夢じゃなかった!?

Rin’

文字の大きさ
上 下
320 / 599
マジェストーラ国立魔法学院 編入

美しき情景3

しおりを挟む
いやいや、やっぱりダメダメ。無理無理。ここはただの庭じゃない気がするし。それに暗いけど、もし私達が庭に入ったら、他のお客が庭を見た時にチョロチョロ歩く人影とかがいたら景色の邪魔だって不愉快になるお客とかもいるかもしれないし。


フルフルと首を振ってから、散策はしないとかたくなにひとり決め込んでからひとり、ウンウンとうなずうなずく。


うん、ここから眺めるだけで十分じゅうぶんですから。



チラリと横に並ぶラナ先生に目を向けると庭に目を向けていたはずのラナ先生が、すぐにこっちの視線に気づいたようでパチッと目が合ってしまった。

う~む、そんなにガン見してないのに、何でわかるのかな。エスパーですか?





エルシオンは二人の会話を聞きながら先程までの、アーヤの言動を考えていた。


『すごい……。』

一言ひとことつぶやいたきり、夜の庭園を見つめ続けるアーヤの瞳にはこの景色はどう映っているのだろうと思った。

まじまじとながめてから急に首を横に縦に振っている。アーヤのことだから散策しに行きたいとすぐ言い出すかと思えば、そうでもないようだ。


難しい顔をしている。夜風に当たり、酔いは少しめたのかもしれない。この庭にアーヤが降り立ったとしたら、さぞかし絵になるだろう。

足元には気をつけて池のふちまで行ってみないか声をかけようかと思った矢先やさき、アーヤに声がかかった。



「アーヤさん、せっかくなので庭に行ってみませんか?」

「行ってみたい気持ちもあったんですけど…。」

「はい。けど?」

「私達が歩いてしまったら他のお客さんが景色を見た時に景観けいかんそこねるとか、不快に思ってしまうんじゃないかと思うと、何だか気が引けてしまって。」


「なるほど、他のお客ですか。しかし、その辺は店側としても大丈夫だから許可しているのではないでしょうか。」

「そう…なんでしょうけど。私ならせっかくの景色を堪能たんのうしているところに、もし、他所よそから歩く人影が視界に現れたとしたら邪魔に思ってしまいます。」


「これだけの満開の月光花を近くで見れる機会は、春、しかも満月の夜だけで、なかなかありませんよ?」

「うっそう言われると、心が少し揺らぎそうですが…。」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕達の恋は運命だと信じたい

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

お父さんがゆく異世界旅物語

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:103

【完結】私がいなくなれば、あなたにも わかるでしょう

nao
恋愛 / 完結 24h.ポイント:15,948pt お気に入り:937

夢か現か…

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:180,307pt お気に入り:7,844

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:20,277pt お気に入り:3,527

拗らせ王子は悪役令嬢を溺愛する。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:3,351

乙女ゲーム関連 短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,817pt お気に入り:155

処理中です...