心を求めて

hakurei

文字の大きさ
3 / 13

最悪で最高な日。

しおりを挟む
土曜日当日。

麗奈からはお昼すぎに学校の校門前に来てと言われたので家を3時間前に出た。
流石に3時間前は早すぎるが早く出たのは理由がある。
「よぉ零」
そう、こいつら、いじめ組に呼ばれていたのだ。
最悪である、今日は麗奈のと約束があるというのに…
昨日の学校で今日山に来いと言われ、断っても家にお仕掛けてくるからまぁ素直に聞くことにした。
「要件は?」
さっさと済ませたかったので率直に聞いた。
「なんだよ偉そうに、お前の用事か知らないけど俺らが早くきてまでする事なのかよ…あぁめんどくせぇ。」
そう私は麗奈との約束があったためこいつらには早めに済ますよう言っておいた。
素直に聞くとは思ってなかったので酷ではあったが親の名前を使って説得したのだ。
直接ではないが親を巻き込んで罪悪感を覚えていた。
流石に親が出てくるとめんどくさいのだろう。
だから素直に承諾してくれた。
まぁいじめ自体は辞めてくれないらしいが…
「時間も少ないしさっさと済まそうぜー。」
と言っていきなり殴りかかってきた。
そして1時間ほどこいつらに殴られ蹴られを続けられた。
満足したのかいじめ組は去っていった。
私はしばらく座り込んで痛みが引くのを待った。
立てたのは5分ほどしてからだった。
ようやく立てて私はまた近くの川によった。
岩場に座り込みじっと川を見ていた。
いつもとは違い少しだけ考え事をしていた。
「今日はゆっくり出来るかと思ったんだけどなぁ、始まりが最悪すぎる…」
麗奈との電話では面倒くさそうに言っていたが内心少し楽しみにしていた自分がいた。
なんだって女の子の家に遊びに行けるのだ、男としては気持ちが上がるのは必然だとは思わないだろうか?
これって私だけなのだろうか?
「よいしょっと。」
とりあえず時間も迫っていたので学校へ向かう事にした。
適当な事を考えながら向かっているといつの間にか学校近くについていた。
そして校門の前にいるはずの麗奈を探すが…
「あれ?」
校門の前には麗奈がいなかった。
学校の時計を見ると予定の時間には既になっていた。
まぁ適当に待とうと思ったその時
「わっ!」
麗奈が私を驚かせながら後ろから飛びついてきた。
「ひぇ!?」
声が裏返った。
「びっくりしたなぁもう…」
いや素直にびっくりした。
「えへへ、はくくん変な声出てたよー!」
誰のせいだと思ってるんだ全く。
「うるさい、んでこのまま家にいくの?」
「うん、いくいく!ついてきてー!」
元気よく走って麗奈は道を駆け抜ける。
「ちょ、待ってくれー!」
普通に置いてかれそうになったので私も走る。
そして麗奈が家の前で止まった。私も必死になんとか追いつく。
「ここが私の家!」
「はぁ、はぁ、元気ありすぎだろお前…」
これは私の体力が少ないのか?それとも麗奈が単に運動できる方なのかの2択だが…
恐らく両方だ。
私の体力が異様に少ないのと麗奈が運動ができるということ。
だから差がかなり開いているのだろう。
私も運動を少しはするかな…
「はくくん体力無さすぎない?」
「…うるさい。」
事実なため反論ができない…
「とりあえず入って!」
麗奈が玄関を開けて私の腕を引っ張る。
「ちょ!」
無理やり私を家に入れた。
「お、おじゃまします…」
玄関に入っておずおずと中に入った。
「ママー!はくくん来たよー!」
麗奈が親を呼ぶために叫ぶ。
そしてトコトコとこちらに近づく足音。
「あら零くん、いらっしゃい!なんにもないけどゆっくりしていってね!」
と優しくもてなしてくれる麗奈のお母さん。
「あ、はい。」
人の家に来るという経験が少なすぎたためどうしたらいいのかわからなくなる。
「ふふ、そんなかしこまらなくていいわよ、とりあえず麗奈の部屋にでも行ってきたら?」
「うん!行ってくる!はくくんこっちこっち!」
そう言ってまた私の腕を引っ張って部屋に連れてかれる。
麗奈の家は一軒家でなかなかに広かった。
私の家も一応一軒家だがそこまで広くはない。
それにちらっとリビングが見えたので確認したらかなり広くソファーなど色々と高価そうなものがあったのが見えた。
「すげぇ…」
無意識に言葉が漏れた。
次元が違った。
私の家にも欲しいくらいだった。
そして麗奈部屋に来た。
「ふわぁ…」
麗奈の部屋もそれなりに広く綺麗だった。
キッチリ整理された机に広いベットなどと。
「お嬢様なのか麗奈は…」
本当にそう思うくらいには広く綺麗だった。
「気持ちはお嬢様だよー!」
「は、はぁ…」
相変わらず脳天気なやつだ…
そうして麗奈と部屋で遊んだ、遊んだというよりかは振り回されたと言った方が早い。
行動力が高い麗奈は思いついたら即座に動く。
だから私が少し女ぽいからってわざわざ麗奈の服を私に着せようとしたりと。
まぁおもちゃにされた。
けど、悪くはなかった。
『楽しい』と、そう思える時間だった。
そうして夕方頃に麗奈お母さんが部屋に来た。
「零くん今日ご飯何がいい?」
と聞かれた。
「え?」
予想もしてなかった質問に困惑してしまう。
「あれ?今日泊まりって麗奈から聞いたけど?違った?」
「泊まりだよ、ね?はくくん?」
と麗奈が言うが。
「流石にお母さんには遊びって伝えてるし…」
「あら、麗奈の我儘だったのね、けど泊まりたかったら私からお家に電話しておくわよ。」
親切なお母さんだこと。
「え、でも…」
どうしたらいいのかわからなかった。
親には遊びに行くと伝えてある、けど帰ってあの人に何かを言われたりやられたりってのも嫌だった。
だからここにも居たかった、だが帰らないと親が心配してしまう。
けど連絡をしてくれるならまだ別だ。
と考えた私は。
「じゃあ、今日だけ泊まらせてください。」
麗奈のお母さんに甘えて泊まらさてもらうことにした。
「はい!あ。でもお家の電話番号がわからないわね、学校の連絡網見るしかないわね。」
そこで私は麗奈のお母さんに言った。
「家の電話はダメ!!」
と大声で叫んだ。
麗奈のお母さんはビックリしたのか黙って私を見ている。
「家の電話じゃなくて…家のじゃなくて…」
私は慌てていたからか言葉がまとまらない。
そこで麗奈のお母さんが近寄ってきて私の手を握って頭を撫でながら言った。
「落ち着いて零くん、家の電話じゃなくてお母さんの電話なら大丈夫?」
「うん…」
少し冷静になった私は力なく答えた。
「わかった、お母さんに連絡しておくね、麗奈、零くんのお母さんの番号知ってたわよね?教えて。」
「う、うん。」
いつも元気な麗奈が少し気分を落としていた。
私がこの場を乱してしまった。
悪い事をしたなと思ったがそれ以上に家への電話をやめて欲しかったため必死になっていた。
もしあの人が電話に出ていたらどうなっていたのだろう。
きっと怒って帰らせろとか言っていたんだろうか。
ほんとに嫌な人である。
「さっ!ご飯の準備しましょ!麗奈と零くんも手伝ってね!」
麗奈のお母さんはこの場の空気を良くしてくれた。
流石は大人である。
「わかりました。」
「はーい!」
そしてご飯の準備を始めるのだった。
今日のご飯は切った野菜とかでなんとなく察していた。
カレーだった。
麗奈の家でのご飯は暖かくどこか落ち着くような感じがした。
途中で麗奈のお父さんが仕事から帰ってきてさらに話が盛り上がった。
楽しかった、ほんとに楽しかった。
私の家でもここまで楽しいご飯を食べて過ごしたかった。
ここまで盛り上がった食事というのは本当に久しぶりだったから私は心からこの食事を楽しんだ。
そして…
「もしもし、黒咲です、零くんのお母さんでしょうか?」
「はい、麗奈ちゃんのお母さん?どうかしました?」
「今日零くんが家に泊まることになりましてご連絡をさせていただきました。」
「あら、そうなんですか、零がお世話になります。」
「いえいえ、麗奈といつも遊んでくれていますし、それと…」
「どうかしました?」
「今日泊まりの連絡をする時に家に連絡をすると言ったら零くんが慌てて家の電話はやめてと必死に訴えてきました、それも何かに怯えながらの様に…そこまで人様の家庭事情に踏み込む気はないのですが目の前であの様な姿を見てしまうとどうも気になってしまって…なにかあるのでしょうか?」
「…なるほど、言っていいかはわからないんですが一応話させていただきますね、零は家では私の夫のお母さんから嫌われていまして…そのお母さんからの暴力が時々ありまして…それでお母さんが電話に出るというのに怖くなってそう訴えかけたのだと思います…」
「え、じゃ零くんはそのお母さんから虐待を!」
「えぇ、私もどうにか助けてあげたいのですが、私や夫がいない時に零に手を出しているみたいで…実際に見てもいないので下手に手が出せなくて…」
「そうですか…」
「黒咲さんさえよければあの子をまた泊めてあげてください、あの子も麗奈ちゃんといる時の方が楽になれると思うので…」
「えぇ、構いませんよ、それはそうと麗奈から聞いたのですが今日零くんは『あれ』って聞きましたが?そちらは大丈夫なんですか?」
「ふふ、大丈夫ですよ家にいるよりも麗奈ちゃんといる方があの子は楽しそうですから、もし良ければ少しだけでもあの子に接してあげてください。」
「もちろんです、今日は零くんのために盛り上げたいと思います。」
「はい、お願いします、では失礼しますね。」
「はい、失礼します。」

_______________

今日は楽しかった、麗奈と麗奈のお母さんやお父さんと話して盛り上がって。
けどふとあの人の事が頭に出てくる。
ここの家族の仲とは全く違う環境という事実が私の頭から離れない。
私は今お風呂を借りて湯船に浸かっている。
麗奈の家のお風呂はこれまた広くて足を伸ばしてもスペースが余るくらいだった。
「ほんと別世界だ…」
ぽつりと呟く。
長風呂は好まないのでそろそろ出ようと思い出ることにした。
脱衣所で寝巻きに着替え、リビングにむかった。
そこで私が目にした光景は…

パン!と響く音がした。
「はくくん!お誕生日おめでとう!!!」
「え?え?」
よくわからなくて目をパチパチさせていた。
「零くん誕生日なんでしょ?麗奈から聞いたよ。」
そっか、今日は8月9日だったのか。
自分の誕生日を本気で忘れていた。
誕生日なんて考えてもほぼ無駄だからだ。
2年前の誕生日を思い出す。
その時の誕生日はあの人のおかげで全てが潰れた。
あの人が私のために買ったくれたケーキを自分と妹、父親の分しか切らなかった。
私の誕生日だというのに…
ほんとに嫌いだ…
けど今は麗奈の家で祝ってもらっている、あの人はいない。
「はくくん?大丈夫?」
と声をかけてくる麗奈。
「…大丈夫だよ、ありがとう、本当にありがとう。」
泣きながら感謝した。
ここまで嬉しかったのが本当に久しぶりだったからだ。
「はくくん!ケーキ食べよ!」
麗奈が私の腕を掴んでテーブルへと連れていく。
そこに並べられたケーキやクッキー。
こんなカラフルなテーブルは初めてかもしれない。
そう思うほどには感激した。
私は今日という日を忘れる事はないだろう。
ここまで最高で感激な誕生日は初めてだから。
麗奈には感謝しなくてはならない。
だって、こんな最高な誕生日を開いてくれたのだから。
その日はすぐ眠ることが出来た、いつもなら寝るのには時間を要した。
だが今日は麗奈のおかげで最高は日になった。
だから変なことを考える事もなく寝れた。
本当に今日は最高だった。
二度と忘れる事の出来ないから誕生日になった。
直接言うのは恥ずかしかったので私は心中で…

ありがとう…麗奈!
と告げるのだった…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...