爛漫ろまんす!

平野ポタージュ

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時の一族と実

魔鏡

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白蘭ビャクラン様……───帝から直接の申し出が……」

「陛下が?…一体どうしたと言うの?」

白蘭ビャクラン様と面会をしたいとの事です」

「ええ!?本当に!?」

円鏡の鏡を見つめながら、白蘭ビャクランはうっとりとした表情を浮かべた。

「……白蘭ビャクラン様……その鏡は?───」

鈴夜リンイェが恐る恐ると尋ねると、白蘭ビャクランは「素敵でしょ?───気付いたら部屋にあったのよ~」と、黒い円鏡を見つめる。
鈴夜リンイェはその鏡に、白蘭でもなく自分でもない"誰か"が映っているのを見てしまったのだ。

《───助かったでぇ……アンタ達のお陰で"イイオトコ"と美豚ビトンが喰えるんやからっ…》

その鏡からは──低く野太く渋い声だが、口調は女性であり、赤紫色の爪紅をした、厳つく非常に男らしい青鼠色の肌をした手が現れ、白蘭の頭部を鷲掴みにする。
その光景に「ひっ……!」と、鈴夜リンイェは後退るが、頭部を鷲掴みにした手は、見る見ると靱やかな美しい白い手に変わる────それは、白蘭の手だった。白蘭はと言うと、黒い円鏡に吸い込まれてしまい、自分が仕えている主人と同じ顔をした人物が

「あら…何を脅えてるん?。安心しぃや……アンタの主人の姿やで?…怖い事なんてなーんも、あらへんやろぉ?───でも……誰かにこの事をお喋りしてもうたら……───アンタの主人、喰い殺すで?」

鈴夜リンイェの顎をクイッと持ち上げ、白蘭の姿をした"魔物"は不気味な笑みを浮べた。

「あの"仙女"が余計な事してくれたお陰でなぁ……、ウチら惡神五凶あじんごきょう封印されてんねん。でも……、まさか…ウチの"魔鏡"が白梨国ここに繋がってるとは思わへんかったわぁ~♪。丁度いい"器"も見つけたしぃ~、これで……"あの方"のはあとは…ウチのモノやでぇ!!!」

「ど……どうか……生命だけは……ッ!!」と、命乞いをする鈴夜リンイェ

「ウチはなぁ───約束を護ってくれる人間には殺生せぇへんよ?。アンタ…饕餮タオティーって心優しい美妖怪知らへんの?」
知らない────と言えば、饕餮タオティーは目の前の侍女を喰い殺してしまうだろう。
鈴夜リンイェは目に涙を浮べ、魔物に取り憑かれた主人を傍観する事しか出来なかった。

惡神五凶あじんごきょうの一体・饕餮タオティー─────
何でも喰い殺し、人間の魂を吸い付くす───

これは───白龍パイロンと白蘭が面会する前夜に起きた、悲劇の兆候であった…─────
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