上 下
6 / 10

王妃様

しおりを挟む
「よく来てくれたわね、アイリーン。」

「王妃様におかれましては、御目通りいただきありがとうございます。」

習ったとおりに、挨拶をする。


「丁寧ね。」

苦笑気味だ。わたしの年齢で丁寧すぎるらしい。



お母様そっくりよ?


そのお母様と面会した際の話をした。


「よく覚えていたわね。
自分の子のことは気になるのね。思い出しもしないわよ?」


「どうして、お母様は結婚されたのでしょうか。」

王妃様付きのメイドがギョッとした顔だ。


「側妃にすれば、王家で守れるし彼女の頭脳は素晴らしいわ。」

『美容と金策』

は、良いことなんだろう。母が良ければわたしに思うところはない。


「薔薇は嫌いだものね。以前、薔薇の花束を突きつけられて、
すぐに火にくべられたわ。」

「花が嫌いでしょうか。」

プレゼントに花は定番ですが、以前染め物をしたハンカチは気に入らなかったかもそれません。。


「香りがきつすぎるのですって。」

研究に葉っぱが多いのは、そのせいかもしれません。


「王に話を聞いてから教えるわ」

お茶会のように、甘い食べ物をいただき部屋に戻りました。


「王妃様にあのようにたずねるのは、おやめになってください。」

わたしに言っているらしい。

「なぜでしょうか。わたしは事前に聞いてから尋ねました。」

王妃様付きのメイドが部屋まで入室してきて何か言っています。


『王妃様の子ではないのに、ずうずうしい』

「王妃様はご多忙です。お子様には優しいですが、
(自分の子でもない)姫様に迷惑しておいででしょう。」


王妃様にお会いできるか聞いてから、部屋を訪ねた。
マナーも問題なかった。

王妃様は変だったら教えてくださる。

何を言ってるのかな、この人。

『このメイド、何様?』
うちのメイドが、怒っているのを感じる。

やっぱり、この人変なんだ。

「おわかりいただいていないようですが。姫様とは違うのです!
面会を望むのは、わがままな事と誰か教えはしなかったのかしら?」


勝手に常識を変えないでくれないかしら。

「それは、王妃様の考えと思って良いのかしら?」
「当然の事ですわ。」

王妃様の代弁者を名乗ったら、不敬ではないかしら。

「そう、今度の身内の晩餐で、お姉様とお兄様に聞いてみるわ。」

メイドの顔が、青を通り越して白くなった。


「ヤめるのはどちらかしらね?メイドのエレナ。」

顔は覚えないけど、名前は覚えた。


奇声を発して部屋を出て行った。

『大丈夫か?』
隣にいつの間にかいた警護の男に、頷いてみたが。


男もよくわかっていないながらも、頷いた。
しおりを挟む

処理中です...