魔王の対処に困った王国はコールセンターを召喚

YHQ337IC

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エピローグ

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異世界の空も地球も変わらない。あるのは人の営み。ここにはエルフ等様々な種族がいる。それでも元をただせば

「人類」という一つの存在が生み出した文化や制度だ。

そして、そこに住む人々も「ヒト」という生き物でしかない。

(私も変われた)

ふと思う。翠はこれまでずっと、自分の理想とする姿を目指してきた。だがその先は何もなかった。今は少し違う。

「この先、私がいなくなったとき……」

言葉が零れる。誰にも聞こえないように呟く。

(誰かが私の理想を継いでくれたら……なんて、そんなの虫が良すぎるわよね)

夕暮れ時が過ぎ、薄暗くなっていく。

「山吹、そろそろ帰るのか」

後ろから不意に声がかかる。驚いて振り返るとそこには大僧正が立っていた。もう日が落ちて、室内には二人しかいない。「ああ、おつかれさまでした」

「今日はすまなかった」

「いいえ。大僧正殿は謝らないでください」

「いや、お前の言うことは正しかった。我はお前から教えてもらうばかりであった」「そうですか。よかった」

翠は、ほっとしたように胸に手を当てる。「あの」

翠の指が大僧正の頬に添えられる。

「また、明日から一緒に頑張りましょう。困ったことがあったらいつでもヘルプデスクに来てください」

「え、あ、ああ、そうだ、また来るよ」

「じゃ、また」

翠はコールセンターの施錠を行い家路についた。大僧正の影法師が長く尾を引いている。そこに小柄な女のシルエットか駆け寄り重なった。
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