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我々と共に戦って頂けないでしょうか
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二人は新庄の肩を掴む。新庄はその手を払いながら、佐山の言葉を否定しようとするが、その瞬間、ゾンビどもが襲い掛かった。新庄を庇うように前に出た舞が「来やがれ」と呟きながら拳を突き出すと一匹を殴る。その顔面に命中したが、しかし彼女の方こそ倒れてしまう。殴られた人造兵士は舞の首を掴み上げ、彼女を宙づりにして締め上げるのだ。その腕を新庄が叩くが力が弱いためになかなか緩まない 佐山が駆け寄るが人造兵士はもう一体いるのだ。そっちが新庄に迫るが、佐山がその足を掴んだ。彼はそのままその足首を引っ張り転ばせることに成功するがその途端、横からきた二匹目が彼を蹴り飛ばす 佐山は床に倒れたが、その顔が痛みではなく悔しさに歪んでいることがわかる。起き上がりかけたところを三体目の人造兵士が殴りかかってきたのだ。新庄は必死になって「だめっ!」と言うが、人造兵士は聞く耳を持たない。
そのときであった。人造兵士の動きが止まったのだ。新庄も月詠と舞も同様に動きを止める。一体何故なのかわからない 新庄が周囲を見渡す。すると、そこには人造兵士と全く同じ姿形をした、彼女たちと同じ学校の制服を着た少女たちがいるではないか! 彼女らの腰にはベルトがありその背中側には剣のようなものがある!彼女達の一人が進み出る。
それは背の高い、凛々しい表情の少女で新庄達の前まで来ると腰を落として片膝をついた姿勢のまま言った。
「我々はあなた方を救いに来た! 我々と共に戦って頂けないでしょうか」
そして立ち上がり振り返ると他の生徒に向かって叫ぶ。
「敵の正体が判明しました! 奴等は機械の身体を持った少女型の戦闘人形。名前は『キカイヘイ』という。この人擬き共を駆逐した後は学校周辺一帯の警備も任される予定であります。この人型決戦兵器は我々にとって必要不可欠なものとなるはず。どうか、協力して下さい」……それはこの学園の校長からの命令であった。
○ 月詠の鼻孔に生ゴミが詰まったかのような不快感が生じた。だが、すぐにそれは治まる 彼女は辺りを見るが、そこにあるものに変化は見られない。だが、新庄達が、彼女らの戦闘衣装を纏った女子達が新庄達に歩み寄ってくる。そして、舞の手を取る者、月詠に手を伸ばす者など様々であったが、月詠の目の前に立った者が、彼女に対してこう問いかけてきた。
「貴方が隊長ですね」
○ 舞の目が開いたときだった。自分は見知らぬ部屋にいたのだ。ベッドの上で、ここはどこだと寝たままの状態で周囲を窺う。窓のない、コンクリート打ちっ放しの壁に囲まれた狭い部屋だ。そして隣に目をやれば新庄がいた。
彼女は上半身を起こしてから言う。「おいこら新庄。何でお前までここにいるんだ」
「いや、あのね舞。僕らは今さっきあの子たちに助けてもらったわけじゃない? だから、ちょっと聞いてみようと思って」
「何をだ?」
「どうして僕たちの居場所がわかったのかとか、そういうことだよ」
「なるほどな。確かにそれは気になる。だが、それよりも、まずはここを出なければならんぞ。いつまでもこんな場所にいては危険だ。これからゾンビどもの真っただ中を突っ切るが、覚悟してもらいたい。これが最短の脱出ルートなのだ。他は溶岩で塞がれている」「あぁ、わかっているさ。しかし……あのさ、舞。君は本当に女なの?」
「は? どういう意味だ?」
「いや、だってさ。君っていつも男装しているからさ。たまに本物っぽい女の子に見えるんだよ。……ほら今も」
「……」
「あ、ごめん。怒らないでよ。あぁ、もう、とにかくここから出ないとね。じゃあ行こうよ舞。……あ、そういえば舞ってさ、スカート履いたことないよね。……ほら、いつもズボンだし」
「ある」
「えぇ!? あるの!?」
「ある。小学校のときに一度だけあった。その時は、確か」
「え? 何? 何? 何があったの? ねぇ、何で黙っちゃうの!? 教えてよ舞!」
「うるさい。私は男だ」
「いや、でも、あれ、えーと、何だろう。舞? 舞? 舞?……舞? 舞ー!」
「……新庄さんは新庄さんで、舞を…」
そんなことを言っている場合ではないのにゾンビが部屋になだれ込んで来た。「新庄、早くしろ!」
「うん!」
新庄はドアを開ける。廊下に出るとそこは階段になっている。下へ降りるとそこもまたコンクリート壁で覆われた広い空間となっていた。
「この先に外へ通じる通路がある」と先頭に立って走る舞が言う。
「その前に、一つだけ言っておきたいことがあるんだけどいいかな」と新庄が言い
「何だ」
「あのさ、舞。君ってさ、本当はすごく可愛いのに、どうして性格ブスなの?まるでゾンビみたいでさ。」「…………」
「ま、待ってくれ新庄。その言葉は私にも刺さる」と、佐山が顔を青くして言い
「待て新庄。その言い方では私がまるで化け物のような」
と、そこで新庄は気づいた。自分の後ろを走っていた月詠の姿がないことに。
新庄は振り向く。すると、すぐ後ろにいたはずの月詠がいない。
「月詠!?」
新庄は走り出す。だが、行く手を阻むかのように人造兵士が現れた。
「どけ!」と新庄は叫び、人造兵士に殴りかかる。だが、その腕を掴まれて、新庄は地面に叩きつけられた。
「新庄!」と佐山が叫んだ。
新庄は人造兵士に押さえつけられながらも「月詠!」と叫ぶ。だが、その声に答える者は誰もいない。
新庄は人造兵士の腕に噛みつく。だが、それは力ずくで引き離された。
新庄は仰向けに倒れる。その腹の上に人造兵士の足が置かれる。新庄は「ぐ」と声を上げた。
「新庄!」と佐山が叫んで駆け寄り、人造兵士の足を掴んだ。
「やめろ!」佐山が叫びながら、足を引こうとするが、相手はビクともしない。
「この、この!」と佐山が叫びながら足を引っ張るが、相手の足は微動だにしなかった。佐山の顔が屈辱と怒りに歪む。
新庄は、それを見上げていた。
「佐山くん」
「新庄! 新庄!」
「佐山くん、僕は大丈夫だから、逃げて」
佐山は新庄を見下ろして歯を食い縛る。
そのときであった。
そのときであった。人造兵士の動きが止まったのだ。新庄も月詠と舞も同様に動きを止める。一体何故なのかわからない 新庄が周囲を見渡す。すると、そこには人造兵士と全く同じ姿形をした、彼女たちと同じ学校の制服を着た少女たちがいるではないか! 彼女らの腰にはベルトがありその背中側には剣のようなものがある!彼女達の一人が進み出る。
それは背の高い、凛々しい表情の少女で新庄達の前まで来ると腰を落として片膝をついた姿勢のまま言った。
「我々はあなた方を救いに来た! 我々と共に戦って頂けないでしょうか」
そして立ち上がり振り返ると他の生徒に向かって叫ぶ。
「敵の正体が判明しました! 奴等は機械の身体を持った少女型の戦闘人形。名前は『キカイヘイ』という。この人擬き共を駆逐した後は学校周辺一帯の警備も任される予定であります。この人型決戦兵器は我々にとって必要不可欠なものとなるはず。どうか、協力して下さい」……それはこの学園の校長からの命令であった。
○ 月詠の鼻孔に生ゴミが詰まったかのような不快感が生じた。だが、すぐにそれは治まる 彼女は辺りを見るが、そこにあるものに変化は見られない。だが、新庄達が、彼女らの戦闘衣装を纏った女子達が新庄達に歩み寄ってくる。そして、舞の手を取る者、月詠に手を伸ばす者など様々であったが、月詠の目の前に立った者が、彼女に対してこう問いかけてきた。
「貴方が隊長ですね」
○ 舞の目が開いたときだった。自分は見知らぬ部屋にいたのだ。ベッドの上で、ここはどこだと寝たままの状態で周囲を窺う。窓のない、コンクリート打ちっ放しの壁に囲まれた狭い部屋だ。そして隣に目をやれば新庄がいた。
彼女は上半身を起こしてから言う。「おいこら新庄。何でお前までここにいるんだ」
「いや、あのね舞。僕らは今さっきあの子たちに助けてもらったわけじゃない? だから、ちょっと聞いてみようと思って」
「何をだ?」
「どうして僕たちの居場所がわかったのかとか、そういうことだよ」
「なるほどな。確かにそれは気になる。だが、それよりも、まずはここを出なければならんぞ。いつまでもこんな場所にいては危険だ。これからゾンビどもの真っただ中を突っ切るが、覚悟してもらいたい。これが最短の脱出ルートなのだ。他は溶岩で塞がれている」「あぁ、わかっているさ。しかし……あのさ、舞。君は本当に女なの?」
「は? どういう意味だ?」
「いや、だってさ。君っていつも男装しているからさ。たまに本物っぽい女の子に見えるんだよ。……ほら今も」
「……」
「あ、ごめん。怒らないでよ。あぁ、もう、とにかくここから出ないとね。じゃあ行こうよ舞。……あ、そういえば舞ってさ、スカート履いたことないよね。……ほら、いつもズボンだし」
「ある」
「えぇ!? あるの!?」
「ある。小学校のときに一度だけあった。その時は、確か」
「え? 何? 何? 何があったの? ねぇ、何で黙っちゃうの!? 教えてよ舞!」
「うるさい。私は男だ」
「いや、でも、あれ、えーと、何だろう。舞? 舞? 舞?……舞? 舞ー!」
「……新庄さんは新庄さんで、舞を…」
そんなことを言っている場合ではないのにゾンビが部屋になだれ込んで来た。「新庄、早くしろ!」
「うん!」
新庄はドアを開ける。廊下に出るとそこは階段になっている。下へ降りるとそこもまたコンクリート壁で覆われた広い空間となっていた。
「この先に外へ通じる通路がある」と先頭に立って走る舞が言う。
「その前に、一つだけ言っておきたいことがあるんだけどいいかな」と新庄が言い
「何だ」
「あのさ、舞。君ってさ、本当はすごく可愛いのに、どうして性格ブスなの?まるでゾンビみたいでさ。」「…………」
「ま、待ってくれ新庄。その言葉は私にも刺さる」と、佐山が顔を青くして言い
「待て新庄。その言い方では私がまるで化け物のような」
と、そこで新庄は気づいた。自分の後ろを走っていた月詠の姿がないことに。
新庄は振り向く。すると、すぐ後ろにいたはずの月詠がいない。
「月詠!?」
新庄は走り出す。だが、行く手を阻むかのように人造兵士が現れた。
「どけ!」と新庄は叫び、人造兵士に殴りかかる。だが、その腕を掴まれて、新庄は地面に叩きつけられた。
「新庄!」と佐山が叫んだ。
新庄は人造兵士に押さえつけられながらも「月詠!」と叫ぶ。だが、その声に答える者は誰もいない。
新庄は人造兵士の腕に噛みつく。だが、それは力ずくで引き離された。
新庄は仰向けに倒れる。その腹の上に人造兵士の足が置かれる。新庄は「ぐ」と声を上げた。
「新庄!」と佐山が叫んで駆け寄り、人造兵士の足を掴んだ。
「やめろ!」佐山が叫びながら、足を引こうとするが、相手はビクともしない。
「この、この!」と佐山が叫びながら足を引っ張るが、相手の足は微動だにしなかった。佐山の顔が屈辱と怒りに歪む。
新庄は、それを見上げていた。
「佐山くん」
「新庄! 新庄!」
「佐山くん、僕は大丈夫だから、逃げて」
佐山は新庄を見下ろして歯を食い縛る。
そのときであった。
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