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目が覚めても、現実は変わらない。当主不在の家、その内情は崖っぷちの綱渡り。
何事も決めるのも、権限は便利で必要。当主がいないという不信で離れていく人々。
根本的な問題は、結局“当主が居ない”なんだよ。
(私にどーしろっていうのさ!)
今後10年は、顔を見ない当主様。オジサマとはやり取りがあったかもしれないけど。
私にやれる事、その範囲は少ない。
そう考えだすと。イライラして魔法を乱発している。
「今日は激しいなー。」
「いつ終わるのよ!洗濯物にかけたら、しょうちしないから!」
庭で壁に向かってだ。人の被害はないと思う。
弟子庭師と若いメイドが、様子見している。赤ん坊の癇癪代わりと見学者がいながらも、最大出力。
小さい盥ほどの水の量、勢いは髪の汚れを洗い流す程度か。
当たったらちょっとびっくり!の魔法は、魔力の限界まで続けている。
「ほっほ。元気な子だの。」
「元気どころじゃないですよ。危ないじゃないですか。」
「そうか?あの壁にしか向かっていない上に水魔法だ。危ない目にでもあったかい?」
「いや、そういえば。」
「けど!洗濯物がっ」
(あ、お爺ちゃん来てた。)
「あうあ~」
「終わったか、まったく凄い魔力量だな。冒険者なら数日分の給水できる量だな。」
「泥々!最悪っ」
「やあ、セリちゃん。凄いなあ。」
「きゃっきゃっ!」
「貴族様の跡継ぎには十分な魔力だと思うぞ。」
「冒険者でも、まあまあやってけるんじゃないかな。」
「貴族のが良いに決まってるじゃない!贅沢に暮らせるでしょ?」
「この家で、か?」
そう、残念。この辺境じゃ貴族になったって大変なだけです。メイドの仕事を代わりにして、勉強漬けの日々、弓の師匠が来てから冒険者と動くことが多くなった。
私、何を目指していたんだろう。
ただ、オジサマを手伝えると思った。これまで成長してきたんだから家業を手伝うのは普通の流れだと考えてた。かなり特殊で、貴族でありながら、冒険者の活動にも似ている。
水魔法、年齢の割には体力があって森の動き方も学んだ。
結局、魔導具の整備に屋敷にこもりきりになって。
(森と屋敷以外に、街に行った記憶はないなあ。)
自由な冒険者に憧れた事はある。でも、1人で旅に出るには色々と後ろ髪を引かれる思いで。
今は、まっさら。
けど、私を当主にしたいと思い、認めない者が増えていく。
その状況に、どう私が振る舞うのか?
これからきっと、魔力量が上がる。このペースで鍛錬すれば前よりもっと、増えるだろう。
そうなったら、魔導具を起動しよう。書庫にある埃を被った魔導具の手入れと魔力を込めて、起動する。
前できなかった、修理と観察ができる。
(前にできなかったことと、しなかった事をやってみようか?)
街に住んでみるとか、王都に行ったこともなかった。冒険者としてギルドに通って、みるとか。
ちょっと楽しくなってくる。
お爺ちゃん庭師に抱っこされて、すごくゆっくり、畑を周りながら。
ちょろり、ちょろりと水をかけていく。
褒められながら、魔物除けの道具の点検をしている歩みに眠りを誘われる。
雑多になっている本を並べ直して、好きなだけ読もう。
(やってみたかった事、今は思い出せなくても見つけ出せる筈!)
魔物達の襲来が何歳の時だったか?屋敷の人達の名前、文通をしていた友人の事。
寝る直前の思い浮かぶように、屋敷内の人の会話が見れる。
オジサマと師匠執事さんが、仕事をしている。この後、師匠執事さんは王都で活動するようになる。その時になんとか着いていく方法を考えよう。
イライラしても12歳でできなかった事を、赤ん坊が心配していても無駄だ。
とりあえず、ひとつ絶対やる事を決めた。
(あの当主、絶対しめる!)
赤ん坊は誓った。
何事も決めるのも、権限は便利で必要。当主がいないという不信で離れていく人々。
根本的な問題は、結局“当主が居ない”なんだよ。
(私にどーしろっていうのさ!)
今後10年は、顔を見ない当主様。オジサマとはやり取りがあったかもしれないけど。
私にやれる事、その範囲は少ない。
そう考えだすと。イライラして魔法を乱発している。
「今日は激しいなー。」
「いつ終わるのよ!洗濯物にかけたら、しょうちしないから!」
庭で壁に向かってだ。人の被害はないと思う。
弟子庭師と若いメイドが、様子見している。赤ん坊の癇癪代わりと見学者がいながらも、最大出力。
小さい盥ほどの水の量、勢いは髪の汚れを洗い流す程度か。
当たったらちょっとびっくり!の魔法は、魔力の限界まで続けている。
「ほっほ。元気な子だの。」
「元気どころじゃないですよ。危ないじゃないですか。」
「そうか?あの壁にしか向かっていない上に水魔法だ。危ない目にでもあったかい?」
「いや、そういえば。」
「けど!洗濯物がっ」
(あ、お爺ちゃん来てた。)
「あうあ~」
「終わったか、まったく凄い魔力量だな。冒険者なら数日分の給水できる量だな。」
「泥々!最悪っ」
「やあ、セリちゃん。凄いなあ。」
「きゃっきゃっ!」
「貴族様の跡継ぎには十分な魔力だと思うぞ。」
「冒険者でも、まあまあやってけるんじゃないかな。」
「貴族のが良いに決まってるじゃない!贅沢に暮らせるでしょ?」
「この家で、か?」
そう、残念。この辺境じゃ貴族になったって大変なだけです。メイドの仕事を代わりにして、勉強漬けの日々、弓の師匠が来てから冒険者と動くことが多くなった。
私、何を目指していたんだろう。
ただ、オジサマを手伝えると思った。これまで成長してきたんだから家業を手伝うのは普通の流れだと考えてた。かなり特殊で、貴族でありながら、冒険者の活動にも似ている。
水魔法、年齢の割には体力があって森の動き方も学んだ。
結局、魔導具の整備に屋敷にこもりきりになって。
(森と屋敷以外に、街に行った記憶はないなあ。)
自由な冒険者に憧れた事はある。でも、1人で旅に出るには色々と後ろ髪を引かれる思いで。
今は、まっさら。
けど、私を当主にしたいと思い、認めない者が増えていく。
その状況に、どう私が振る舞うのか?
これからきっと、魔力量が上がる。このペースで鍛錬すれば前よりもっと、増えるだろう。
そうなったら、魔導具を起動しよう。書庫にある埃を被った魔導具の手入れと魔力を込めて、起動する。
前できなかった、修理と観察ができる。
(前にできなかったことと、しなかった事をやってみようか?)
街に住んでみるとか、王都に行ったこともなかった。冒険者としてギルドに通って、みるとか。
ちょっと楽しくなってくる。
お爺ちゃん庭師に抱っこされて、すごくゆっくり、畑を周りながら。
ちょろり、ちょろりと水をかけていく。
褒められながら、魔物除けの道具の点検をしている歩みに眠りを誘われる。
雑多になっている本を並べ直して、好きなだけ読もう。
(やってみたかった事、今は思い出せなくても見つけ出せる筈!)
魔物達の襲来が何歳の時だったか?屋敷の人達の名前、文通をしていた友人の事。
寝る直前の思い浮かぶように、屋敷内の人の会話が見れる。
オジサマと師匠執事さんが、仕事をしている。この後、師匠執事さんは王都で活動するようになる。その時になんとか着いていく方法を考えよう。
イライラしても12歳でできなかった事を、赤ん坊が心配していても無駄だ。
とりあえず、ひとつ絶対やる事を決めた。
(あの当主、絶対しめる!)
赤ん坊は誓った。
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