夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール国 出会い

必然の出会い2

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翌日の夜が明ける前、エルシオンはバルコニーに出ててからツリーハウスの上にある、お気に入りスポットまで梯子はしごと枝の上を歩いて行く。


目的の場所に向かいながら、ふと視界に入る妖精達がソワソワただよいながら何となく同じ方角へ向かっているように感じた。

妖精にも集会があるのか?今までそんな話、聞いたこともないが…。


見晴らしのいいお気に入りの枝に到着し、風が頬を撫でるように吹く。葉や枝がかなでる優しい音色はよく聞こえる耳に心地ここちいい。


広く遠くまで見通せる場所から見れば、やはり妖精達が同じ方へ向かっていることがわかった。


「この方角は…神託の泉?」


「っ空が!?…………」


神託の泉の上空が揺らめき、変化が起きていた。


神託の泉の更に奥には、雄大な山々が朝日を背に黒く、くっきりとした影となってそびえ立つ。

そのくっきりとしたシルエットをいろどる夜明け前の深い闇空の中に、一粒の銀月(有明の月)が見える。

そして、山々を照らし出す朝日が、見たことのない七色の光りを幾重いくえにも重なり合って広がっていく。

その荘厳そうごんさにエルシオンは言葉を失った。


これが吉兆きっちょう
そう思うと同時に頭の中に神託の言葉ことのはが響いた。




‐‐‐‐‐時は きた。

‐‐‐‐‐行け 聖なる泉へ

‐‐‐‐‐迷客を迎えよ




エルシオンはその直後、綾子が今、現れることを理解し、精霊魔法で風をまとい、家族に神託を告げる間も惜しくてそのまま妖精が集まる神託の泉へ向かって飛び出した。


「あらシオン、もう行くの? シオ…。」

息子が祈りに行くには早すぎる様子に気づいたルピナスはバルコニーから丁度声を掛けたが、そんな声に全く気づかず魔法を使い、ただならぬ気配で行ってしまった。 

梯子や枝を最短距離で移動していく背中を見送ってから、空の異変に気づく。

「まあっ?!」



「迎えに行ったのね。」
あんなに必死になって。

こんな素敵な朝日が見られるなんて。ああ、こうしてはいられないわ。まだ寝てる二人を起こさないと。忙しくなるわね。

そして、エルシオンがいない村では村長が吉兆を知らせる伝達魔法を使って、集会を開くことになり、村人全員がしばし美し過ぎる情景を目に、心に焼き付け、迷客に感謝した。



泉の周囲には朝露あさつゆしずくをつくり、草木も花もまだ眠っている。花々はなばなも固くつぼみを閉ざしている。
その場で泉を見守るように妖精や精霊が集まっている。

天空の七色をそのままに水面みなもに映し出し、あきらかにいつもと違う波動を放っていた。


有明の月は陰り、朝日が燦々さんさんと大地を照らす頃、泉に変化が現れる。


色彩が絡み合う螺旋らせん状の水底からゆっくり水面に向かって光が浮上してくる。


すると、花々は次々に花開き、草木も芽吹めぶきだす。妖精、精霊もにぎやかに飛び回り、光りの粒が舞い踊る。

エルシオンは地上から精霊魔法で再び風を操り、光る水面へ移動する。

まるで水の上に立つように、光の手前にとどまりじっと水底を見守る。


ゆっくりと、ゆっくりと、水面から光に包まれて綾子が現れた瞬間、一陣いちじんの風が四方八方しほうはっぽうから泉に向かってザザァーッと吹気抜け、鳥たちは一斉に大小様々に羽ばたき飛翔する。

風の流れに乗って花びらと光の粒が舞い上がり視界が一瞬うばわれる。

ようやく綾子をさえぎるものがなくなり、上向きに寝るように浮いていたのがわかった。

泉から現れた綾子だが、一切水に濡れてはおらず、意識がない状態で空中に身を任せ漂っていた。

近づいて顔を見れば、穏やかに眠っているようで、綾子の脇と膝下を支え抱き上げようとした時、自然と腕の中に綾子が収まる。

あまりに美しい情景の一部になって現れた綾子に、触れたら消えてしまうのではないかと不安だったが、両腕の中で気泡のように消えることはなかった。

体の重み、ぬくもり、全てがこれは夢ではなく、今自分のかいなに抱いている綾子は、まぎれもなく現世うつつにいることを感じさせてくれた。



「……………。」

やっと、やっと巡り会えた。



「今はゆっくりお眠り。綾子」



神秘的な空模様と泉の上でエルシオンはまだ目覚めぬ綾子と再会を果たしたのだった。

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