夢じゃなかった!?

Rin’

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エスリアール国 出会い

必然の出会い1

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 森の伊吹いぶきを感じながら神託の泉にて祈りを捧げる。

エルフの安寧あんねいを。
世界との調和を。

そして、綾子の幸福を。

そんな穏やかな日々の中、神託でこの世界に迷客めいきゃくが現れることがわかり、エルフの村人達は大人から子供まで迷客が訪れる日の吉兆きっちょうは何か予想し合い、その訪れを皆が心待にした。 

エルフの集落は外敵から身を守る為、巨大な大木が連なり密集している場所にあった。

地球では見かけない程の巨大なみき縦横無尽じゅうおうむじんに広がる枝振りが立派である。

中腹部から上部の間に、ツリーハウスは集会を行う場所を中心として周囲を囲みながら建てられており、木々を結ぶ梯子はしごがそこらじゅうに掛けられ、人通りの多さに合わせて二人並べる幅と、一人用がそこここに繋がっている。

エルシオンの家族デュカーレ家は、村長の血縁として中心に近い大木に住まいを構えていた。


ある日の夕刻、エルシオンの父は祖父と集会の打ち合わせを執務室で忙しく過ごし、
リビングにて母とエルシオンはのんびり今話題の迷客について語り合う。

「ねえ、母さん。伝承されている迷客は、吉兆を国にもたらしてくれるらしいけれど、村の皆が言うようにそんなに吉兆に種類なんてあるものなの?」

「そうねぇ、吉兆は善いことの前触れというから、天候に現れる何かなんでしょうけど、皆が吉兆をあれこれ好きに予想するのは風習の一つのようなものかしら。

迷客は国のどこにでも現れる可能性もあるけれど、エルフ族だけは神託でその兆しがほかの誰よりも早く知るわよね。

昔はエルフもヒトも神託で兆しにかかわることがあれば互いに教え合い、迷客が、いつ現れてもいいように皆に知らせ、迷客を見つけても独り占めはしない。

神が吉兆を与えているのだから恐れおおいことはできないとされていたことが、

やがて…エルフとヒトは離れて生きるようになり、教え合う相手がエルフ同士だけになって、今のように迷客は吉兆と共に現れる善い存在、神がもたらす吉兆は一体どんなことか?に変わっていったらしいわ。」



「シオンはどんな吉兆をプレゼントされると思う?」


「うーん、そうだねぇ。」

エルシオンは実際に吉兆と云われる類いを見たことがない。

綾子が神により異世界に訪れるのだから、きっと何か大きな力の動きがあるだろうと予測した。

空を見るのが小さな頃から好きだった綾子。きっとこの国に、世界に歓迎されるだろう。


「太陽か月、空に何か素敵なことが起こるんじゃないかと思うよ。」


「ふふふ」

「どうしたの?」

「何でもないわ。気にしないで。」

「余計、気になる…。」

それ以上母に追及しても、きっとごまかして教えてくれない。諦めて明日のことを伝えて就寝することにした。

「明日は何となく早朝に神託の泉で祈りたいから、もう寝るよ。おやすみ。」

「あらそう。おやすみなさい。」


ルピナスは息子が成人の儀式後、高熱を出して寝込んだ日を境に真名以外の何かを背負い、それを受け入れ前に進もうとしていることに安堵あんどしていた。

息子はあれから一人、物思いにふけることも増えたが、表情が柔らかくなり自然と笑顔も増えてきている。

エルフ一の氷の王子様よりも、やっぱり微笑みの王子様よね。


「きっと、知らないのは本人だけね。」

「あんなに優しい顔で一体、誰のことを想っているのかしら。少し、けるけど、会ってみたいわね。」


寝室に向かった息子の後ろ姿を見つめ、ルピナスもまた微笑を浮かべていた。

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