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「16歳にとって、25歳はおばちゃんでしょう?
お見合いの意味なんてあるのかしら」
その場が凍りついた。
娘の父親である公爵閣下など、顔を青ざめさせている。
孫を連れてきた、実質公爵の部下である男爵も顔を硬らさせている。
本日は公爵邸の美しく整えられた庭で、公爵の長子であり長女、総領娘アイリーンのお見合いが行われていた。
相手は武闘派を誇る、公爵の長年の戦友であり片腕でもある男爵の孫息子ノエルだ。
アイリーンは25歳。
世間一般では行き遅れと言われている。
ノエルは16歳。
この若さでAランクに昇級している新進気鋭の若手冒険者だ。
本来なら身分的にも年齢的にも顔を合わせることのないはずの二人だが、どうしても結婚したくないアイリーンに父親として婚約者を作りたい公爵と、公爵の気持ちを汲んだ男爵により、このお見合いは強行された。
ノエルなど、つい昨日お見合いの事を聞かされて目がこぼれ落ちんばかりに驚いた。
なにせお見合い相手が世に聞こえた悪女アイリーンだったのだから。
凍りついた場の空気を読んで、男爵が孫に合図を送る。
なんとかしろ、と。
ノエルは割と本気で困った。
アイリーンは目が覚めるほどの美人だった。
悪女と噂されているが、見た感じ悪女な雰囲気はない。
公爵令嬢にしては物言いがストレートかもしれないが、悪意は感じない。
ノエルは、目が覚めるほどの美人を相手におばちゃんなどと思う事はなかったが、それを伝えられるほど達者な口の持ち合わせがなかった。
なにより、逆を返せば彼女に取って十も年下の自分は相手にならないほど子どもだという事だろう。
そもそも突然、祖父に放り込まれた見合いの席だ。色恋に対する熱量が足りない。
祖父の視線から目を逸らしながら、曖昧な笑みを浮かべるのが精一杯出来る事だった。
お見合いの意味なんてあるのかしら」
その場が凍りついた。
娘の父親である公爵閣下など、顔を青ざめさせている。
孫を連れてきた、実質公爵の部下である男爵も顔を硬らさせている。
本日は公爵邸の美しく整えられた庭で、公爵の長子であり長女、総領娘アイリーンのお見合いが行われていた。
相手は武闘派を誇る、公爵の長年の戦友であり片腕でもある男爵の孫息子ノエルだ。
アイリーンは25歳。
世間一般では行き遅れと言われている。
ノエルは16歳。
この若さでAランクに昇級している新進気鋭の若手冒険者だ。
本来なら身分的にも年齢的にも顔を合わせることのないはずの二人だが、どうしても結婚したくないアイリーンに父親として婚約者を作りたい公爵と、公爵の気持ちを汲んだ男爵により、このお見合いは強行された。
ノエルなど、つい昨日お見合いの事を聞かされて目がこぼれ落ちんばかりに驚いた。
なにせお見合い相手が世に聞こえた悪女アイリーンだったのだから。
凍りついた場の空気を読んで、男爵が孫に合図を送る。
なんとかしろ、と。
ノエルは割と本気で困った。
アイリーンは目が覚めるほどの美人だった。
悪女と噂されているが、見た感じ悪女な雰囲気はない。
公爵令嬢にしては物言いがストレートかもしれないが、悪意は感じない。
ノエルは、目が覚めるほどの美人を相手におばちゃんなどと思う事はなかったが、それを伝えられるほど達者な口の持ち合わせがなかった。
なにより、逆を返せば彼女に取って十も年下の自分は相手にならないほど子どもだという事だろう。
そもそも突然、祖父に放り込まれた見合いの席だ。色恋に対する熱量が足りない。
祖父の視線から目を逸らしながら、曖昧な笑みを浮かべるのが精一杯出来る事だった。
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