郷に従え、と彼女はクドクドとお説教した。
女とはいえ、さすがに皇族に向かって引き金を絞る者はいない。兵士たちはしぶしぶ銃を降ろした。
「ねぇ。ハ~ベルト。この人たちを壊してしまうの?」
祥子は太古の巨人とはいえ、自分に似通った相手を攻撃する気になれない。氷漬けの死体は胎児のように体を丸め、尖った耳をこちらに向けている。色は黒ずんでブロンズ像そっくりであるが、目鼻立ちは祥子を象っている。
「破壊するんじゃなくて抹殺命令よ。大総統府は地底人類の斥候を殲滅する判断を下したの」
ハーベルトはきっぱりと眼前の脅威に対する温情を切り捨てた。国立研究所の見解によるとレフレックス・ゼロの傾斜は極めて近代――ぶっちゃけ、ここ数日ないし数時間以内に造られたものであり、自然景観とは考えにくい。かてて加えて気温その他の気象条件から、凍結防止措置なしでは遺体の腐敗を免れない。したがって、これは米国による捏造であるか、地底人の罠に違いないという。
「でも、さっき双眼鏡でひと通りスキャンしても生命反応が……」
邨埜純色は巨人の死亡を宣告したものの、ゲルマニアの没落令嬢に覆された。
「彼らを人間だと見くびると危険よ。だって聖書によれば、神と人の娘が咬合った結果でしょう。西洋医学は通用しない」 そう言っている内に、ネフィリムの一人がクワっと目を見開いた。魚のように死んだ瞳ではない。しっかりと混成部隊に焦点を当てている。
彼らの背骨がモゾモゾと蠢いた。一人、また一人とゆっくり頭をもたげる。
「えてして巨人はホモサピエンスの敵ではないわ。彼らは愚鈍、鈍重の代名詞よ。ゴリアテの伝説にいわく……」
ハーベルトが余裕でドーラ砲を旋回させると、後方から悲鳴があがった。羊飼いのダビデがペリシテ軍の巨漢に石礫で挑んだ逸話とはわけが違う。
彼らは見かけによらず俊敏で、人間の包囲網を楽々と飛び越えたのだ。正確な着地で歩兵部隊を踏み潰したあと、同じ攻撃が連続した。あっという間に混成部隊はゴリアテの人垣に取り巻かれた。
「ど~すんだよ。ハーベルト」
慌てふためく祥子をスルーして、純色に相談を持ち掛けた。
「ねぇ。貴女たちはどうやって対抗してきたの?」
「ええ。ハーベルト。わたしたちには立体機動できる翼なんてないから」
彼女はM2ブラッドレー兵員輸送車に反撃を命じた。
「こうするのよ!」
装甲車搭載ロケット・ランチャーがネフィリムに劫火を浴びせた。
■ カリフォルニア州サスーン湾 アメリカ国防予備艦隊
国防予備艦隊とは、米国が総力戦体制に突入した際に投入される予備艦艇である。退役した巡洋艦や平時に余剰となった艦船を動態保存して蓄えておき、いざとなれば数日で即応状態に復帰できる。「日刊駆逐艦、週刊戦艦」などと言われた第二次大戦真っ只中と違って、海軍の縮減によって、おいそれとは新造艦を調達できないためだ。その中に伏魔殿が混じっている。
かつてレインボープロジェクトという実験があった。1931年に始まったこの計画は天才と謳われた電気工学者ニコラ・テスラを中心に進められた。1940年の実験ではニューヨークのブルックリン海軍工廠において大成功をおさめた。大型の駆逐艦にテスラコイルという電磁石を搭載し、その磁場で船体を包み込んだ。主目的は消磁と言って、魚雷探知から身を隠すためである。それが予想以上の結果を招いた。地磁気を帯びた鋼鉄船をステルス化することで追跡の目を眩ませれば、それでよかったのだ。
だが、予想に反して艦は異世界へ飛ばされてしまった!
慌ててテスラコイルの電源を切って事なきを得たが、船は遠く離れたノーフォークに転移した。そればかりでなく、乗員は大火傷を負ったり発狂したり、あげくは壁にのめり込んだ兵士まで出た。当然ながら死んでいる。
事態を重く見た軍は船を封印し、計画を中断した。その呪われてる船がノートン七世の足元にある。
「ふ~ん、これが噂のエルドリッジ?」
未来のアメリカ皇帝はコツコツとハイヒールで甲板を踏み鳴らした。
「DE-171は謎や噂がびっしりと纏わりついています」
案内嬢は彼女を艦橋に昇る階段に連れて行った。踊り場で立ち止まり、壁を見やる。
「ねぇ、あなた。水兵がここからにょっきり生える、なんてあると思う?」
ジョアンナ・ノートンは片足を壁に押し当て、Yの字にのび上がって見せた。派手にスカートがめくりあがり、重ね履きしたパンツにしわが寄る。
「わたしは学芸員の資格しか持っておりませんので、そちらの方面はさっぱり。ですが、あり得ないと思います」
「なんで?」
皇帝候補は答えを知ったうえで意地悪な質問をした。
「デンキが大量に流れているのでしょう? 普通、べったり黒焦げになります」
「原形をとどめていないというのね。ご名答」
ノートンは虹計画の信憑性を間接的に否定した。
「嘘八百だというんですか?!」
案内嬢にとって、まことしやかな噂があながち嘘だとは思えない。
「そうよ。エフゲニーは政府の闇というシステムの欠陥を巧妙に利用しているの。これだけでも万死に値するわ!」
次期皇帝は大統領暗殺を決意した。じっさい、アメリカ初代皇帝を僭称したノートン一世は議会制民主主義の廃止を勅命している。
「では、エルドリッチ号はどうなったんです?」
いまだに信じられない、と案内状が食い下がった。都市伝説だと一笑に付す輩を黙らせるほどの証言、物的証拠がそろっている。
「黒を白といいくるめる。歪曲も権力者の特典よ」
彼女はフォートフィッシャー号のヨットを思い浮かべた。マーサズ・ヴィニャード。疑惑の真相はいつも斜め上にある。
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