三銃士レストラン

平野ポタージュ

文字の大きさ
19 / 21
伝説のレストラン

ミントの花言葉、かけがえのない時間

しおりを挟む
『ソウはどうしてたたかいたくないの?』

『人を傷付けてしまうからだよ』

『でも、自分たちの国を、悪いひとたちからまもるためなんでしょ?』

『うーん……そうだねぇ…────でも、その悪い人達にも、理由はちゃんとあって、僕達の国と敵同士になってしまったんだ…。』

『あたし、むずかしいお話し分かんないけど……、ソウがたたかいたくない!って気持ちをみんなに伝えなきゃだめだよ!』

『ふふ、そうだね……。話し合って、素直になって…お互いにごめんなさいが出来たら良いのにね』

軍服を着た青年は寂しそうに微笑んだ。
なんだか胸が締め付けられる。その時のあたしは幼いながらも、自分の無力差に腹が立った。

ずっと記憶の奥底に眠っていた、初恋の思い出

美しい草原の様に優しい雰囲気を持った人
彼は『ソウ』と名乗って、お腹が空いたあたしに料理を振舞ってくれた。

『あたしお野菜嫌いだけど、このスープはだいすき!!』

そのスープには新鮮な野菜とソーセージとハーブが入っていて、優しい味にホッとする。

『ちびのクセによく食べるな~』

『冷たいお水もありますよ』

顔はボヤけてあまり覚えてはないけど、下手くそだけど美味しいおにぎりを握ってくれて、冷たくて美味しい水を注いでくれた。

『3人のレストランつくろうよ!』

『はあ?、無理に決まってんだろ!』

『やる前からあきらめてどーすんの!?。……それとも、びびってるとかぁ~?』

『はーーーー!?ぜってぇ作ってやるし!!!』


『じゃあ、お客さん第1号はあたしだからね!!』

『ふふ、じゃあ…約束だ───僕達のレストランが出来たら……』



”君を迎えに行くから待っていて”



そこであたしの夢は途切れた─────


「!!……っ」

ガバッと起き上がると、自室は真っ暗だった。
いつの間にか眠ってしまっていたしい。

「……もしかして……、ソウって……」

なんで今まで忘れていたんだろう。
一番大好きで、大切な思い出─────
あの夢は夢じゃなくて、現実だった。
だって、ソウの温かさが"あの時"も”今”も同じだから。

「……お水飲んでこようっと……」

制服のまま寝てしまったから、身体がガチガチに痛い。肩を回しながら1階に降りると、スーッと爽やかな香りと甘い香りが広がった。

「この香り……チョコミント?」

ガシャンッ!!!────────

床に、ボウルの中に入った溶けたチョコレートが撒き散らされ、ミントの葉っぱが厨房を埋め尽くす程に生い茂っていた。
その生い茂ったミントの中に─────

「ソ……ソウッ!!!!!」

ぐったりと、ソウが横たわっていた。
急いでひまわりはソウに駆け寄るが───
「ウソ……息してない!?────」


その様子を、ひまわりの背後で見守る者がいた。
黒いローブを身に纏い、表情は見えない。

《ミントの花言葉は…"かけがえのない時間"──君達の思い出を利用させて貰うよ……───僕が"僕"に勝てるのか……》

寂しそうに笑みを浮かべるその人物は、そっとひまわりを後ろから抱き締めた。

《……僕を、思い出して────忘れないで……》

しかし、その言葉は少女に届く事も無ければ気付かれることもなかった。

「ソウッ!!起きて!!……嫌ッ!!!ソウーーーーーッ!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

処理中です...