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新たな猫魔
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ある日の休日。モキをリュックに入れて出掛けているときに、それと出会った。
「モキは何かほしいものある? 」
「ほしいものですか......普通の猫が喜ぶものはだいたい猫魔も喜びますから、そういったものですね」
「なるほどなるほど......ん? 」
何やら前から音がする。音のする方向にある坂の上の方から降りて来ているのは、男に追いかけられている猫だった。
「まてこの猫!! 絶対に捕まえてやるからな!! 」
その猫は、めざしを咥えていた。大方、その猫にめざしをとられて怒っているといったところだろう。
「よっと」
摩度は、前から迫ってくるその猫を抱き抱えた。
「おお、ありがとうなボウズ」
「あの、めざしをとられたんですか? 」
「ああ、楽しみにしてたのによぉ。そいつを一発叩かねぇと気が済まねぇ! 」
かなりいきり立っている。このまま猫が叩かれるのを黙って見ているわけにもいかなかった。
「あの、この子の責任は僕が果たします。めざしはいくらぐらいですか? 」
「ん? 大体300円ぐらいだったかな」
「はい。慰謝料も含めまして、ここは1000円でどうにか」
そこまで払ってくれるとは思わなかったようで、男の方も驚いていた。
「おお! 話が分かるなぁボウズ。悪かったなそこの猫も。もうめざしとんなよ」
根はいい人のようだ。1000円を握りしめ、どこかへ行ってしまった。
「いやぁ、助けてくれるとは思ってもみませんでした」
「やっぱり君も猫魔なんだね? 」
「よくぞご存じで! 」
その三毛猫は、摩度の腕をするりと抜け出し、軽やかに着地した後お辞儀をした。
「僕の名前はニーレです。改めて、助けてくださりありがとうございます。何かお礼がしたいのですが、何かできることはありますでしょうか? 」
「に、ニーレですか?! 」
リュックからいつの間にか顔を出していたモキが言った。
「ええ! モキ?! なんでこんなところに? 」
詳しい事情は、買い物をしてから、家に帰ってゆっくり聞くことにした。
-自宅-
帰ってきてから、ニーレといった猫魔は、モキと向かい合った。向かい合ったといっても、ニーレの方はモキから目を反らしているのだが。モキは心なしか怒っているようにも見えた。いや、明らかに怒っている。
摩度は無意識に、二匹の会話をあまり聞かないようにしにしていた。
「ニーレ? 次期女王になるためにお勉強をさせていたはずですけど、これはどうしたことなのかしら? 」
「い、いやぁ。色々事情がありまして......」
ニーレは冷や汗をかきながら、やっとのことでモキの話を聞いているといった感じだった。
「......ニーレ、民を思う気持ちは、もちろん私にもあります。しかし、女王が私でなくてもいいんじゃないでしょうか? 私と腹違いの姉妹のあなただから、ちゃんとお勉強をすれば、次期女王の座につくことができるはずです。今のところ、迎えにはアレクしか来ていませんが......」
それを聞くとニーレは、ホッとしたような表情をした。
「そ、そうなんだね......あの、猫子さんでしたっけ。突然で申し訳ないんですが、私をここに置いていただけませんか? 」
「ニーレ、どうして急にそんな」
「い、いや。またモキを狙う猫魔がたくさん現れるかもしれないし、その時に守れるように......」
「まあ、守ってくれるのならありがたいけど......猫子さんは? 」
摩度としては、モキを守ってくれる存在が増えること。あと、もふもふが増えることは、自分にとって良いこと尽くめだった。断る理由はない。
摩度は快くニーレを迎え入れた。
「モキは何かほしいものある? 」
「ほしいものですか......普通の猫が喜ぶものはだいたい猫魔も喜びますから、そういったものですね」
「なるほどなるほど......ん? 」
何やら前から音がする。音のする方向にある坂の上の方から降りて来ているのは、男に追いかけられている猫だった。
「まてこの猫!! 絶対に捕まえてやるからな!! 」
その猫は、めざしを咥えていた。大方、その猫にめざしをとられて怒っているといったところだろう。
「よっと」
摩度は、前から迫ってくるその猫を抱き抱えた。
「おお、ありがとうなボウズ」
「あの、めざしをとられたんですか? 」
「ああ、楽しみにしてたのによぉ。そいつを一発叩かねぇと気が済まねぇ! 」
かなりいきり立っている。このまま猫が叩かれるのを黙って見ているわけにもいかなかった。
「あの、この子の責任は僕が果たします。めざしはいくらぐらいですか? 」
「ん? 大体300円ぐらいだったかな」
「はい。慰謝料も含めまして、ここは1000円でどうにか」
そこまで払ってくれるとは思わなかったようで、男の方も驚いていた。
「おお! 話が分かるなぁボウズ。悪かったなそこの猫も。もうめざしとんなよ」
根はいい人のようだ。1000円を握りしめ、どこかへ行ってしまった。
「いやぁ、助けてくれるとは思ってもみませんでした」
「やっぱり君も猫魔なんだね? 」
「よくぞご存じで! 」
その三毛猫は、摩度の腕をするりと抜け出し、軽やかに着地した後お辞儀をした。
「僕の名前はニーレです。改めて、助けてくださりありがとうございます。何かお礼がしたいのですが、何かできることはありますでしょうか? 」
「に、ニーレですか?! 」
リュックからいつの間にか顔を出していたモキが言った。
「ええ! モキ?! なんでこんなところに? 」
詳しい事情は、買い物をしてから、家に帰ってゆっくり聞くことにした。
-自宅-
帰ってきてから、ニーレといった猫魔は、モキと向かい合った。向かい合ったといっても、ニーレの方はモキから目を反らしているのだが。モキは心なしか怒っているようにも見えた。いや、明らかに怒っている。
摩度は無意識に、二匹の会話をあまり聞かないようにしにしていた。
「ニーレ? 次期女王になるためにお勉強をさせていたはずですけど、これはどうしたことなのかしら? 」
「い、いやぁ。色々事情がありまして......」
ニーレは冷や汗をかきながら、やっとのことでモキの話を聞いているといった感じだった。
「......ニーレ、民を思う気持ちは、もちろん私にもあります。しかし、女王が私でなくてもいいんじゃないでしょうか? 私と腹違いの姉妹のあなただから、ちゃんとお勉強をすれば、次期女王の座につくことができるはずです。今のところ、迎えにはアレクしか来ていませんが......」
それを聞くとニーレは、ホッとしたような表情をした。
「そ、そうなんだね......あの、猫子さんでしたっけ。突然で申し訳ないんですが、私をここに置いていただけませんか? 」
「ニーレ、どうして急にそんな」
「い、いや。またモキを狙う猫魔がたくさん現れるかもしれないし、その時に守れるように......」
「まあ、守ってくれるのならありがたいけど......猫子さんは? 」
摩度としては、モキを守ってくれる存在が増えること。あと、もふもふが増えることは、自分にとって良いこと尽くめだった。断る理由はない。
摩度は快くニーレを迎え入れた。
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