猫魔んま

まこる

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魔法

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「私は、人間の世界で生きていきます!! 」

モキは高らかに宣言した。それに反応して、茶色の猫は坂東の肩に乗り、オーラを発した。

「いいでしょう。そこまでいうのなら、このアレク、全力でお相手いたしましょう」

アレクが全身に力を入れたと思うと、アレクと坂東を中心に、不思議な空間が形成された。

「ここは? 」

「アレク! 猫魔にゃんまの世界の一部を人間の世界に! 」

肩に乗っていたモキは、周りを見回しながら言った。

猫魔にゃんまの世界とは、私たちが住む世界のことです。それの一部を人間の世界に召喚する、猫魔にゃんまなら誰でもできる魔法です。猫魔にゃんまの世界の時間は、人間の世界に流れる時間の1/1000。この空間を召喚したということは、全力の魔法を使うということでしょう。猫魔にゃんまは人間の世界では人間を介さなければ魔法を使えない。だから、自由に魔法が使える猫魔にゃんまの世界を召喚したんでしょう」

「な、なるほど」

「私も力を使わなければ! 」

モキも、アレクと同じようにオーラを発し、魔法を使った。それは、モキ自身と、摩度を包むぐらいのバリアであった。

「私の魔法はバリアを張るだけ。攻撃力は皆無です。なので、相手の魔力切れまで待つしかないんです」 

そう言っている間にも、アレク達は近づいてきている。アレク自身は、炎を纏っていた。

「私は、炎を操る。少々火傷を負うかも知れませんが、顔以外であれば問題はない」

射程距離内に入ると、バリアの外が瞬時に火の海になってしまった。アレク達が内側からは見えなくなる程の豪炎であった。

「はっはっは、出てこいよ摩度。いつもの100倍ぐらい痛ぇけどな」

「クソッ」

しばらくバリアを張っていると、モキの息切れが聞こえてきた。

「モキ? どうしたんだ? 」

「えへへ、普段は一匹分しかバリアを張らないので、大規模なバリアに慣れてなくて、だんだん......魔力が......」

摩度自身も、バリアがだんだん薄くなってきているのを感じていた。

そしてある時、摩度に名案が浮かんだ。

「モキ、考えがある」

一方アレクも、魔力の消費に頭を抱えていた。

「流石に王族。バリアを張るだけの能力でも、魔力量は普通じゃない。一度、豪炎を解きましょうか」

炎が途切れた瞬間を狙って、モキがアレクにバリアを貼った状態で突進してきた。

「こ、この!! 」

「今です猫子さん!! 」

モキの陰から出てきたのは、自身の拳にモキのバリアを貼った摩度だった。

「うおおおおお!! 」

摩度には力がない。とは言っても、本気で殴れば常人が怯むぐらいの攻撃はできる。それに加えて、炎をも防ぐことができるカチコチのバリアを拳に纏っている。

「テメェ、摩度ィ!! 」

「おらぁああああああ!! 」

この空間は、アレクが坂東を介して発動している。つまりは、坂東を殴れば。

この空間から出られる。

「ぐぼはぁあッ!! 」

「坂東!! 」

案の定、元の人間の世界に戻ってくることができた。

「逃げるよモキ!! 」

「は、はい!! 」

摩度は、モキを抱えて教室へと戻った。

「はあ......はあ......」

「随分早かったし、疲れてるでござるな。大丈夫でござるか? 」

すっとんきょうな顔をした手茂の顔を見たら、緊張感が和らいだ。

「あ、ああ。なんでもないよ。ハハ......はぁーあ」

誰かと一緒にいれば、向こうも仕掛けてはこないだろう。

-帰宅-

学校も終わり、いつもの通学路を歩いていると、鞄から顔を出したモキが喋った。

「猫子さん、すみません。色々と話していなくて」

「モキ......」

「嫌われるのが、怖かったんです。猫子さんに。あんな小さな鳴き声の私を見つけてくれて、お風呂にも入れてくれた。私、あんなに心から優しくされたの初めてだったんです。その上、私に家に居ないかとまで言ってくれた。そんな猫子さんに嫌われるのが。怖くて怖くて......すみません」

摩度はしばらく沈黙した。その後、ゆっくりと口を開いた。

「僕は男だし、ただの人間だから、女王の苦労とか、猫魔にゃんまにとって大変なこととか分からない。だけどさ」

摩度は、鞄からモキを取り出し、優しく抱いた。

「モキには笑顔でいてほしい。だって、こんなに可愛くて、こんなに強くて、こんなに優しいんだからさ」

そう言われた瞬間、モキの目には涙が浮かんでいた。夕日に照らされ、それは美しく輝いていた。

「猫子さん......」

「......で、あのさ」

「へ? 」

「モキって女の子ってことだよね」

「はい......はッ!! 」

モキも気付いたようだ。毛で覆われているため分からないが、きっと赤面していることだろう。

「お風呂......入れちゃったね」

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