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赤羽美也子
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「じゃあ、何か? この妙な状況は、ユーレイのせいだってのか?」
「それはまだ分かりません。霊的な存在は確かに感じますが、とても気配が弱い。今のところは対話できそうにありません」
「はぁ。あー、クソ。だったらあれか、あの妙な夢もユーレイの仕業なのかもな」
夢?
美也子は思わず顔を上げたが、反応したのは彼女だけではなかった。全員がその一言に引き付けられたかのように硯を見ている。
そうまで注目されるとは思わなかったのか、当の硯は面食らった様子で体を引く。
「な、なんだよ」
「その夢ってどんなの?」
「どんなって……なんか、妙な夢だよ。暗い水の中みたいなところで、子供の声が聞こえて……暗いとか寒いとか。ここで目が覚める前、そんな夢を見てた」
硯の言葉で断片的に語られるその内容は、美也子が見たものと完全に一致していた。
それどころか。
「私も。全く同じ夢を見てた」
照永も、岸見も、そしてノアも。全員が同じ夢を見たという。
夢として考えれば、不気味ではあるがさほど特殊なものでもない。人間は時として覚醒時には想像もできないような悍ましい悪夢を見ることがある。
しかし、その場にいる全員が同じ夢を見たとなれば話は変わって来る。
明らかに異常だ。
「ただの夢じゃなかった、ってこと……?」
照永の声は緊張に強張っている。
「ただの夢じゃなければ何なんだよ」
「幽霊がオレたちに同じ夢を見せた、とか」
「はは、」
硯は軽く笑い飛ばそうとしたようだが、空回り感が否めない。
「……実は、あの夢について、ひとつ心当たりがあります」
ノアの言葉に全員が身を乗り出す。
「心当たりって?」
「詳しい資料は僕の荷物に入っているはずです。一度確認させてください」
「何だよ、勿体つけやがって」
肩透かしをくらって不満も出たが、各々の手荷物を探すという流れには誰も反対がなかった。
ならば次はどのように探すかだ。
それぞれに意見を出し、今後のことを話し合っていく。この異常な状況から脱出するためには手を取り合うことが必要だ。例え内心では何を思っていたとしても。
だからこそ、美也子は緊張を表情に滲ませながらも、せいいっぱい積極的な姿勢を見せた。
協力し合うために、疑われてはいけない。
暴かれてはいけない。
自分が本物の赤羽美也子でないことは、決して知られてはいけないのだ。
「それはまだ分かりません。霊的な存在は確かに感じますが、とても気配が弱い。今のところは対話できそうにありません」
「はぁ。あー、クソ。だったらあれか、あの妙な夢もユーレイの仕業なのかもな」
夢?
美也子は思わず顔を上げたが、反応したのは彼女だけではなかった。全員がその一言に引き付けられたかのように硯を見ている。
そうまで注目されるとは思わなかったのか、当の硯は面食らった様子で体を引く。
「な、なんだよ」
「その夢ってどんなの?」
「どんなって……なんか、妙な夢だよ。暗い水の中みたいなところで、子供の声が聞こえて……暗いとか寒いとか。ここで目が覚める前、そんな夢を見てた」
硯の言葉で断片的に語られるその内容は、美也子が見たものと完全に一致していた。
それどころか。
「私も。全く同じ夢を見てた」
照永も、岸見も、そしてノアも。全員が同じ夢を見たという。
夢として考えれば、不気味ではあるがさほど特殊なものでもない。人間は時として覚醒時には想像もできないような悍ましい悪夢を見ることがある。
しかし、その場にいる全員が同じ夢を見たとなれば話は変わって来る。
明らかに異常だ。
「ただの夢じゃなかった、ってこと……?」
照永の声は緊張に強張っている。
「ただの夢じゃなければ何なんだよ」
「幽霊がオレたちに同じ夢を見せた、とか」
「はは、」
硯は軽く笑い飛ばそうとしたようだが、空回り感が否めない。
「……実は、あの夢について、ひとつ心当たりがあります」
ノアの言葉に全員が身を乗り出す。
「心当たりって?」
「詳しい資料は僕の荷物に入っているはずです。一度確認させてください」
「何だよ、勿体つけやがって」
肩透かしをくらって不満も出たが、各々の手荷物を探すという流れには誰も反対がなかった。
ならば次はどのように探すかだ。
それぞれに意見を出し、今後のことを話し合っていく。この異常な状況から脱出するためには手を取り合うことが必要だ。例え内心では何を思っていたとしても。
だからこそ、美也子は緊張を表情に滲ませながらも、せいいっぱい積極的な姿勢を見せた。
協力し合うために、疑われてはいけない。
暴かれてはいけない。
自分が本物の赤羽美也子でないことは、決して知られてはいけないのだ。
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