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断絶の航悔(スーパー・カリフォルジリスティック・エクスピアリ・ドーシャス)③起動加速度、限界!
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■ 異世界セリュック・スラヴァー・ウェディング
ハーベルトの祖国、コード2047世界には薄皮一枚へだてて幾つかの伴世界が付属している。セリュックは最も近い世界だ。TWX1369はステイツ軍に悟られないように西海岸上空を南下していた。すりガラスの向こうに大海原が見える。ロサンジェルスから130キロほど南進し、フロリダ半島方面へ転進する。
戦闘指揮車に大日本帝国大本営から緊急連絡が入った。
「五百蔵千鶴子提督の潜水艦隊がサンディエゴ沖で接敵しました。ロマ岬の沖合40浬。ステイツ第三艦隊と思われます。陣容は空母ステニスを筆頭に駆逐艦11、巡洋艦6、フリゲート艦5、潜水艦4。輪形陣を組んでいます」
望萌が空中に勢力図を拡大する。ライムグリーンの海図に大小さまざまな駒がキラキラと揺らめいている。ハーベルトは観音扉を開くように両腕でマップをスワイプした。伊四百級潜水艦隊は異世界疎水抜けて、敵の真っ只中に出現した。通常、
「拙いわね。ロサンジェルス級攻撃原潜が四隻。すぐそばにミサイル駆逐艦が張り付いているわ。こっちの戦力は伊四百改クラス×3純色たちはどこにいるの?」」
ハーベルトは吐息をついた。原潜の実用潜航深度は450メートル。対する伊四百は同程度に魔改造されているとは言え、禁忌技術兵器との実戦経験は皆無に等しい。
ハーベルトがエルフ耳をそばだてる。ヘッドセットを押し当て、ワールドノイズのざわめきに鈴の音を探す。
「三人の所在は確認できましたがALX427が見当たりません」
隣席の望萌がかぶりをふりながら、座標をスクリーンにプロットした。
「原子力巡洋艦ロングビーチ? 本初始祖世界の所属よね。どうしてここに?」
ハーベルトも首をひねった。邨埜純色が招き入れた異物であろうが、さっぱり意図がわからない。上空には爆撃機が飛び回っている。ロングビーチの退路を塞ぐように揚陸艦フォートフィッシャーが停泊している。
「何をやっているのハ~ベルト。このまま黙ってちゃ純色たちが死んじゃうよ」
祥子はいてもたってもいられない様子で後部デッキへ向かおうとした。
「異世界逗留者が束になっても適わないどころか、レーダー照射でチン♪されるのがオチよ。ここにいなさい」
列車長が祥子の腕を掴む。
「だったら、ハウゼルさん。枢軸特急で出来る事をボクに見せてよ。鉄道員が軍艦に立ち向かうなんて聞いたことないや」
煽られて列車長がセーラー服の袖をまくる。
「ええ、祥子は『漢』だったわね。オトコに売られた喧嘩を買わねば、女が廃るわ」
彼女はそういうと、ハーベルトに目くばせした。
「そうね、列車長のアレは見たことが無いわ。お手並み拝見といきましょうか」
「ええ、閣下。とくとご覧あれ」
ハウゼルはそういうと、セーラー服とプリーツスカートを脱ぎ捨て、身軽なブルマ姿になった。窓枠のスイッチをカバーごと押し割ると、主電動機の音が重くなった。彼女は全体重をかけてセーフティーバーを押し倒す。
「ロック解除。歯車比変更、再粘着制御・応負荷重制御開始」
列車長が宣言し、望萌機関士が追従する。
「粘着係数改善、引張力特性アップ。起動加速度――臨界へ!」
言うやいなや、祥子は壁に押し付けられた。ロケットのようにぐんぐん加速する。
「
ステイツの水上打撃群は空母を中心に、随伴する巡洋艦や潜水艦を立体的に組み合わせた多層防御を敷いている。空母ステニスを発進した対戦ヘリが陣形の外側で潜水艦を警戒している。哨戒機がソノブイを投下して警戒網を構築する。マンセンがロングビーチめがけて対艦ミサイルを発射。邨埜純色はカロリーメーターを操ってQCDジャミングを開始した。ロングビーチのSSPY-1レーダーが敵弾を探知。QCDは受動態から能動態へ切り替わり、暴食、色欲、強欲、憤怒、嫉妬、強力な大罪が噴出する。それは強力なジャミングだ。殺意に満ちたミサイルはいったん高く伸びあがり、ロングビーチを視野におさめるべく、水平線の向こうまで見渡す。
そして、天狗になった何割かがまともにQCDを浴びて、明後日の方向へ散らされた。
「ハープーンミサイル、三発。進路逸脱。残り、七」
「やるじゃない、あなた」
アネットが純色を興奮気味に讃えた。だが、浮かれている間にハープーンは慣性誘導からシースキミングに行動方針を切り替えた。今まではあらかじめ設定されたコースを惰性で飛んでいた。発射時に複数の経由地を教えられ、迂回路を取る物もいた。しかし、欲に目が眩んだミサイルが狡猾さに目覚め、より悪質な戦法を選んだ。レーダーで捕捉しづらい闇へ身をくらます。
海面すれすれまでダイブ。レーダーを覚醒させて、目標をあぶり出す。
純色は更なる妨害を続けるが、それが効かない場合、いよいよ実力行使に出る。
「間に合ええええええ!」
ハウゼルはTWXを飛ばした。ハープーンに先行して異世界隧道を離脱。枢軸特急が猛スピードで並走する。
グン!
ギア比が一段さがり、水平線を陽光がキラキラと追いかけてくる。
「祥子、光波ホーミング誘導をお願い」
ハウゼルの命令を受けて、祥子が車載射撃統制装置を操作する。TWX1369には地上発射型ESSM迎撃ミサイルが積んである。本来は陸から撃つ誘導弾であるが、空間軌道上からの発射は枢軸初となる。
「ボク、なんとなくハーベルトの興奮がわかるような気がする」
彼女はワクワクしながら、液晶画面をタップする。ハープーンと列車の位置を見比べ、飛翔コースが交錯するよう設定した。
ハウゼルがタイミングを指示するする。
「枢軸特急TWX1369、ハープーンのレンジ内に入線します!」
「発展型シースパロー、発射!」
貨車から白煙が吹き上がり、弾体が放り投げられる。距離をおいて、固体燃料ロケットが点火。ハープーンめがけて突進する。
望萌とハーベルトは列車を護るべくQCD戦に注力している。このように乗務員はそれぞれ役割分担する。
パッパッと勢力図にバツ印が増えるたび、祥子の心が躍った。女子の一致団結したチームワークには男同士の友情を越えた、熱い何かが感じとれる。
「女子っていいよね。やっぱり、ボクは……」
祥子はむずがゆい思いを感じた。
◇ ◇ ◇
純色にとって援軍は「小さな親切大きなお世話」であった。SPY-1レーダーが枢軸特急を捉えた瞬間、彼女は毒づいた。
ALXをお釈迦にした爆撃機の存在に気付いていないのだ。このままでは掩蔽壕貫通弾の直撃を免れない。
「ハーベルト、あの馬鹿、来るなといったのに」
■ 小型ヨット マーサズ・ヴィニャード船上
アメリカ皇帝ノートン七世は事の成り行きを愉しんでいた。枢軸きっての名将が敗戦の将に成り下がる。その時が来た。TWXの車載レーダーがフォートフィッシャーとヨットを捕捉している。間髪を入れず対艦ミサイルを繰り出して来た。バイアーン幻想教団の技師長マリア・ポーションはモントークボーイたちに訓練の成果を披露させた。祥子そっくりの顔が一斉にうなづき、水平線に向けて両手を振りかざす。帆にのびる影が百八十度変化した。
「敵艦が消失しました」
望萌は一瞬、目を疑った。揚陸艦フォートフィッシャーが十浬離れた場所に出現した。
「イリュージョンを使ったのね?!」
ハーベルトが顔をしかめる。
『降服しろ。お前たちが何処へ逃れようと無駄な足掻きだ。ステイツは我が手中にある』
ダイマー視覚にノートン七世の勅令が聞こえてきた。
ハーベルトの祖国、コード2047世界には薄皮一枚へだてて幾つかの伴世界が付属している。セリュックは最も近い世界だ。TWX1369はステイツ軍に悟られないように西海岸上空を南下していた。すりガラスの向こうに大海原が見える。ロサンジェルスから130キロほど南進し、フロリダ半島方面へ転進する。
戦闘指揮車に大日本帝国大本営から緊急連絡が入った。
「五百蔵千鶴子提督の潜水艦隊がサンディエゴ沖で接敵しました。ロマ岬の沖合40浬。ステイツ第三艦隊と思われます。陣容は空母ステニスを筆頭に駆逐艦11、巡洋艦6、フリゲート艦5、潜水艦4。輪形陣を組んでいます」
望萌が空中に勢力図を拡大する。ライムグリーンの海図に大小さまざまな駒がキラキラと揺らめいている。ハーベルトは観音扉を開くように両腕でマップをスワイプした。伊四百級潜水艦隊は異世界疎水抜けて、敵の真っ只中に出現した。通常、
「拙いわね。ロサンジェルス級攻撃原潜が四隻。すぐそばにミサイル駆逐艦が張り付いているわ。こっちの戦力は伊四百改クラス×3純色たちはどこにいるの?」」
ハーベルトは吐息をついた。原潜の実用潜航深度は450メートル。対する伊四百は同程度に魔改造されているとは言え、禁忌技術兵器との実戦経験は皆無に等しい。
ハーベルトがエルフ耳をそばだてる。ヘッドセットを押し当て、ワールドノイズのざわめきに鈴の音を探す。
「三人の所在は確認できましたがALX427が見当たりません」
隣席の望萌がかぶりをふりながら、座標をスクリーンにプロットした。
「原子力巡洋艦ロングビーチ? 本初始祖世界の所属よね。どうしてここに?」
ハーベルトも首をひねった。邨埜純色が招き入れた異物であろうが、さっぱり意図がわからない。上空には爆撃機が飛び回っている。ロングビーチの退路を塞ぐように揚陸艦フォートフィッシャーが停泊している。
「何をやっているのハ~ベルト。このまま黙ってちゃ純色たちが死んじゃうよ」
祥子はいてもたってもいられない様子で後部デッキへ向かおうとした。
「異世界逗留者が束になっても適わないどころか、レーダー照射でチン♪されるのがオチよ。ここにいなさい」
列車長が祥子の腕を掴む。
「だったら、ハウゼルさん。枢軸特急で出来る事をボクに見せてよ。鉄道員が軍艦に立ち向かうなんて聞いたことないや」
煽られて列車長がセーラー服の袖をまくる。
「ええ、祥子は『漢』だったわね。オトコに売られた喧嘩を買わねば、女が廃るわ」
彼女はそういうと、ハーベルトに目くばせした。
「そうね、列車長のアレは見たことが無いわ。お手並み拝見といきましょうか」
「ええ、閣下。とくとご覧あれ」
ハウゼルはそういうと、セーラー服とプリーツスカートを脱ぎ捨て、身軽なブルマ姿になった。窓枠のスイッチをカバーごと押し割ると、主電動機の音が重くなった。彼女は全体重をかけてセーフティーバーを押し倒す。
「ロック解除。歯車比変更、再粘着制御・応負荷重制御開始」
列車長が宣言し、望萌機関士が追従する。
「粘着係数改善、引張力特性アップ。起動加速度――臨界へ!」
言うやいなや、祥子は壁に押し付けられた。ロケットのようにぐんぐん加速する。
「
ステイツの水上打撃群は空母を中心に、随伴する巡洋艦や潜水艦を立体的に組み合わせた多層防御を敷いている。空母ステニスを発進した対戦ヘリが陣形の外側で潜水艦を警戒している。哨戒機がソノブイを投下して警戒網を構築する。マンセンがロングビーチめがけて対艦ミサイルを発射。邨埜純色はカロリーメーターを操ってQCDジャミングを開始した。ロングビーチのSSPY-1レーダーが敵弾を探知。QCDは受動態から能動態へ切り替わり、暴食、色欲、強欲、憤怒、嫉妬、強力な大罪が噴出する。それは強力なジャミングだ。殺意に満ちたミサイルはいったん高く伸びあがり、ロングビーチを視野におさめるべく、水平線の向こうまで見渡す。
そして、天狗になった何割かがまともにQCDを浴びて、明後日の方向へ散らされた。
「ハープーンミサイル、三発。進路逸脱。残り、七」
「やるじゃない、あなた」
アネットが純色を興奮気味に讃えた。だが、浮かれている間にハープーンは慣性誘導からシースキミングに行動方針を切り替えた。今まではあらかじめ設定されたコースを惰性で飛んでいた。発射時に複数の経由地を教えられ、迂回路を取る物もいた。しかし、欲に目が眩んだミサイルが狡猾さに目覚め、より悪質な戦法を選んだ。レーダーで捕捉しづらい闇へ身をくらます。
海面すれすれまでダイブ。レーダーを覚醒させて、目標をあぶり出す。
純色は更なる妨害を続けるが、それが効かない場合、いよいよ実力行使に出る。
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グン!
ギア比が一段さがり、水平線を陽光がキラキラと追いかけてくる。
「祥子、光波ホーミング誘導をお願い」
ハウゼルの命令を受けて、祥子が車載射撃統制装置を操作する。TWX1369には地上発射型ESSM迎撃ミサイルが積んである。本来は陸から撃つ誘導弾であるが、空間軌道上からの発射は枢軸初となる。
「ボク、なんとなくハーベルトの興奮がわかるような気がする」
彼女はワクワクしながら、液晶画面をタップする。ハープーンと列車の位置を見比べ、飛翔コースが交錯するよう設定した。
ハウゼルがタイミングを指示するする。
「枢軸特急TWX1369、ハープーンのレンジ内に入線します!」
「発展型シースパロー、発射!」
貨車から白煙が吹き上がり、弾体が放り投げられる。距離をおいて、固体燃料ロケットが点火。ハープーンめがけて突進する。
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パッパッと勢力図にバツ印が増えるたび、祥子の心が躍った。女子の一致団結したチームワークには男同士の友情を越えた、熱い何かが感じとれる。
「女子っていいよね。やっぱり、ボクは……」
祥子はむずがゆい思いを感じた。
◇ ◇ ◇
純色にとって援軍は「小さな親切大きなお世話」であった。SPY-1レーダーが枢軸特急を捉えた瞬間、彼女は毒づいた。
ALXをお釈迦にした爆撃機の存在に気付いていないのだ。このままでは掩蔽壕貫通弾の直撃を免れない。
「ハーベルト、あの馬鹿、来るなといったのに」
■ 小型ヨット マーサズ・ヴィニャード船上
アメリカ皇帝ノートン七世は事の成り行きを愉しんでいた。枢軸きっての名将が敗戦の将に成り下がる。その時が来た。TWXの車載レーダーがフォートフィッシャーとヨットを捕捉している。間髪を入れず対艦ミサイルを繰り出して来た。バイアーン幻想教団の技師長マリア・ポーションはモントークボーイたちに訓練の成果を披露させた。祥子そっくりの顔が一斉にうなづき、水平線に向けて両手を振りかざす。帆にのびる影が百八十度変化した。
「敵艦が消失しました」
望萌は一瞬、目を疑った。揚陸艦フォートフィッシャーが十浬離れた場所に出現した。
「イリュージョンを使ったのね?!」
ハーベルトが顔をしかめる。
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