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彗星発、永劫回帰線(マーサズ・ヴィニャード・ブレイクスルー・スターショット) ⑥ 凍結遺産(フローズンレガシー)
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■ 異世界 マーサズ・ヴィニャード・ブレイクスルー・スターショット
同、中国(シノワ)大陸 内モンゴル・アラシャン盟(めい)
無色透明革命軍(ネルグイ)のリーダーことオドゴンフー・ドルジは砂漠を覆うサボテンの花に並々ならぬ敵意を抱いている。彼は回回(フィフィ)教徒だ。善とはつねに発展途上にあり、爛熟して腐敗を待つばかりの悪と対立構造を成している。
世界は未完成であり続けるために熔鉱を通して更新される。そこに悪も善もなく、ただカエルだけが駆除対象としてある。彼の聖典はそのように教えていた。
「スレン。お前も踏み潰してやるからな」
オドゴンフーは部族の面汚しである女を討ち損じて怒り心頭だった。奇襲をしかけた部隊は鬱陶しい戦闘爆撃機の餌食となった。まだ残骸が燻っている。偵察に来た男たちは反撃の矢をもっていなかった。骨を拾う者はいない。砂漠の因習は無為自然だ。ただ、オドゴンフーは悪魔の化身に敗北した事実が許せなかった。RPGで燃える鉄塊に引導を渡した。
そんな屈辱的を上塗りするように魔改造雀蜂(ウェスペ)が上空通過(フライパス)する。
「カエル、サボテン、今度はうるさいハエですかい!」
禿げ上がった巨漢が指揮官に同調した。
砂漠にカエルはいないから節足動物や軟体動物が悪しき創造物の範疇にある。そして熱心に退治するノルマが課されている。もちろん、それは観念的に拡大解釈され、ネルグイたちは枢軸基幹同盟(アクセンメヒテ)の緑化活動をカエルと見做していた。
「ああ、何が砂漠の緑だ。あいつらは暗黒(がいあく)でしかない」
オドゴンフーはたまらず背中を掻きむしった。連れてきたラクダも苦しそうにしている。バダインジャラン緑化プロジェクトが持ち込んだ多肉植物は感染症をもたらした。サボテンに寄生しているカイガラムシが新型皮膚病の病原体を人間や家畜に媒介する。
騎馬遊牧民(モンゴル)の少数民族(ブフ)は度重なる列強の支配に喘いできた。本初始祖世界(ソースコード)におけるナチス・ドイツ崩壊のどさくさにまぎれて、彼らは異世界へ転移させられた。それまでは旧帝政シノワ領の一角に日本人(ヤポネ)が満州国を建設して、アラシャン盟を併呑した。それが連合国軍に倒されたと思ったら、世界の分岐が起こった。
「どうしてこうなった!」
オドゴンフーが虚空に向けて銃を連射した。彼らにしてみれば、何の説明もなく異世界転移させられたわけで、怒りは増すばかりだ。
「どうするもこうするも、対空ミサイル一発買えねぇ現状じゃあ」
ハゲ達磨はポリポリと頭を掻いた。イチゴような帯状疱疹が目いっぱい出来ている。
「チャンスン。背に腹は代えられん。黒水(カラホト)城をあいつらに売り渡そう!」
武装組織のリーダーは代々受け継いできた遺産を手放すことにした。苦渋の決断を心待ちにしている組織は、彼の求めに応じて臨時ダイヤを走らせた。
■ アラシャン盟エチナ旗(き)から北へ160キロ ゴビ砂漠 西夏王国跡
西夏王国はシルクロードの全盛期に一帯を支配したチベット系民族が打ち立てた。ラファームシノワ軍の九十九式新型装甲列車はバダインジャラン砂漠を経由して黒水城をめざす。そこにたたずむ巨大な要塞や遺構が西夏王国の栄枯盛衰を物語っている。
オレンジ色の払暁が仏塔と城跡が殺風景なシルエットから柔らかな日差しに浮かび上がる。尖塔から太陽が見え隠れするたびに見る者は畏敬の念を抱く。じっさい、懐疑派で埋まった客車に驚嘆の声が満ちた。それに比べて戦闘指揮車は真逆の雰囲気がみなぎっている。
「このようにゴビ砂漠に栄えた王国は異教徒に寛容であったため文明の融合を果たしました。その結果、思いもよらぬ遺産をあぶり出したのです」
レーザーポインターを握るのは、イリュージョンによって再生(リプリント)したマドレーヌだ。
さざ波模様の風紋が燭光に照らされて砂漠を独特の構造色で彩っている。高次知能集団はハンカ湖で学んだ――正確には盗み知った――量子色力学(キューシーディー)を早速応用して、異世界雑音(ワールドノイズ)を除去した。
すると、どうだ。ヤンガードライアスの贈り物が白日のもとに晒された。黄土色の地平線が揺らめいている。それに沿うように銀色の光線が広がっている。辺の長さはおおよそ一キロ半。その他にも、ひび割れのようにも見えるラインが複雑に入り交じったナスカの地上絵に似たものや巨大な年輪が見えてきた。
「科学技術文明の隔絶地で迷信に埋もれていたオーバーテクノロジーが発掘されるなんて皮肉なもんだわ」
マドレーヌの陶酔をチャンスンが打ち破った。
「能書きはいいから、武器よこせ!」
ドスンと拳を振り下ろす。威嚇のつもりが勢い余って、マホガニーの机を陥没させた。マドレーヌは女の子だ。ヒャッと小声をあげて竦みあがった。
「落ち着けチャンスン。別に俺たちは血に飢えてるわけじゃない。しゅだんはどうあれ本初始祖世界(ソースコード)に帰還できればいい」
オドゴンフーの肌にフィンランド製のソファーは合わないようだ。猛烈な痒みで会議に集中できない。本音を言えば、さっさと終わってほしい。
「いま、本初始祖世界(ソースコード)の行く末を探らせてるわ。ここはロクな野生動物がいなくて……」
マドレーヌはイライラしている。フラウンホーファーの女性技師たちは咆哮/脳炎ネットワークを介してゴビ砂漠の生物たちにワールドクラスの向こう側を覗かせているが、毛が生えた程度の精度しか得られない。異世界分裂の際にソースコードと他者の間に半世紀以上の異世界時差が生じており、後者の方が進んでいる。ソースの未来は、帰還先の未来は定まっていない。
「ビロビジャンほどの人口があれば人間に透視させるんだけどねぇ」
マドレーヌは遠回しにオドゴンフーの願いを退けた。
「わかった。武器弾薬食料それに医薬品と最新QCD技術の追加で手を打とう」
「ちょっと!」
交渉相手がいきなりハードルをあげたため、マドレーヌは絶句した。
「いいだろう。ドイッチェラントの医学薬学世界一、だったか?」
オドゴンフーはタフネゴシエイターだ。痒み止めの開発には一朝一夕にはいかない。懐疑派を引き留めたまま、今後も強請ってくるだろう。だが、マドレーヌのポーカーフェイスは一枚上手た。
「いいわ。すぐに用意させます。それ以上はダメよ」
女は怖い。作り笑顔でなく本物の笑みを浮かべた。
「わかった。交渉成立……カユイ~」
耐えきれなくなったオドゴンフーは場所をはばからずのたうち回る。
「おい。オドゴンフー!」
慌てふためくチャンスンを置き去りにして、マドレーヌはひとり遺跡をめざした。
■ レフレックス・ゼロ(承前)
枢軸側がステイツに求めてきたのは具体的な共同作戦だ。昔からまことしやかに言われてきた地球空洞説という古いメロディに最新科学の歌詞をつけねばならない。聖書によると大洪水以前にネフィリムという長身の先住民がいた。ギリシャ神話にも巨人のタイタン族が人間の祖先を産んだという。さらに、世界の各地で成人男性の平均身長を上回る人骨が相次いで発見されている。一説によれば、彼らは遥かなる太古に降臨し、地球の内懐で洪水をやり過ごしたという。
「アドルフ・ヒトラーは地球空洞に逃れた巨人に勝利の方程式をもとめたのよ」
ハーベルトはエーデルヴァイス海賊団に伝わる陰謀論を一くさり語った。
「でも、それがどうしてボクとつながりがあるんだい?」
祥子は奥歯に物が挟まったような説明に不満を募らせた。ハーベルトは悟られたならない秘密を隠すため慎重に言葉を選ぶ。そのよそよそしい態度が却って不信感を増幅させている。
「戦後、ステイツはヒトラーの遺産を追求するため、あらゆる手段を尽くしました」
純色が代弁するようにステイツはナチスが編み出した超技術を熱望した。そのうちの一つがロケット開発技術だ。
「異世界分離の際にソースコードとの交通が絶たれ、日独伊芬枢軸基幹同盟(アクセンメヒテ)と連合国(ステイツ)はそれらを禁忌技術(エクストリーム)としたの。それでもステイツは……」
ハーベルトが厭味ったらしく横目でにらむと、純色が真っ赤な顔で怒った。
「貴女(あなた)たちもでしょう?! というわけで、ステイツはネフィリムを引き当ててしまったのよ!」
終戦直後からANZUS(アンザス)軍事同盟を結んでいるニュージーランドの南島沖でUFOの目撃情報が無数に挙がっている。
「そこに地底世界の扉が隠されている、とまことしやかに言われているわ」
ハーベルトが翡翠タブレットを叩くとドイッチェラント秘密警察の独自入手資料が表示された。
南太平洋の荒波を押し割って、明らかに人工物と思しき球体が被写体となっている。
「それがボクとどう関係あるのさ!」
祥子がしつこく食い下がるとハーベルトはきっぱりと言った。
「貴女のお父さん。否定運動の旗手だったわよね?!」
彼女のきつい物言いに根深い因縁がありそうだ。
押し黙っている祥子を横目にハーベルトはドイッチェラント本国と協議をつづけている。
エルフリーデ・ハートレーは連合国大統領の本気度を測った。
「ええ。ステイツにとってドイッチェラントは必要不可欠です。勝ち残るためのテクノロジーを持っているのですから」
フランチェスカ・エフゲニー・ローズバードは全面協力を確約した。
同、中国(シノワ)大陸 内モンゴル・アラシャン盟(めい)
無色透明革命軍(ネルグイ)のリーダーことオドゴンフー・ドルジは砂漠を覆うサボテンの花に並々ならぬ敵意を抱いている。彼は回回(フィフィ)教徒だ。善とはつねに発展途上にあり、爛熟して腐敗を待つばかりの悪と対立構造を成している。
世界は未完成であり続けるために熔鉱を通して更新される。そこに悪も善もなく、ただカエルだけが駆除対象としてある。彼の聖典はそのように教えていた。
「スレン。お前も踏み潰してやるからな」
オドゴンフーは部族の面汚しである女を討ち損じて怒り心頭だった。奇襲をしかけた部隊は鬱陶しい戦闘爆撃機の餌食となった。まだ残骸が燻っている。偵察に来た男たちは反撃の矢をもっていなかった。骨を拾う者はいない。砂漠の因習は無為自然だ。ただ、オドゴンフーは悪魔の化身に敗北した事実が許せなかった。RPGで燃える鉄塊に引導を渡した。
そんな屈辱的を上塗りするように魔改造雀蜂(ウェスペ)が上空通過(フライパス)する。
「カエル、サボテン、今度はうるさいハエですかい!」
禿げ上がった巨漢が指揮官に同調した。
砂漠にカエルはいないから節足動物や軟体動物が悪しき創造物の範疇にある。そして熱心に退治するノルマが課されている。もちろん、それは観念的に拡大解釈され、ネルグイたちは枢軸基幹同盟(アクセンメヒテ)の緑化活動をカエルと見做していた。
「ああ、何が砂漠の緑だ。あいつらは暗黒(がいあく)でしかない」
オドゴンフーはたまらず背中を掻きむしった。連れてきたラクダも苦しそうにしている。バダインジャラン緑化プロジェクトが持ち込んだ多肉植物は感染症をもたらした。サボテンに寄生しているカイガラムシが新型皮膚病の病原体を人間や家畜に媒介する。
騎馬遊牧民(モンゴル)の少数民族(ブフ)は度重なる列強の支配に喘いできた。本初始祖世界(ソースコード)におけるナチス・ドイツ崩壊のどさくさにまぎれて、彼らは異世界へ転移させられた。それまでは旧帝政シノワ領の一角に日本人(ヤポネ)が満州国を建設して、アラシャン盟を併呑した。それが連合国軍に倒されたと思ったら、世界の分岐が起こった。
「どうしてこうなった!」
オドゴンフーが虚空に向けて銃を連射した。彼らにしてみれば、何の説明もなく異世界転移させられたわけで、怒りは増すばかりだ。
「どうするもこうするも、対空ミサイル一発買えねぇ現状じゃあ」
ハゲ達磨はポリポリと頭を掻いた。イチゴような帯状疱疹が目いっぱい出来ている。
「チャンスン。背に腹は代えられん。黒水(カラホト)城をあいつらに売り渡そう!」
武装組織のリーダーは代々受け継いできた遺産を手放すことにした。苦渋の決断を心待ちにしている組織は、彼の求めに応じて臨時ダイヤを走らせた。
■ アラシャン盟エチナ旗(き)から北へ160キロ ゴビ砂漠 西夏王国跡
西夏王国はシルクロードの全盛期に一帯を支配したチベット系民族が打ち立てた。ラファームシノワ軍の九十九式新型装甲列車はバダインジャラン砂漠を経由して黒水城をめざす。そこにたたずむ巨大な要塞や遺構が西夏王国の栄枯盛衰を物語っている。
オレンジ色の払暁が仏塔と城跡が殺風景なシルエットから柔らかな日差しに浮かび上がる。尖塔から太陽が見え隠れするたびに見る者は畏敬の念を抱く。じっさい、懐疑派で埋まった客車に驚嘆の声が満ちた。それに比べて戦闘指揮車は真逆の雰囲気がみなぎっている。
「このようにゴビ砂漠に栄えた王国は異教徒に寛容であったため文明の融合を果たしました。その結果、思いもよらぬ遺産をあぶり出したのです」
レーザーポインターを握るのは、イリュージョンによって再生(リプリント)したマドレーヌだ。
さざ波模様の風紋が燭光に照らされて砂漠を独特の構造色で彩っている。高次知能集団はハンカ湖で学んだ――正確には盗み知った――量子色力学(キューシーディー)を早速応用して、異世界雑音(ワールドノイズ)を除去した。
すると、どうだ。ヤンガードライアスの贈り物が白日のもとに晒された。黄土色の地平線が揺らめいている。それに沿うように銀色の光線が広がっている。辺の長さはおおよそ一キロ半。その他にも、ひび割れのようにも見えるラインが複雑に入り交じったナスカの地上絵に似たものや巨大な年輪が見えてきた。
「科学技術文明の隔絶地で迷信に埋もれていたオーバーテクノロジーが発掘されるなんて皮肉なもんだわ」
マドレーヌの陶酔をチャンスンが打ち破った。
「能書きはいいから、武器よこせ!」
ドスンと拳を振り下ろす。威嚇のつもりが勢い余って、マホガニーの机を陥没させた。マドレーヌは女の子だ。ヒャッと小声をあげて竦みあがった。
「落ち着けチャンスン。別に俺たちは血に飢えてるわけじゃない。しゅだんはどうあれ本初始祖世界(ソースコード)に帰還できればいい」
オドゴンフーの肌にフィンランド製のソファーは合わないようだ。猛烈な痒みで会議に集中できない。本音を言えば、さっさと終わってほしい。
「いま、本初始祖世界(ソースコード)の行く末を探らせてるわ。ここはロクな野生動物がいなくて……」
マドレーヌはイライラしている。フラウンホーファーの女性技師たちは咆哮/脳炎ネットワークを介してゴビ砂漠の生物たちにワールドクラスの向こう側を覗かせているが、毛が生えた程度の精度しか得られない。異世界分裂の際にソースコードと他者の間に半世紀以上の異世界時差が生じており、後者の方が進んでいる。ソースの未来は、帰還先の未来は定まっていない。
「ビロビジャンほどの人口があれば人間に透視させるんだけどねぇ」
マドレーヌは遠回しにオドゴンフーの願いを退けた。
「わかった。武器弾薬食料それに医薬品と最新QCD技術の追加で手を打とう」
「ちょっと!」
交渉相手がいきなりハードルをあげたため、マドレーヌは絶句した。
「いいだろう。ドイッチェラントの医学薬学世界一、だったか?」
オドゴンフーはタフネゴシエイターだ。痒み止めの開発には一朝一夕にはいかない。懐疑派を引き留めたまま、今後も強請ってくるだろう。だが、マドレーヌのポーカーフェイスは一枚上手た。
「いいわ。すぐに用意させます。それ以上はダメよ」
女は怖い。作り笑顔でなく本物の笑みを浮かべた。
「わかった。交渉成立……カユイ~」
耐えきれなくなったオドゴンフーは場所をはばからずのたうち回る。
「おい。オドゴンフー!」
慌てふためくチャンスンを置き去りにして、マドレーヌはひとり遺跡をめざした。
■ レフレックス・ゼロ(承前)
枢軸側がステイツに求めてきたのは具体的な共同作戦だ。昔からまことしやかに言われてきた地球空洞説という古いメロディに最新科学の歌詞をつけねばならない。聖書によると大洪水以前にネフィリムという長身の先住民がいた。ギリシャ神話にも巨人のタイタン族が人間の祖先を産んだという。さらに、世界の各地で成人男性の平均身長を上回る人骨が相次いで発見されている。一説によれば、彼らは遥かなる太古に降臨し、地球の内懐で洪水をやり過ごしたという。
「アドルフ・ヒトラーは地球空洞に逃れた巨人に勝利の方程式をもとめたのよ」
ハーベルトはエーデルヴァイス海賊団に伝わる陰謀論を一くさり語った。
「でも、それがどうしてボクとつながりがあるんだい?」
祥子は奥歯に物が挟まったような説明に不満を募らせた。ハーベルトは悟られたならない秘密を隠すため慎重に言葉を選ぶ。そのよそよそしい態度が却って不信感を増幅させている。
「戦後、ステイツはヒトラーの遺産を追求するため、あらゆる手段を尽くしました」
純色が代弁するようにステイツはナチスが編み出した超技術を熱望した。そのうちの一つがロケット開発技術だ。
「異世界分離の際にソースコードとの交通が絶たれ、日独伊芬枢軸基幹同盟(アクセンメヒテ)と連合国(ステイツ)はそれらを禁忌技術(エクストリーム)としたの。それでもステイツは……」
ハーベルトが厭味ったらしく横目でにらむと、純色が真っ赤な顔で怒った。
「貴女(あなた)たちもでしょう?! というわけで、ステイツはネフィリムを引き当ててしまったのよ!」
終戦直後からANZUS(アンザス)軍事同盟を結んでいるニュージーランドの南島沖でUFOの目撃情報が無数に挙がっている。
「そこに地底世界の扉が隠されている、とまことしやかに言われているわ」
ハーベルトが翡翠タブレットを叩くとドイッチェラント秘密警察の独自入手資料が表示された。
南太平洋の荒波を押し割って、明らかに人工物と思しき球体が被写体となっている。
「それがボクとどう関係あるのさ!」
祥子がしつこく食い下がるとハーベルトはきっぱりと言った。
「貴女のお父さん。否定運動の旗手だったわよね?!」
彼女のきつい物言いに根深い因縁がありそうだ。
押し黙っている祥子を横目にハーベルトはドイッチェラント本国と協議をつづけている。
エルフリーデ・ハートレーは連合国大統領の本気度を測った。
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