【完結】私の代わりに。〜お人形を作ってあげる事にしました。婚約者もこの子が良いでしょう？〜

お人形さん

魔法をかけた。

丁寧に、慎重に。
私のようなお人形。私と代わってくれる…「良い子。」

ドレス、化粧の代わりの魔力のこもった粉をはたく。
そして、香水。

婚約者がそれなら良いと言っていた香り。


祝う行事で、騒ぎを起こしてしまうのは申し訳ないけど。
当日、その魔力の満たされる環境で生き生きと動きだす筈。


すぐにバレはしない。
言葉も交わさず、ただ誘導に従うだけなら人形でもできる。

「きっとダンスをしたらわかるわね。」

だけど、婚約者はダンスに誘ってくれるのかしら？



そして、月夜のパーティー
魔力の強まる今日、夜通し踊り明かす

「婚約者の義務だ。踊ってやる」

そう差し出して婚約者の女は、動かない。

「ーおいっ」
肩を持つと、カタリと音をさせよるような動き

人形のような瞳で、言葉が聞こえた


『私も貴方達なんていらないワ』

ガタッゴトと崩れた人形が残る

人形だと気づいたとばかりに

狼狽える人々、悲鳴。


「なんだこれは…」

そう男が呟くも、人形は語らない。