上 下
21 / 200
番外編

教会の悩める子

しおりを挟む
目を開けると他の子が寝ているのが見えた。

自分のベッドじゃないことに気が沈む。

ここは自分の家じゃない。
起きても母がいない。

弟が起きてこない

父とも会えない。


のろりと孤児院のベッドから出た
起きて朝食の手伝いをしよう。

お世話になっているんだし当然だ。


現在、
ボクは教会の孤児院にお世話になっている。

あの事故から何日たったんだったか。
やっと目が覚めて家でも宿でもないことに
うろたえなくなった。


日常に。家族がいない。

父は商人で朝早くからいないことが多かった。
母は家のことや商売の手伝いをしていたけど

夕方には家にいた。
弟と一緒に学びどころへ行き、計算や地理の勉強。

忙しい日には、母と交代で商売を手伝った。

そんな日々だったのに。

急に旅支度をするように言われて、
父と門で合流してそのまま街を出た。

学びどころの友達に別れも言えなかったし、
急いでいた。逃げ出すように。

馬車の中だったり御者のやり方を父から教わって
こんなに一緒にいたのは初めてかも知れない。


4人家族ってこういうものかと
穏やかな日々って言えたと思う。

行ったことのない土地でもなんとか過ごせそう
その後、




馬車が落ちた。

ボクは御者席に座っていた

上からの土から庇ってくれた父
でも、崖から押し出される

馬車の中にいた母と弟は

どうなったのか?
……わからない。

雨が降っている。
湿気、雨音、暗闇が


鬱々と
不安

恐い、怖い、コワイ!


布団を被った。
早く
朝が来てくれ。

母や弟とおはようという朝に!
父と話せる日に。


ーーー
気持ちとは裏腹に
日々は静かだった。

教会の子
よそ者の自分も甘えている。


商売ギルドで捜索してくれたけど

この町に家族はいない
馬車が見つかったが遺体もない


行き着いたなら
山向こうの町だろう

森もあるため
冒険者ギルドに依頼が必要だろうか。


お金は手元にない。

商売ギルドに相談に行こうか。



ボクは多少の怪我はあったものの
熱も出ず、家事くらいなら問題ない。


そんな日常が自分だけおくれているのが
不安だった。


なぜ?と不満だった。

ーーー

闇夜を睨んでいたら
「眠れないか?」

と声をかけられた。

シスターじゃない。

教会の子の中でも大きな子だ。


「ミルクティーを飲まないか?」
と誘われたので、キッチンへ。


いつも自分が淹れる方だから
淹れてもらうのが不思議な気分だった。

明るい部屋。外は真っ暗


茶葉の味がしっかりあるミルクティー

温かい。


「落ち着いたら
横になるだけでも良いからしたほうが良い」

この人も寝れないのかな

「シスターが心配する。」

浮世離れしてる綺麗な顔が
少し微笑んだ。


今日は、

寝れるかもしれない。




後で知ったんだけど、


セリおねえちゃん
と呼ばれてた、


・・・お姉さんだったんだ。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

神様の手違いで異世界のペット?!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:71

私と黄金竜の国

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:348

【完結】これでよろしいかしら?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:49

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:67,410pt お気に入り:23,312

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:20,433pt お気に入り:11,864

異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:17,005pt お気に入り:1,037

処理中です...