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惚れた
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「ぐー......すぴー」
熟睡する夏彦。やはり実家はいいものだ。リラックスして、仕事から解放され、自由に毎日を過ごすことができる。彼にとってこの時間は、久しく忘れていた怠けの精神であった。
しかし、彼は朝から顔を真っ赤に染めることになる。
「ん、んん......」
少し手持ちぶさたになったのか、夏彦はその場にあった毛布と思われるものを抱いた。妙に柔らかさがある。それに少し小さい。更にいい匂いまでする。これは。
「ダメだよぉ。女子高生にこんなことしちゃぁ」
「ぶわぁあああ!! ハルカ!? 」
そう、今の今まで抱いていたのは、夏彦に内緒で泊まりに来ていた遥であった。パジャマという薄着から、肌の感触が直と同レベルで手に伝わってきていた。細身に見えるが割と肉付きがよいその体は、その手の男を骨抜きにする、ある意味ナイスバディなのであった。
「でも積極的なナツヒコにいちゃんも、好みかなぁ? 」
相変わらずのにやけ顔に、夏彦は可愛らしさを感じてしまった。不覚であった。
「へ、変なこというなよ! 」
-ショッピングセンター-
これは予測だが、今日が平日でなかったら遥はついてきていただろう。その場合、夏彦は買いたいものも買えず、行きたいところにも行けず、周りの男性たちに羨ましそうな目で見られていたことだろう。
しかし、今日は遥がいない。そんなことも起きず、平和なまま買い物を済ませることができるのだ。
そんな淡い理想を思い描いていた。
「たまにはエレベーターでも使うか」
色々な場所を巡っているうちに、荷物がなかなかの多さになってしまった。仕事で慣れているとはいえ、このまま階段を登るのは、25歳のおじさんには少々キツいだろう。
上の矢印ボタンを押して待つ。しばらくすると上のランプが点滅し、扉が開いた。これで楽に上の階に上がれる、などと思ったのは間違いだった。
「あれ? ナツっぴぢゃん? 」
エレベーターの中にいたのは、先日遥と火花を散らしていた咲であった。咲本人を含む4人のグラマラスなギャルたちが、エレベーター内にひしめき合っていたのだ。
「......それじゃ」
「ちょーっと待ってよぉー」
夏彦が逃げようとすると、それを予想していた咲は、これはチャンスとばかりに夏彦の腕を掴んだ。そのたわわを夏彦に押し付ける形となっていたが、咲はこれっぽっちも恥ずかしがることはなかった。夏彦の反応を見て楽しんでいるのだ。
「ウチ、せっかく部活サボったのに結局暇でさぁ。ちょっと遊びに付き合ってくんない? 」
「いや、俺も時間とか......」
「ダイジョブダイジョブ。すぐに終わるからさ」
「......まあすぐに終わるなら」
-3時間後-
「じゃあさ、もっかいプリ撮ろうよ! 」
「いいね~! 」
ギャル集団に連れ回される夏彦。本日3回目のプリクラ撮影である。その度に可愛く加工され、勝手に財布に写真を入れられるのだ。もう夏彦の肉体はもぬけの殻と化していた。
「はいチーズー! 」
パシャリと音がして写真が撮れる。更に可愛い文字やマークを付け足せば完成だ。ギャルたちは一斉に外に出て、ハサミで人数分切り出し、バッグの中に入れている。
「いやぁたのしーね! ナツっぴもたのしーでしょ? 」
「......はい」
「よーしじゃあ次はどこ行こっか! 」
夏彦の手を引き、意気揚々とゲームセンターを出ようとする咲。
しかし、ゲーム機のコンセントを保護するためのプラスチックのカバーに足を引っかけ、バランスを崩した。
「いや......! 」
このままではゲーム機に激突する。そうなれば、自慢の顔も傷付いてしまうだろう。
だが、ある人物がそれを許さなかった。
「アブねぇッ! 」
夏彦は、体が勝手に動くという現象を人生で初めて体験した。夏彦の体は、綿のようになめらかな咲の肌を傷つけぬよう、ふわりと受け止めた。そのままお姫様へ移行する形だった。
「あ、ありがと......」
「おう......」
しばしの沈黙。落ち着いてから周りのギャルたちは、2人のことをからかい始めた。やれ付き合えだの籍入れろだの。夏彦はそれに対して赤面しながら反論していたが、咲は少し違った。
「......」
腰が抜けているのを察していつまでも抱えていてくれ、安心して涙を流す自分の顔をさりげなく隠してくれる夏彦が、咲の目にとても魅力的に映った。やがて、体が密着していることに心臓の鼓動の加速を覚えた。さっきまでは自分から密着するほどだったのにも関わらずだ。
「ったく......サキ、大丈夫か? 」
このまま補助されて立ってしまっては、一緒にいられなくなる。咄嗟にそう思った咲は、仕事で少々発達した夏彦の胸板に顔をうずくめた。ギューっと抱き締める感じだ。
「サキ......? 」
「......もうちょっとだけ、ちょっとだけだから」
震える声を抑え、夏彦の胸に涙を押し付けて更に強く抱き締める咲。
「......ああ、いいぞ」
天使のような包容力で咲を包み込む夏彦。年下からモテるのがよく分かる。
しかしそれは時として、また異なる人物との関係をもつことにもなるのだ。
熟睡する夏彦。やはり実家はいいものだ。リラックスして、仕事から解放され、自由に毎日を過ごすことができる。彼にとってこの時間は、久しく忘れていた怠けの精神であった。
しかし、彼は朝から顔を真っ赤に染めることになる。
「ん、んん......」
少し手持ちぶさたになったのか、夏彦はその場にあった毛布と思われるものを抱いた。妙に柔らかさがある。それに少し小さい。更にいい匂いまでする。これは。
「ダメだよぉ。女子高生にこんなことしちゃぁ」
「ぶわぁあああ!! ハルカ!? 」
そう、今の今まで抱いていたのは、夏彦に内緒で泊まりに来ていた遥であった。パジャマという薄着から、肌の感触が直と同レベルで手に伝わってきていた。細身に見えるが割と肉付きがよいその体は、その手の男を骨抜きにする、ある意味ナイスバディなのであった。
「でも積極的なナツヒコにいちゃんも、好みかなぁ? 」
相変わらずのにやけ顔に、夏彦は可愛らしさを感じてしまった。不覚であった。
「へ、変なこというなよ! 」
-ショッピングセンター-
これは予測だが、今日が平日でなかったら遥はついてきていただろう。その場合、夏彦は買いたいものも買えず、行きたいところにも行けず、周りの男性たちに羨ましそうな目で見られていたことだろう。
しかし、今日は遥がいない。そんなことも起きず、平和なまま買い物を済ませることができるのだ。
そんな淡い理想を思い描いていた。
「たまにはエレベーターでも使うか」
色々な場所を巡っているうちに、荷物がなかなかの多さになってしまった。仕事で慣れているとはいえ、このまま階段を登るのは、25歳のおじさんには少々キツいだろう。
上の矢印ボタンを押して待つ。しばらくすると上のランプが点滅し、扉が開いた。これで楽に上の階に上がれる、などと思ったのは間違いだった。
「あれ? ナツっぴぢゃん? 」
エレベーターの中にいたのは、先日遥と火花を散らしていた咲であった。咲本人を含む4人のグラマラスなギャルたちが、エレベーター内にひしめき合っていたのだ。
「......それじゃ」
「ちょーっと待ってよぉー」
夏彦が逃げようとすると、それを予想していた咲は、これはチャンスとばかりに夏彦の腕を掴んだ。そのたわわを夏彦に押し付ける形となっていたが、咲はこれっぽっちも恥ずかしがることはなかった。夏彦の反応を見て楽しんでいるのだ。
「ウチ、せっかく部活サボったのに結局暇でさぁ。ちょっと遊びに付き合ってくんない? 」
「いや、俺も時間とか......」
「ダイジョブダイジョブ。すぐに終わるからさ」
「......まあすぐに終わるなら」
-3時間後-
「じゃあさ、もっかいプリ撮ろうよ! 」
「いいね~! 」
ギャル集団に連れ回される夏彦。本日3回目のプリクラ撮影である。その度に可愛く加工され、勝手に財布に写真を入れられるのだ。もう夏彦の肉体はもぬけの殻と化していた。
「はいチーズー! 」
パシャリと音がして写真が撮れる。更に可愛い文字やマークを付け足せば完成だ。ギャルたちは一斉に外に出て、ハサミで人数分切り出し、バッグの中に入れている。
「いやぁたのしーね! ナツっぴもたのしーでしょ? 」
「......はい」
「よーしじゃあ次はどこ行こっか! 」
夏彦の手を引き、意気揚々とゲームセンターを出ようとする咲。
しかし、ゲーム機のコンセントを保護するためのプラスチックのカバーに足を引っかけ、バランスを崩した。
「いや......! 」
このままではゲーム機に激突する。そうなれば、自慢の顔も傷付いてしまうだろう。
だが、ある人物がそれを許さなかった。
「アブねぇッ! 」
夏彦は、体が勝手に動くという現象を人生で初めて体験した。夏彦の体は、綿のようになめらかな咲の肌を傷つけぬよう、ふわりと受け止めた。そのままお姫様へ移行する形だった。
「あ、ありがと......」
「おう......」
しばしの沈黙。落ち着いてから周りのギャルたちは、2人のことをからかい始めた。やれ付き合えだの籍入れろだの。夏彦はそれに対して赤面しながら反論していたが、咲は少し違った。
「......」
腰が抜けているのを察していつまでも抱えていてくれ、安心して涙を流す自分の顔をさりげなく隠してくれる夏彦が、咲の目にとても魅力的に映った。やがて、体が密着していることに心臓の鼓動の加速を覚えた。さっきまでは自分から密着するほどだったのにも関わらずだ。
「ったく......サキ、大丈夫か? 」
このまま補助されて立ってしまっては、一緒にいられなくなる。咄嗟にそう思った咲は、仕事で少々発達した夏彦の胸板に顔をうずくめた。ギューっと抱き締める感じだ。
「サキ......? 」
「......もうちょっとだけ、ちょっとだけだから」
震える声を抑え、夏彦の胸に涙を押し付けて更に強く抱き締める咲。
「......ああ、いいぞ」
天使のような包容力で咲を包み込む夏彦。年下からモテるのがよく分かる。
しかしそれは時として、また異なる人物との関係をもつことにもなるのだ。
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