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一緒に参りましょう
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それでも乗馬は続けていた。
好きだから。
(それで良い)
パーティでの意味も分かっている。適齢期なんて言葉が気になる年頃で。
“さすがに乗馬ができて相手の気が引ける”
と単純に考える事はないだろう。
今日の交流は、狩りにその後の立食パーティー。
だいたい顔合わせが決まってきた面々に
軽く息を吐き、前半の行事を楽しもうと今日のパートナーの立髪を撫でた。
ブルルルっと機嫌の良さそうな声に
ちょっと遠くまで早乗りする気になった。
供はいらない。
狩りの開始の挨拶もそこそこ
乗馬に参加しない令嬢方の声を後ろに、速く、楽しみの浸りたかった。
馬は気持ちよく走り出す。
そうしていたら、音が近づいてきた。
「一緒に行きましょう?」
あまり見ない顔だ。狩りの参加ではないらしい
巧みに操る馬は…速い!
夢中で
馬の蹄の音を鳴り響かせながら、木が一本立つ場所まで来ていた。
「ハァっ…ハァ… 」心地の良い疲労感。
ざあっと風が心地良い。
「帰りましょうか?」
「はい!」
かなり遠くまで早駆けできてしまった。
つい楽しくなって競い合った。
帰りは、少し話をしながら戻る。
「ちっ令嬢が馬かよ」
そんな嫌味も聞き流せる。
「そちらに成果はないようですねえ?」
大声でいった言葉の意味は、なんだろうか。
去っていった男達が負けなのだろうとは後ろ姿でわかる。
「令嬢にだって乗馬を嗜む方はいらっしゃいます。うちは祖母が現役ですよ」
「それは羨ましい。乗馬をしているたまに言われますから。」
たまにと言うには、気になる頻度だけ。
慣れでどうにかなる。しかし、彼は…
「そうですか?
昔の男がつけた心の傷なんて、“しょうもない”だけですしね?」
昔の男と言うには顔も名前も覚えていない男の子で
心の傷なんていう、たいしたものでもない
でも
「ふふっ」
“しょうもない”で良いんだ。
なんだか楽しくなる。
そして、また一緒に乗馬をしませんか?と私から誘ってしまった。
好きだから。
(それで良い)
パーティでの意味も分かっている。適齢期なんて言葉が気になる年頃で。
“さすがに乗馬ができて相手の気が引ける”
と単純に考える事はないだろう。
今日の交流は、狩りにその後の立食パーティー。
だいたい顔合わせが決まってきた面々に
軽く息を吐き、前半の行事を楽しもうと今日のパートナーの立髪を撫でた。
ブルルルっと機嫌の良さそうな声に
ちょっと遠くまで早乗りする気になった。
供はいらない。
狩りの開始の挨拶もそこそこ
乗馬に参加しない令嬢方の声を後ろに、速く、楽しみの浸りたかった。
馬は気持ちよく走り出す。
そうしていたら、音が近づいてきた。
「一緒に行きましょう?」
あまり見ない顔だ。狩りの参加ではないらしい
巧みに操る馬は…速い!
夢中で
馬の蹄の音を鳴り響かせながら、木が一本立つ場所まで来ていた。
「ハァっ…ハァ… 」心地の良い疲労感。
ざあっと風が心地良い。
「帰りましょうか?」
「はい!」
かなり遠くまで早駆けできてしまった。
つい楽しくなって競い合った。
帰りは、少し話をしながら戻る。
「ちっ令嬢が馬かよ」
そんな嫌味も聞き流せる。
「そちらに成果はないようですねえ?」
大声でいった言葉の意味は、なんだろうか。
去っていった男達が負けなのだろうとは後ろ姿でわかる。
「令嬢にだって乗馬を嗜む方はいらっしゃいます。うちは祖母が現役ですよ」
「それは羨ましい。乗馬をしているたまに言われますから。」
たまにと言うには、気になる頻度だけ。
慣れでどうにかなる。しかし、彼は…
「そうですか?
昔の男がつけた心の傷なんて、“しょうもない”だけですしね?」
昔の男と言うには顔も名前も覚えていない男の子で
心の傷なんていう、たいしたものでもない
でも
「ふふっ」
“しょうもない”で良いんだ。
なんだか楽しくなる。
そして、また一緒に乗馬をしませんか?と私から誘ってしまった。
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