3 / 8
私の知っている家
しおりを挟む
わたしは、そのまま眠ってしまった。
明るい日差しが部屋に降り注いでいた。
夕飯は食べ損ねたな。
こんなに寝たのは久しぶりだ。結婚式の準備が
大変だったのもあるが、緊張のしっぱなしで…
起き上がって気づいた。
わたしの小さな手。
私は、今子供だった。
すごい虚無感が襲う。
まだ結婚式の準備をなにかし忘れていないかしら?と
要らぬ心配をはじめる母が部屋に入ってきて、
今日の予定の打ち合わせ、
あの人に会える日は気合を入れて、お洒落をする。
そんな日常は、来ない。
その事実から目を逸らす。
この体で、夕食を食べ損ねてしまったが大丈夫だろうかと
体の心配をすることにした。
服は寝衣に着替えている。
着替えをしてもらっているのに、気づかずに爆睡したのは何歳ごろまでたったかしら?
最近あったかもと頭を掠めたけど、
あの人にはこんな姿見せられないわと考えたところで
ノックの音がした。
「お嬢様。起きてらっしゃいますか?」
「はい!」と少し慌てて返事を返した。
その後、着替えを手伝ってもらい
食堂へ降りた。
そこに、誰も待っていることはなく、
寒々しいと感じる場所だった。
以前にここで食事した時は、
お義母様とお義父様、あの人も一緒で。
古くからいる、長い付き合いの使用人と会話を交えつつ
食事を楽しんだ。
お義母様が心を配ってくださった、もてなしに
和やかに話されるお義父様。
私の家まで送ってくれた彼に、
お2人の雰囲気がとても彼に似ていて…
「貴方もお義父様に似てくるのかしら?」
「僕は髭は生やさないよ?」と言っていたわ。
「お義父様は、お髭がお似合いだもの。
貴方も似合うと思うわよ?」と言っておいた。
彼はこの5年でどう変わっただろう。
少なくとも子どもには、なっていないだろうがと自分の姿を思った。
食事に集中しよう。
小さな手でスープスプーンをつかう。
美味しい。
この味わいが料理人たちの腕を磨き、味を受け継いでいる。
と自信に輝いて教えてくれた。
あの味を思い起こさせる。
出された料理は、子供に配慮されているサイズに切り分けられ
心遣いが感じられた。
お腹もいっぱいになり、カラトリーを置いた。
食事には満足だが…
寂しい。
この家には温度がない。
私と彼が育もうとした生活の面影が凍りついたようで、
この家は息をしていない。
配膳をしてくれた人に感謝を伝え、食休みに庭の方へいくことにした。
庭は以前に比べてチグハグな印象だったが、
綺麗に整えられて手が入っている。
お義母様が好きな薔薇と、
私が好きなオレンジ色の小さな薔薇があった。
まだあった!私がいた頃のもの。
探せば、あちらも、あの野菜を植えて欲しいと言ったのも私だ。
彼が気に入ったという酢漬けを作るためだった。
変わっていないものもあるのね。
彼と初めてお見合いした庭
付き合い始めてからもお義母様も交えてお茶をした。
お義父様が貸してくださった本は。まだ図書室にあるかしら?
私の居なかった時間
わたしの育った家
私の記憶では、5年の歳月はないのに
どこかしこで、変わってしまっていた。
子供の時間とは、長いような気がする
特に最近は結婚式の準備で忙しかったから。
そう思って、暗くなる思考を意識的に切り替えた。
この年では、お手伝いもできない。
もちろんまだ社交もなく、教師を招く頃なのかもしれないけど。
家に教師、来客が来ている様子はない。
わたしは放置されているというより、存在を持て余しているのだろう。
基本、アレとの接触は避けると決めている。
今朝からいないのは、出掛けたらしく
いつものように帰らないだろうって、知らないメイドがおしゃべりしていた。
兎にも角にも、情報収集だ。じっとしていても思考が悪い方に向く。
私の記憶との違いを探し出すことにした。
狙いの“井戸端会議”には今からだと時間が合わない。
もう少し後だ。
庭をもう少し見て回ろう。
柵が新しくなっている場所には、派手な花が多く見られた。
私もお義母様も小さな愛らしい花が好きだった。
誰のためか想像がついて、気分が下がる。
もっと奥へ行けば、食べられるものがある。
ここは変わっていない。
変化は、家に近い場所だけのようだ。
アレの性格と、お客様という部外者扱いが見えた。
家の食堂を見ればわかる。
“女主人がいない家”
心遣いもなく、相手への配慮もない部屋。
アレの支配が広がっていないのは、正直嬉しい誤算だけど。
モヤモヤ広がる気持ちを花を見て、鎮めていた。
あの実は食べるには早いかしら?
そろそろ、井戸端会議が始まる時間だ。
女主人には似合わない、はしたない事をしようとしているが
今は小さい幼女だ。子どもなのだから許してもらおうと
メイド達の休憩場所に近づいて行った。
半地下のようになっているここは、
軽食を食べ、順に休憩を取る時おしゃべりに興じる場所だ。
今の情報収集には持ってこいだ。
予想通り、身を隠せる木陰に座りじっと会話に耳を澄ませた。
「オクサマっていつ帰ってくるの?」
「さあ?劇の終演までいるんじゃないのー。」
「あの俳優かっこいいよね!」
「ええーヒョロイじゃん。」
知らない声が多い。
ただ、暫くはアレと会わずにすむようだ。
それには安堵した。
まだ、何をどうすればいいか分かっていない。
子どもの体、私の味方、わたしのこれから
どうなるの?
「旦那様は、そろそろ戻られる時期かしら?」
彼の話を
よく聴くために、古びた柵に手をかけ、耳を向けた。
「お嬢様は?」
「さあ。どっかにいるでしょ」
「今回はオクサマのお飾り役を免除されるんじゃない?」
「あの陰気な顔を見なくていいのね」
いたいけな子どもに酷い言いようだこと。
そろそろ、ここを去ろうとしたところで、
入ってきた人物に部屋の空気が変わった。
「あの子を悪く言うのはお辞めなさい。
あれは、悪魔の子なのだから。」
重々しい真実味のある言葉に聞こえた。
「悪魔?女神様のご慈悲なのでしょう??」
当然の事と思って質問する女に、
「あの子がいなければ、旦那様はすでに離縁でき、苦しんでいないでしょう?」
さも当然と言う形で答えた。
わたしの動揺を余所に、話は続いた。
「やっぱり離縁したいのねー」
「嗚呼!可哀想な旦那様ぁ~。あたしがお慰めしようかしら?」
「良しなさいよ」
そんな戯れの言葉が続いて消えていく。
外では、バキっと音がした。それに気づいた者はいない。
ただ、折れた柵が残っていた。
『あれは、悪魔の子さ。』
言葉が鋭利に、わたしの胸へ迫ってきた。
わたしはその場から逃げ出した。
わたしのせいなの?
わたしがわるいの??
感情がぐちゃぐちゃになる
子供のものか
大人なのか
ただ、元来た道を駆けるが、
転けてしまう。
じんじん膝が痛い。起き上がる手は小さい。
体は子供だと分かった。
でも、でも
心は私だ!
ああ。
悲しい。彼がいない。彼の隣にいない私が。
庭の隅で
泣きはらした。無意識にでも人の来ない場所にたどり着いき、慟哭する。
これからどうしよう?答えは決まっている。
彼、彼に会いたい!
泣き虫だと言われてもいい。
彼に、泣きつきたい!
ううう
嗚咽を漏らす
考えなければならない。
私の進む道だった。
わたしでは生きられない道になった。
散々泣いた目を庭の水場で少し洗い、呼吸を整えた。
元気づけるためベリーを少し口にして、栄養を補給する。
冷静に思考を巡らせた。
外で得られる情報はもうないだろう。
この家の者に、どう思われているかは分かった。
今度は家の中を探ろう。
ここに居る人とも話してみたい。
ただ、彼等からの直接的な攻撃はないと思うが、注意は怠らない。
味方ばかりではなく、この状況の一因ととられている。
気をつけて、動こう。
家に戻ろう。人に会わないよう
いつも使われていない所から入った。
明るい陽射しの入る場所。
以前になかった祭壇がある。
私の好きな、オレンジ色の小さな薔薇が飾ってある。
あの花瓶はお母さんから誕生日に貰って、ここに持ってきた物だ。
女神信仰のものではないようで、女神像も両脇の天使もなく
小さなサイズで、植物をモチーフにした白い石の祭壇が美しい。
温かな陽射しに誘われるように、前に跪く。
祈った。
彼に会いたい
彼に抱きしめられたい。
彼の伴侶として。
叶うわけないと気づきながらも、真剣に
私は祈った。
明るい日差しが部屋に降り注いでいた。
夕飯は食べ損ねたな。
こんなに寝たのは久しぶりだ。結婚式の準備が
大変だったのもあるが、緊張のしっぱなしで…
起き上がって気づいた。
わたしの小さな手。
私は、今子供だった。
すごい虚無感が襲う。
まだ結婚式の準備をなにかし忘れていないかしら?と
要らぬ心配をはじめる母が部屋に入ってきて、
今日の予定の打ち合わせ、
あの人に会える日は気合を入れて、お洒落をする。
そんな日常は、来ない。
その事実から目を逸らす。
この体で、夕食を食べ損ねてしまったが大丈夫だろうかと
体の心配をすることにした。
服は寝衣に着替えている。
着替えをしてもらっているのに、気づかずに爆睡したのは何歳ごろまでたったかしら?
最近あったかもと頭を掠めたけど、
あの人にはこんな姿見せられないわと考えたところで
ノックの音がした。
「お嬢様。起きてらっしゃいますか?」
「はい!」と少し慌てて返事を返した。
その後、着替えを手伝ってもらい
食堂へ降りた。
そこに、誰も待っていることはなく、
寒々しいと感じる場所だった。
以前にここで食事した時は、
お義母様とお義父様、あの人も一緒で。
古くからいる、長い付き合いの使用人と会話を交えつつ
食事を楽しんだ。
お義母様が心を配ってくださった、もてなしに
和やかに話されるお義父様。
私の家まで送ってくれた彼に、
お2人の雰囲気がとても彼に似ていて…
「貴方もお義父様に似てくるのかしら?」
「僕は髭は生やさないよ?」と言っていたわ。
「お義父様は、お髭がお似合いだもの。
貴方も似合うと思うわよ?」と言っておいた。
彼はこの5年でどう変わっただろう。
少なくとも子どもには、なっていないだろうがと自分の姿を思った。
食事に集中しよう。
小さな手でスープスプーンをつかう。
美味しい。
この味わいが料理人たちの腕を磨き、味を受け継いでいる。
と自信に輝いて教えてくれた。
あの味を思い起こさせる。
出された料理は、子供に配慮されているサイズに切り分けられ
心遣いが感じられた。
お腹もいっぱいになり、カラトリーを置いた。
食事には満足だが…
寂しい。
この家には温度がない。
私と彼が育もうとした生活の面影が凍りついたようで、
この家は息をしていない。
配膳をしてくれた人に感謝を伝え、食休みに庭の方へいくことにした。
庭は以前に比べてチグハグな印象だったが、
綺麗に整えられて手が入っている。
お義母様が好きな薔薇と、
私が好きなオレンジ色の小さな薔薇があった。
まだあった!私がいた頃のもの。
探せば、あちらも、あの野菜を植えて欲しいと言ったのも私だ。
彼が気に入ったという酢漬けを作るためだった。
変わっていないものもあるのね。
彼と初めてお見合いした庭
付き合い始めてからもお義母様も交えてお茶をした。
お義父様が貸してくださった本は。まだ図書室にあるかしら?
私の居なかった時間
わたしの育った家
私の記憶では、5年の歳月はないのに
どこかしこで、変わってしまっていた。
子供の時間とは、長いような気がする
特に最近は結婚式の準備で忙しかったから。
そう思って、暗くなる思考を意識的に切り替えた。
この年では、お手伝いもできない。
もちろんまだ社交もなく、教師を招く頃なのかもしれないけど。
家に教師、来客が来ている様子はない。
わたしは放置されているというより、存在を持て余しているのだろう。
基本、アレとの接触は避けると決めている。
今朝からいないのは、出掛けたらしく
いつものように帰らないだろうって、知らないメイドがおしゃべりしていた。
兎にも角にも、情報収集だ。じっとしていても思考が悪い方に向く。
私の記憶との違いを探し出すことにした。
狙いの“井戸端会議”には今からだと時間が合わない。
もう少し後だ。
庭をもう少し見て回ろう。
柵が新しくなっている場所には、派手な花が多く見られた。
私もお義母様も小さな愛らしい花が好きだった。
誰のためか想像がついて、気分が下がる。
もっと奥へ行けば、食べられるものがある。
ここは変わっていない。
変化は、家に近い場所だけのようだ。
アレの性格と、お客様という部外者扱いが見えた。
家の食堂を見ればわかる。
“女主人がいない家”
心遣いもなく、相手への配慮もない部屋。
アレの支配が広がっていないのは、正直嬉しい誤算だけど。
モヤモヤ広がる気持ちを花を見て、鎮めていた。
あの実は食べるには早いかしら?
そろそろ、井戸端会議が始まる時間だ。
女主人には似合わない、はしたない事をしようとしているが
今は小さい幼女だ。子どもなのだから許してもらおうと
メイド達の休憩場所に近づいて行った。
半地下のようになっているここは、
軽食を食べ、順に休憩を取る時おしゃべりに興じる場所だ。
今の情報収集には持ってこいだ。
予想通り、身を隠せる木陰に座りじっと会話に耳を澄ませた。
「オクサマっていつ帰ってくるの?」
「さあ?劇の終演までいるんじゃないのー。」
「あの俳優かっこいいよね!」
「ええーヒョロイじゃん。」
知らない声が多い。
ただ、暫くはアレと会わずにすむようだ。
それには安堵した。
まだ、何をどうすればいいか分かっていない。
子どもの体、私の味方、わたしのこれから
どうなるの?
「旦那様は、そろそろ戻られる時期かしら?」
彼の話を
よく聴くために、古びた柵に手をかけ、耳を向けた。
「お嬢様は?」
「さあ。どっかにいるでしょ」
「今回はオクサマのお飾り役を免除されるんじゃない?」
「あの陰気な顔を見なくていいのね」
いたいけな子どもに酷い言いようだこと。
そろそろ、ここを去ろうとしたところで、
入ってきた人物に部屋の空気が変わった。
「あの子を悪く言うのはお辞めなさい。
あれは、悪魔の子なのだから。」
重々しい真実味のある言葉に聞こえた。
「悪魔?女神様のご慈悲なのでしょう??」
当然の事と思って質問する女に、
「あの子がいなければ、旦那様はすでに離縁でき、苦しんでいないでしょう?」
さも当然と言う形で答えた。
わたしの動揺を余所に、話は続いた。
「やっぱり離縁したいのねー」
「嗚呼!可哀想な旦那様ぁ~。あたしがお慰めしようかしら?」
「良しなさいよ」
そんな戯れの言葉が続いて消えていく。
外では、バキっと音がした。それに気づいた者はいない。
ただ、折れた柵が残っていた。
『あれは、悪魔の子さ。』
言葉が鋭利に、わたしの胸へ迫ってきた。
わたしはその場から逃げ出した。
わたしのせいなの?
わたしがわるいの??
感情がぐちゃぐちゃになる
子供のものか
大人なのか
ただ、元来た道を駆けるが、
転けてしまう。
じんじん膝が痛い。起き上がる手は小さい。
体は子供だと分かった。
でも、でも
心は私だ!
ああ。
悲しい。彼がいない。彼の隣にいない私が。
庭の隅で
泣きはらした。無意識にでも人の来ない場所にたどり着いき、慟哭する。
これからどうしよう?答えは決まっている。
彼、彼に会いたい!
泣き虫だと言われてもいい。
彼に、泣きつきたい!
ううう
嗚咽を漏らす
考えなければならない。
私の進む道だった。
わたしでは生きられない道になった。
散々泣いた目を庭の水場で少し洗い、呼吸を整えた。
元気づけるためベリーを少し口にして、栄養を補給する。
冷静に思考を巡らせた。
外で得られる情報はもうないだろう。
この家の者に、どう思われているかは分かった。
今度は家の中を探ろう。
ここに居る人とも話してみたい。
ただ、彼等からの直接的な攻撃はないと思うが、注意は怠らない。
味方ばかりではなく、この状況の一因ととられている。
気をつけて、動こう。
家に戻ろう。人に会わないよう
いつも使われていない所から入った。
明るい陽射しの入る場所。
以前になかった祭壇がある。
私の好きな、オレンジ色の小さな薔薇が飾ってある。
あの花瓶はお母さんから誕生日に貰って、ここに持ってきた物だ。
女神信仰のものではないようで、女神像も両脇の天使もなく
小さなサイズで、植物をモチーフにした白い石の祭壇が美しい。
温かな陽射しに誘われるように、前に跪く。
祈った。
彼に会いたい
彼に抱きしめられたい。
彼の伴侶として。
叶うわけないと気づきながらも、真剣に
私は祈った。
2
あなたにおすすめの小説
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
とある伯爵の憂鬱
如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
上手に騙してくださらなかった伯爵様へ
しきど
恋愛
アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。
文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。
彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。
貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。
メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。
ガネス公爵令嬢の変身
くびのほきょう
恋愛
1年前に現れたお父様と同じ赤い目をした美しいご令嬢。その令嬢に夢中な幼なじみの王子様に恋をしていたのだと気づいた公爵令嬢のお話。
※「小説家になろう」へも投稿しています
メリザンドの幸福
下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。
メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。
メリザンドは公爵家で幸せになれるのか?
小説家になろう様でも投稿しています。
蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる