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今は
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今日も今日とて、令嬢にあるまじき甲高い声が響いております。
近くに控えているメイドを壁扱いするのは良くあることですが。
ここ、王城の廊下なんですけど?
「アンタみたいなブスが!」
「アラ~、さぞ美しい心で?男を漁ってるのねえ。」
「なんですって?!」
「本当のことだから、怒ってるんでしょ~?」
キャットファイトの始まりです。
扇子での小突き合いから、手もでてますねー。
足が出ないのは、膨らんだスカートだから…いえ、スカートごと蹴りが入ってます。
文官の皆様はお2人を避けて、状況を見守っています。
騎士か守衛が呼ばれているので、お2人の体力が尽きるのを待つのが賢明でしょう。
内容を聞く限り、部屋に呼んだ男性を巡っての喧嘩でしょうか。
(確かお2人は侯爵家、幼馴染だったような。)
後宮でなら寵愛を求めて、壮絶な戦い繰り広げられるんでしょうけど(※本でしか知らない知識)
令嬢としてこの城で何をお勉強しに来ているのかしら?私も授業に参加してみたくなります。
「昔っっっから!アンタの手癖の悪さは相変わらずね!」
「その後~、親の権威を使ってちょっかいかけるのは、だぁれー?」
あーあ。
嫁ぎ先がなくなりますよー。
こんなところで、いろんな男に手を出す遊び人です。
親の権威を使ってますって。
(あ、騎士様が来ました。)
「レイモンド様!」
「あ~ん♡私の騎士様ぁ」
あ、守衛の方のが良かったかも。
騎士様では令嬢に触れられませんね。
私もメイドとして回収係を承る構えはあるのですが
女性に人気の騎士様の登場で、新たな火種になってます。
「この女があ、私を虐めるんですぅ」
「ハアァ?!アンタが悪いんでしょう?いつものアンタの手じゃない!」
これ、収拾がつくでしょうか?
「何をしている!!」
一喝の登場をされたのは、次期宰相と目されるローナンド…様。
早々に場の掌握をされ、それぞれを部屋へ騎士付きで返しました。
お見事です。
目が合いましたので、
“お疲れ様です”と感謝の念と共に頭を下げます。
目元に隈があり、最近こんな騒動ばかりで大変な時期。心労もいかばかりか。
立ち去った姿を見ていると
騎士のレイモンド様がお隣に。
「ああいうのって多くなってさあ。困っちゃうよねー。」
「お疲れ様でした。」
この気さくな会話で女性にモテるそうですが。
私にはわかりません。
それ以上話しかけられるのを「仕事がありますので」で返し、
ある文官の方と目線で会話を交わし、
(はい。)
令嬢の1人の後を追います。私のお仕事ですね。
リラックス効果のあるお茶を淹れ、部屋に向かいました。
「本当、ムカつく!あのっ、女!!邪魔してばっか、で!」
バシバシとクッションが殴られています。
控えているメイド仲間に労いの目線を投げ、
「お茶をお持ちしました」と声をかけて様子を見ます。
あのクッション。生地が薄くなってますね。
破損物として報告に上げなければ。取り替えはグレードを下げた丈夫なものを
お願いしましょう。
「アンタ!お茶が不味いわっ」
バシっ!とこちらにクッションが飛んできます。
(ティーセットに当たらなくて良かった。)
この調度品、税で払うのはお客様である貴女の家ですからね?
「ちょっと!あの女の弱みを握って来なさいよ!
メイドの仕事でしょう!」
「お仕事で動く場合、メイド長に報告が必須ですが…よろしいですか?」
貴女の依頼でメイドを動かしたって、評価に響くでしょうね。
それに、「淑女として…」とメイド長にマナーの授業時間を追加されそうです。
「おばさんが!」
(3つ違いでおばさんですか。)
私は城で3年働いてますからね。ちゃんと感情的にならずに報告します。
わがままな令嬢の言う事を聞くのがメイドの仕事?
いえいえこっちだって仕える相手は、選びたいです。
ここは引きますが、覚えておいて下さいね?
全部まるっと伝わりますから。
近くに控えているメイドを壁扱いするのは良くあることですが。
ここ、王城の廊下なんですけど?
「アンタみたいなブスが!」
「アラ~、さぞ美しい心で?男を漁ってるのねえ。」
「なんですって?!」
「本当のことだから、怒ってるんでしょ~?」
キャットファイトの始まりです。
扇子での小突き合いから、手もでてますねー。
足が出ないのは、膨らんだスカートだから…いえ、スカートごと蹴りが入ってます。
文官の皆様はお2人を避けて、状況を見守っています。
騎士か守衛が呼ばれているので、お2人の体力が尽きるのを待つのが賢明でしょう。
内容を聞く限り、部屋に呼んだ男性を巡っての喧嘩でしょうか。
(確かお2人は侯爵家、幼馴染だったような。)
後宮でなら寵愛を求めて、壮絶な戦い繰り広げられるんでしょうけど(※本でしか知らない知識)
令嬢としてこの城で何をお勉強しに来ているのかしら?私も授業に参加してみたくなります。
「昔っっっから!アンタの手癖の悪さは相変わらずね!」
「その後~、親の権威を使ってちょっかいかけるのは、だぁれー?」
あーあ。
嫁ぎ先がなくなりますよー。
こんなところで、いろんな男に手を出す遊び人です。
親の権威を使ってますって。
(あ、騎士様が来ました。)
「レイモンド様!」
「あ~ん♡私の騎士様ぁ」
あ、守衛の方のが良かったかも。
騎士様では令嬢に触れられませんね。
私もメイドとして回収係を承る構えはあるのですが
女性に人気の騎士様の登場で、新たな火種になってます。
「この女があ、私を虐めるんですぅ」
「ハアァ?!アンタが悪いんでしょう?いつものアンタの手じゃない!」
これ、収拾がつくでしょうか?
「何をしている!!」
一喝の登場をされたのは、次期宰相と目されるローナンド…様。
早々に場の掌握をされ、それぞれを部屋へ騎士付きで返しました。
お見事です。
目が合いましたので、
“お疲れ様です”と感謝の念と共に頭を下げます。
目元に隈があり、最近こんな騒動ばかりで大変な時期。心労もいかばかりか。
立ち去った姿を見ていると
騎士のレイモンド様がお隣に。
「ああいうのって多くなってさあ。困っちゃうよねー。」
「お疲れ様でした。」
この気さくな会話で女性にモテるそうですが。
私にはわかりません。
それ以上話しかけられるのを「仕事がありますので」で返し、
ある文官の方と目線で会話を交わし、
(はい。)
令嬢の1人の後を追います。私のお仕事ですね。
リラックス効果のあるお茶を淹れ、部屋に向かいました。
「本当、ムカつく!あのっ、女!!邪魔してばっか、で!」
バシバシとクッションが殴られています。
控えているメイド仲間に労いの目線を投げ、
「お茶をお持ちしました」と声をかけて様子を見ます。
あのクッション。生地が薄くなってますね。
破損物として報告に上げなければ。取り替えはグレードを下げた丈夫なものを
お願いしましょう。
「アンタ!お茶が不味いわっ」
バシっ!とこちらにクッションが飛んできます。
(ティーセットに当たらなくて良かった。)
この調度品、税で払うのはお客様である貴女の家ですからね?
「ちょっと!あの女の弱みを握って来なさいよ!
メイドの仕事でしょう!」
「お仕事で動く場合、メイド長に報告が必須ですが…よろしいですか?」
貴女の依頼でメイドを動かしたって、評価に響くでしょうね。
それに、「淑女として…」とメイド長にマナーの授業時間を追加されそうです。
「おばさんが!」
(3つ違いでおばさんですか。)
私は城で3年働いてますからね。ちゃんと感情的にならずに報告します。
わがままな令嬢の言う事を聞くのがメイドの仕事?
いえいえこっちだって仕える相手は、選びたいです。
ここは引きますが、覚えておいて下さいね?
全部まるっと伝わりますから。
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