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俺は、人間とドラゴニュートの間に生まれたハーフだ
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◆
「さて、着いたぞ」
「ここが目的地なのですか?」
「そうだよ」
「ふむ。
ここは、一体どこなのですか?」
「ここか? ここは、俺の生まれ育った街だ」
「はい。
ということは、もしかして……」
「ああ。
君は、前世の記憶を持って生まれ変わった存在なんだろ?」
「やっぱり、分かってたんですね」
「そりゃあ分かるって。
だって君、人間じゃないじゃん」
そう。
俺は、目の前にいる彼女が普通の人間ではないことに気付いていた。
なぜなら、俺が今立っているこの場所は、俺の生まれ育った街の外れにある森の入り口で、しかも今は深夜の時間帯。
普段からあまり人の出入りがない場所だけに、ここに人がやって来ることなど滅多にないことなのだ。
だが、そんな場所に彼女が現れた。
それだけで、彼女がただの人間ではないことを証明しているようなものである。
「そうですか。
では、ここで話すのもなんですから、どこか別の場所に移動しましょう」
「だな」
それから俺たちは、近くの喫茶店に入り、飲み物を注文してから話をすることにした。
「改めまして、私は魔族の頂点に立つ存在である『魔王』の一人で、『サキュバス』族のリリスと申します。
以後、お見知りおきを」
「俺は、人間とドラゴニュートの間に生まれたハーフだ。
名前はエルム。
これからは、エルと呼んでくれればいい」
お互いに自己紹介を終えたところで、リリスが口を開く。
「それではエル様、まずは何から話しましょうか?」
「そうだなぁ……」少し考えた末に、一番最初に聞いておかなければならない質問をすることにした。
「なぜ君はこの世界にやってきたんだ?」「はい。
それについては、私が生まれた時のことから説明した方が良さそうですね」
「生まれた時?」
「はい。
実は私、元は人間の女の子だったんです」
「はいぃ?」
「信じられないのは当然でしょうが、これは事実なんですよ」「マジで?」
「はい。
マジです」
「そっか。
とりあえず、続きを聞かせてくれるか?」
「わかりました。
それでは、続けさせていただきますね」
そうして、彼女は語り始めた。
自分がこの世界に転生するきっかけとなった出来事を。
「さて、着いたぞ」
「ここが目的地なのですか?」
「そうだよ」
「ふむ。
ここは、一体どこなのですか?」
「ここか? ここは、俺の生まれ育った街だ」
「はい。
ということは、もしかして……」
「ああ。
君は、前世の記憶を持って生まれ変わった存在なんだろ?」
「やっぱり、分かってたんですね」
「そりゃあ分かるって。
だって君、人間じゃないじゃん」
そう。
俺は、目の前にいる彼女が普通の人間ではないことに気付いていた。
なぜなら、俺が今立っているこの場所は、俺の生まれ育った街の外れにある森の入り口で、しかも今は深夜の時間帯。
普段からあまり人の出入りがない場所だけに、ここに人がやって来ることなど滅多にないことなのだ。
だが、そんな場所に彼女が現れた。
それだけで、彼女がただの人間ではないことを証明しているようなものである。
「そうですか。
では、ここで話すのもなんですから、どこか別の場所に移動しましょう」
「だな」
それから俺たちは、近くの喫茶店に入り、飲み物を注文してから話をすることにした。
「改めまして、私は魔族の頂点に立つ存在である『魔王』の一人で、『サキュバス』族のリリスと申します。
以後、お見知りおきを」
「俺は、人間とドラゴニュートの間に生まれたハーフだ。
名前はエルム。
これからは、エルと呼んでくれればいい」
お互いに自己紹介を終えたところで、リリスが口を開く。
「それではエル様、まずは何から話しましょうか?」
「そうだなぁ……」少し考えた末に、一番最初に聞いておかなければならない質問をすることにした。
「なぜ君はこの世界にやってきたんだ?」「はい。
それについては、私が生まれた時のことから説明した方が良さそうですね」
「生まれた時?」
「はい。
実は私、元は人間の女の子だったんです」
「はいぃ?」
「信じられないのは当然でしょうが、これは事実なんですよ」「マジで?」
「はい。
マジです」
「そっか。
とりあえず、続きを聞かせてくれるか?」
「わかりました。
それでは、続けさせていただきますね」
そうして、彼女は語り始めた。
自分がこの世界に転生するきっかけとなった出来事を。
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