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学校の付き合いもほどほどに。

鏡を出せる能力で、高いところに行ってしまった物を探したり

園芸部の畑で烏を追い払ったり。

そのお礼のお菓子と果物を持ってかえってきた。
ぬっと立っている父にビビる、

久しぶりに、顔を合わせるって感じだ。
和やかな雰囲気はなく、不気味。

知らない誰かみたい

そう思って見ていたら、ひと言。

「失敗作。お前なんかいなくて良い」

酒瓶を片手に、酔って赤いはずの顔が青い。
冷静に見返す、言われっぱなしにはなってやらない。


鏡よ鏡。

父の前に、顔が映る大きさの鏡を出す。
「失敗作、あなたはそう思っているんだよね?」

「ああ、そうだ!お前のこんな固有魔法なんてお前ごといらなかった!」

その顔、その声色。
そのまま見せる。

「可哀想だね。それは自身に返る言葉だよ。」

固有魔法があれば、全て叶うと思ったの?

衝撃を受けたように、父は膝をついてうずくまった。


母とお手伝いのおばさん、おじさんが父を病院へ送った。

しばらくは叔父さんが家に来て僕たちと過ごした。

父が帰ってこれるかは、本人次第だし。
鏡魔法に大した力はない。


呪いの言葉をそのまま返す、とか?

「単なる鏡だよ。」

それだけの魔法だった。
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