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エスリアール王城 出会い
エスリアール王城へ3
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しっかり私の目を見つめ、反らさずに声を発しない私を心配した言葉をかけてきた少女。
異国情緒溢れる小鳥のような声音、双黒の髪と目。エルフとは違うまろやかな肌。目が悪いのかレンズをかけていた。
その声、容姿に見惚れていた。
慌てて話し出し、彼女からも名乗られその名を無意識に口に出していた。
「アーヤ様…。」
「あの、レイファンス様とお呼びしてもいいですか?」
「いえっ、畏れ多いので、アーヤ様にはレイファンスと呼び捨てて頂きたい。」
「では、レイファンスさん?」
「…それでよろしいです。」
「あの、レイファンスさんにお聞きしたい事があるのですが。」
「何なりと。」
「私は庶民、平民、一般人なので国王様になんてお目通りしたことがありません。
失礼のないようにしたいのですが、あくまで私の知る礼節しかわかりません。普通にお返事してもいいのでしょうか?」
「アーヤ様とまだ少ししかお話していませんが、十分に教養を感じますし、そう畏まらなくても貴女なら大丈夫ですよ。」
「はぁ、そうですか…。」
「外は賑やかですね。町の方々が生き生きして見えます。」
「ここの市場は一番大きく、いつもこのように賑わっております。」
「もうしばらくしたら、町から外れ登り坂になり、路上も悪い区間がありますので、お気をつけください。」
段々と揺れが強くなり始めた。馬車って揺れがすごいんだ。うう…ちょっとお尻痛くなってきた。
ガタン!ひときわ大きく揺れた時少しお尻を浮かせて油断していたので、思い切り前に倒れて。
「きゃっ」
「アーヤ!」「アーヤ様!」
倒れる!そう思って目を瞑って両手を前につけるようにしたが、痛みはなく、向かいに座るレイファンスさんに抱き止めれていた。
「…アーヤ様、大丈夫ですか?」
「は…い。ごめんなさい。今退きます。」
ガタ、ガタン
「ひゃ、わっ。」
足場が悪いからか、揺れて力が入らない。立ちたくてもレイファンスさんの上にまた倒れて寄りかかってしまう。
「…アーヤ、ほら、掴まって。」
お兄ちゃんがよろける私の横に立って支えてくれた。お兄ちゃん、何故立ててるの?!
手を伸ばして掴まる前に、ひょいと私が掴まれ立たせて貰えた。そして、座らされた。
「危ないからここに座っていて。」
危ないのは、わかったけど、ここって?
ここって…お兄ちゃんのお膝ですが?!
「えっ?隣でいいです。」
「また、落ちそうになったら危ない。」
「でも…「怪我でもしたら危ない。」」
「…はい。」
アーヤ様は、恥ずかしさから俯き黙ってしまった。先ほどは実際に落ちかけ咄嗟に手を伸ばして引き寄せてしまったが…触れた指先が熱い。
小柄で華奢な体つき、ほのかな花のような香り、驚きに見開いた溢れそうな瞳、思わず支えたはいいが、自分の体が硬直してしまった。こんな戸惑いは初めてだ。
デュカーレ様のお声を聞いて、はっとした。その瞳の隠しきれい優しさは、ただの保護者としてだけではないのではと。
城門前の川を渡る石橋に入り、揺れは多少ましになるが、アーヤ様はあれ以来、城に着くまでデュカーレ様のおみ足の上に座らされたままでいた。
頬を果実のように色づかせ、困ったお顔が可愛らしい。
隣でいいと言ったのに危ないと、お腹にお兄ちゃんの手でシートベルトされては身動き取れず、あきらめてじっと下を向いて恥ずかしさに耐えた。お尻負担は減ったが、気力も減った。
城門通過後は、マントのフードをまたかぶり直し、留め金装着。ようやくお兄ちゃんの足の上から下ろしてもらった。
馬車を降りるとき、お兄ちゃんが先に降りて、私が続き段差に注意しながら少しだけふらついたと思ったら脇の下を持たれて急な浮遊にビックリした。
異国情緒溢れる小鳥のような声音、双黒の髪と目。エルフとは違うまろやかな肌。目が悪いのかレンズをかけていた。
その声、容姿に見惚れていた。
慌てて話し出し、彼女からも名乗られその名を無意識に口に出していた。
「アーヤ様…。」
「あの、レイファンス様とお呼びしてもいいですか?」
「いえっ、畏れ多いので、アーヤ様にはレイファンスと呼び捨てて頂きたい。」
「では、レイファンスさん?」
「…それでよろしいです。」
「あの、レイファンスさんにお聞きしたい事があるのですが。」
「何なりと。」
「私は庶民、平民、一般人なので国王様になんてお目通りしたことがありません。
失礼のないようにしたいのですが、あくまで私の知る礼節しかわかりません。普通にお返事してもいいのでしょうか?」
「アーヤ様とまだ少ししかお話していませんが、十分に教養を感じますし、そう畏まらなくても貴女なら大丈夫ですよ。」
「はぁ、そうですか…。」
「外は賑やかですね。町の方々が生き生きして見えます。」
「ここの市場は一番大きく、いつもこのように賑わっております。」
「もうしばらくしたら、町から外れ登り坂になり、路上も悪い区間がありますので、お気をつけください。」
段々と揺れが強くなり始めた。馬車って揺れがすごいんだ。うう…ちょっとお尻痛くなってきた。
ガタン!ひときわ大きく揺れた時少しお尻を浮かせて油断していたので、思い切り前に倒れて。
「きゃっ」
「アーヤ!」「アーヤ様!」
倒れる!そう思って目を瞑って両手を前につけるようにしたが、痛みはなく、向かいに座るレイファンスさんに抱き止めれていた。
「…アーヤ様、大丈夫ですか?」
「は…い。ごめんなさい。今退きます。」
ガタ、ガタン
「ひゃ、わっ。」
足場が悪いからか、揺れて力が入らない。立ちたくてもレイファンスさんの上にまた倒れて寄りかかってしまう。
「…アーヤ、ほら、掴まって。」
お兄ちゃんがよろける私の横に立って支えてくれた。お兄ちゃん、何故立ててるの?!
手を伸ばして掴まる前に、ひょいと私が掴まれ立たせて貰えた。そして、座らされた。
「危ないからここに座っていて。」
危ないのは、わかったけど、ここって?
ここって…お兄ちゃんのお膝ですが?!
「えっ?隣でいいです。」
「また、落ちそうになったら危ない。」
「でも…「怪我でもしたら危ない。」」
「…はい。」
アーヤ様は、恥ずかしさから俯き黙ってしまった。先ほどは実際に落ちかけ咄嗟に手を伸ばして引き寄せてしまったが…触れた指先が熱い。
小柄で華奢な体つき、ほのかな花のような香り、驚きに見開いた溢れそうな瞳、思わず支えたはいいが、自分の体が硬直してしまった。こんな戸惑いは初めてだ。
デュカーレ様のお声を聞いて、はっとした。その瞳の隠しきれい優しさは、ただの保護者としてだけではないのではと。
城門前の川を渡る石橋に入り、揺れは多少ましになるが、アーヤ様はあれ以来、城に着くまでデュカーレ様のおみ足の上に座らされたままでいた。
頬を果実のように色づかせ、困ったお顔が可愛らしい。
隣でいいと言ったのに危ないと、お腹にお兄ちゃんの手でシートベルトされては身動き取れず、あきらめてじっと下を向いて恥ずかしさに耐えた。お尻負担は減ったが、気力も減った。
城門通過後は、マントのフードをまたかぶり直し、留め金装着。ようやくお兄ちゃんの足の上から下ろしてもらった。
馬車を降りるとき、お兄ちゃんが先に降りて、私が続き段差に注意しながら少しだけふらついたと思ったら脇の下を持たれて急な浮遊にビックリした。
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