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自動車を利用してたどり着いたのは、懐かしの我が家である。やはり、実家というのは世界のどこよりも安心できる場所だ。
「ただいまー」
一番最初に出迎えてくれたのは母だ。白髪が増えただろうか。腰が曲がっただろうか。どちらにしろ、まだまだ元気そうだ。
「あ、お帰り。お休み、もらったんだってね。こんなボロい家でよかったら、ゆっくりしてきなさいよ」
「そーさせてもらう。俺の部屋は? 」
「掃除だけしてそのままにしといてあるよ。ベッドも前日に綺麗にしたから」
自身の部屋に入ると、懐かしい匂いが漂ってきた。なんともいえないクセになる香りである。
しかし、そんなことをしている場合ではない。夏彦はもっと違う理由でここに帰ってきたのだ。引っ越しなどしていないだろうか。夏彦はかつて星影家のあった高級マンションを訪れることにした。
-マンション-
「相も変わらずでかい......」
老朽化している様子もなく、以前と同じような高級感が溢れている。エレベーターに乗って目的の階までくると、なんともいえない緊張感が夏彦の体を包んだ。
遥、身長は伸びているだろうか。女子というぐらいだから、いろいろな部位も発育しているのか。陰キャ女子か。不思議ちゃんか。どうなっていようと、再開を果たすということに変わりはない。
インターホンを押してすぐに返事が聞こえた。機会越しでよく分からなかったが、遥の母、美月の声だった。
「はーい? 」
「オリノ ナツヒコです。覚えてくれてたら幸いなんですが」
名乗ると、美月は驚いた声をあげてインターホンをきり、玄関先へと向かった。
「ナツヒコくん!? 」
「はい、久しぶりっす」
久しぶりーなどという言葉を言われた後、美月は夏彦に向かって手を合わせた。昔と変わらぬ性格と見た目でだ。
「ごめんナツヒコくん! そうそうに悪いんだけど、高校にハルカを迎えにいってくれないかな? ほらさ、バイト代出すよ! 」
美月は少々涙眼になっていた。そうとう急いでいるのだろう。粗方、仕事で手が離せないといったところだろうか。
「はい、全然いいですよ」
よかったぁ、といって美月は夏彦に車の鍵を手渡した。
「黒いおっきめの車だからさ。それ使って迎えに行って。いやぁハルカ驚くだろうなぁ」
驚く。それは夏彦も思っていたことだ。楽しみで仕方がなかったのだ。そんなことを胸中に置きながら、夏彦は美月の車で遥の高校へと向かった。
-天川高等学校-
校門のすぐ近くに車を停め、運転席で遥を待つ。丁度下校時間になったようで、わらわらと生徒たちが校舎から出てきた。
校門に向かう生徒の中に、スマホをいじりながら、明らかにこちらに向かってきている生徒がいた。きっと遥だ。
身長もほとんど変わらず。顔はよく見えない。一番驚いたのは髪の毛の色だ。金ピカに染められており、明らかにギャルという感じだ。
遥はスマホを見ながら車に乗り込んだ。
「ただいまー」
迎えに来たのが美月だと思っているらしい。いよいよ待ちわびた瞬間だ。
「お帰り」
遥は一瞬動きが止まった。そして、脳震盪が起きるほどに思い切りバックミラーを見た。鏡越しに、夏彦の四白眼と、あの頃と替わらない遥のキラキラした目が合った。
「ナツヒコ......にいちゃ」
「ただいまー」
一番最初に出迎えてくれたのは母だ。白髪が増えただろうか。腰が曲がっただろうか。どちらにしろ、まだまだ元気そうだ。
「あ、お帰り。お休み、もらったんだってね。こんなボロい家でよかったら、ゆっくりしてきなさいよ」
「そーさせてもらう。俺の部屋は? 」
「掃除だけしてそのままにしといてあるよ。ベッドも前日に綺麗にしたから」
自身の部屋に入ると、懐かしい匂いが漂ってきた。なんともいえないクセになる香りである。
しかし、そんなことをしている場合ではない。夏彦はもっと違う理由でここに帰ってきたのだ。引っ越しなどしていないだろうか。夏彦はかつて星影家のあった高級マンションを訪れることにした。
-マンション-
「相も変わらずでかい......」
老朽化している様子もなく、以前と同じような高級感が溢れている。エレベーターに乗って目的の階までくると、なんともいえない緊張感が夏彦の体を包んだ。
遥、身長は伸びているだろうか。女子というぐらいだから、いろいろな部位も発育しているのか。陰キャ女子か。不思議ちゃんか。どうなっていようと、再開を果たすということに変わりはない。
インターホンを押してすぐに返事が聞こえた。機会越しでよく分からなかったが、遥の母、美月の声だった。
「はーい? 」
「オリノ ナツヒコです。覚えてくれてたら幸いなんですが」
名乗ると、美月は驚いた声をあげてインターホンをきり、玄関先へと向かった。
「ナツヒコくん!? 」
「はい、久しぶりっす」
久しぶりーなどという言葉を言われた後、美月は夏彦に向かって手を合わせた。昔と変わらぬ性格と見た目でだ。
「ごめんナツヒコくん! そうそうに悪いんだけど、高校にハルカを迎えにいってくれないかな? ほらさ、バイト代出すよ! 」
美月は少々涙眼になっていた。そうとう急いでいるのだろう。粗方、仕事で手が離せないといったところだろうか。
「はい、全然いいですよ」
よかったぁ、といって美月は夏彦に車の鍵を手渡した。
「黒いおっきめの車だからさ。それ使って迎えに行って。いやぁハルカ驚くだろうなぁ」
驚く。それは夏彦も思っていたことだ。楽しみで仕方がなかったのだ。そんなことを胸中に置きながら、夏彦は美月の車で遥の高校へと向かった。
-天川高等学校-
校門のすぐ近くに車を停め、運転席で遥を待つ。丁度下校時間になったようで、わらわらと生徒たちが校舎から出てきた。
校門に向かう生徒の中に、スマホをいじりながら、明らかにこちらに向かってきている生徒がいた。きっと遥だ。
身長もほとんど変わらず。顔はよく見えない。一番驚いたのは髪の毛の色だ。金ピカに染められており、明らかにギャルという感じだ。
遥はスマホを見ながら車に乗り込んだ。
「ただいまー」
迎えに来たのが美月だと思っているらしい。いよいよ待ちわびた瞬間だ。
「お帰り」
遥は一瞬動きが止まった。そして、脳震盪が起きるほどに思い切りバックミラーを見た。鏡越しに、夏彦の四白眼と、あの頃と替わらない遥のキラキラした目が合った。
「ナツヒコ......にいちゃ」
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