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彼の懺悔
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「そろそろ、ご実家に戻られたらいかがですか?」
いつも声をかけるセリフをこの時期だけのものに言い変えて、
上司に話しかけた。
この上司に、
食事をなんとか腹に収めてもらい、
横になってもらうのも自分の仕事だ。
なんでも、
愛した人を亡くしたらしく
その焦燥ぶりは未だに語り草だ。
噂では、女がいると聞くが、自分は“それはない”と否定できる。
この上司は、仕事しかしていない。
他はお母上のご機嫌伺いやら一人で出掛けるのみだ。
誰とも居ることを好まなくなっている。
顕著なのは5年前の結婚式以降か。
ハネムーンで出てこない筈が、職場に居て驚いた。
ドッキリか、奥方と新婚早々に喧嘩したかと声をかけようとすれば、
様子がおかしかった。
茫然自若
ここを現実じゃないとでも言いそうな
常のなさに、新居の方ではなく、先代様がいらっしゃるという家の方へ
送り届けた。
その後の詳しいことはわからないが
出てきた時から、無理した笑顔の振りで、仕事漬けになった。
何があったかはわからない。
尋常でないことが起こったのはわかった。
箝口令がしかれているんだ。
自分が今以上に、深入りできない。
もう5年経っているんだな。
上司は優しげな見目が受け、女性から情報を聞き出そうと自分に
声をかけてくるが、丁重にお断りしている。
その手の話を持っていけば、数日中は声をかけられなくなるほど荒れる。
以前、気弱にも見えた柔らかかった眼差しは
睨み付けるかのように、不機嫌だ。
機嫌の問題だけではなく、体調も悪いのだろう。
これだけ働き詰めで、いつ倒れるか賭けをするものまで出てくる。
「倒れないに賭けておけ」と言って金を渡してきた、
この上司が勝ち続けているが。
いつ離婚するか?の賭けには、のっていない。
この上司の働き過ぎは有名でも、
家に帰っていないのはバレていない。
甲斐甲斐しく使用人が協力しているからだ。
洗濯物や食事の持ち込み。
その格好から泊まり込みしているなんて思われないだろう。
小綺麗で、健康的。見かけの上は。
奥方と不仲な奴なんてザラにいるが。
この上司のオクガタと名乗る女を見かけたことのある。近づきたくないタイプだと感じた。
上司の働きぶりは、
罰を受けたがっているかのようだ。
今日は、久しぶりに馬車で帰る姿を見送った。
監視の報告をしに行かないとなと踵を返す。
何をやらかして、監視対象になってんだか。
深入りしまいと、上司の動向だけ端的に伝えに行った。
上のまた上に行くらしい報告を。
帰る前に本屋に、お茶を飲みに寄った。
ここに、あの女は近づかない。
彼女は本が好きだった。
夕暮れから夜になる時刻。あたりはもう暗く食事の時間だ。
家ではいつも通り、持ち帰れる夜食を用意してくれているだろう。
心の消耗を予想して、紅茶の香りで神経を宥めた。
家には夜だけ行く。短時間だけ。あそこで、おちおち寝ていられない。
王命の下に結婚したことになっているが…。
苛々と、不満が溢れる。
気持ちを切り替えるために、詩集を見る。
彼女が好きだったものの、ひとつだ。
“女神信仰”
王族も信仰するそれを…
僕は認めない。
彼女を奪った女神など
結婚式に準備を母と頑張ってくれた、
嬉しそうな顔が浮かんだ。
彼女を守れなかった。
彼女を刺したあの女は、
服を仕立てに行っていた店の近くで花を売っていた娘で。
僕もその花を買ったことがあったらしい。
顔を合わせても気づかない、知らない女だった。
「女神様のお導きです!」
そう真っ直ぐな目で見てきた女は、ただ
気持ち悪かった。
それが通ると思っていることも
オカシイと気づきもしないという態度
幸せいっぱいだと頬を染めたあの女が
…彼女なら僕の浮気を疑っただろうか?
「キャットファイトしてやるわ!」と腕まくりしそうだ
フッとひさしぶりに彼女の声と表情が思い出せて、
頬が緩む。
特にここは、気分が変えられる。
彼女と言った思い出の場所に逃げ込む。
あの女が待っているあの家は、悪夢だ。
彼女がいないのに、なぜあの女がいるんだ?
彼女を殺した、あの女が!!
怒りがおさまらなくなる前に、紅茶を飲んだ。
「彼女が美味しい!」と言った紅茶。
“ここでは静かになさってください”と咳払いされていた。
じわっと目が潤む。
彼女がいない。
1、2年は母を慰めながら、悪い夢だと自分に言い聞かせ普段通りに仕事をして過ごした。
僕たちの家にあの女が住み着いても
「わたしが花嫁です!」なんて妄言を言い出しても
「もう3年経ちましたね。3年を記念して、もう一度、身内だけのお式をあげませんか?」
その妄想が悪化していた女を、居ないものとして扱いはじめた。
仕事場では、
仲の悪い夫婦は多いと検討違いの見立てをしてくる輩もいる。
愛人を持て?奥方と向き合えだって?
あいつは、彼女を殺した女だぞ?
その上、僕の妻と名乗っている!!
箝口令で5年前の事実には蓋がされた。
逆らえば、王の命令に背いた謀反人だ。
一族全員が、死ぬ。
女神様の恩恵を受け入れろって。
できるわけ、ないだろう?
『あら、できないことなんてないわ。
でもね?やりたくないと心が言えば、戦うのよ!』
彼女の声が思い出される。
5年
彼女を喪って、たった年月。
『仕事を頑張ってくれるのはわかるけど、私も構って?』と冗談混じりに言ったり、
子供が欲しいと悪戯っぽく言う彼女に、
「結婚式の後で…」どもりながら答えれば、
「あ、当たり前じゃない。」と赤面した彼女が可愛いかった。
視界が滲む。
彼女に会いたい。
ボタボタと涙が出る。
声を絞り出す。「認められるわけないだろう?」
家に帰るのは、彼女が死んだ日が近いためだ。
王の命令でねじ込まれたこの道に、
女神の思惑通りに、このまま進むのか?
心は否と言う。
だが、どう女神と戦えばいいのだろう?
日が沈む。気分もこれ以上下がらないだろう
いやアレに会ったら。今回は避けられると踏んでいる。
そして、
暗闇が来た。
『抗え』
声?遠くから直接頭に届いたような、音のする方に近づく。
一冊の本に手を出す。“悪魔の誘い”
「まんまだな。」
席に戻りその本を読み進めた。灯りを点けた店の者にもう一杯紅茶を頼む。
パラパラと読む。
女神信仰は先王が認めて広まった信仰なのか。
そういえば、
うちは、植物を育む神様を信仰していたか。
お婆様がよく庭の花を摘んで、お供えしていた小さな頃を思い出す。
本の続きが気になったが、そろそろ出なければ。
母のところへ帰る時間がもっと遅くなる。
『悪魔の誘い』
を買って帰った。
家に入る
僕の愛する彼女が迎えに出てくる事ない
名目上の我が家
緊張する。未だに幻想を抱く自分に。
「おかえりなさい」出迎えがあった。
夢だ
子供が迎えてくれる
うちの家系に良くある色合いを持って、彼女の表情で。
驚きに辺り観察する。
花が生けてある。
母がいた、彼女がいた頃のように。
「何か食べませんか?」そのまま連れられ、
軽くて温かい食べ物が並べられた。
(これは)
黙って食べ進めた。
最後に出てきた
紅茶は、彼女が1番好きだったもの。
飲み干し、置いた。
「誰だ?」
色でわかった。
あの女の連れてきた子供だ。
だが、この“もてなし”は彼女のものだ!
内心穏やかじゃないまま睨みつければ、
「料理人に協力してもらった。」と子供は笑う。
男は、
声を荒らげ立ち上がった。
「誰に聞いた?目的はなんだ!??」
子供は驚いたが、まっすぐこちらを見る。
「これは、
結婚式の後、食べる筈だった食事のメニューだ!
彼女のっ
彼女を真似て、……」
”僕にこれ以上、何をしろって言うんだ。“
その姿は、何かに耐えるようだった。
消え入るような声で言った彼は、
ガシャんとカラトリーの音を立てる。
それが、
彼の嘆きの片鱗が見えたようだった。
嗚呼
彼は、こんなにも傷ついた。
5年。
私はいない。
彼の側にいなかった。
彼に私の声が届くだろうか?
小さく、いきなり現れ、近づいてきた怪しい女の子を。
「貴方に話したことがあった。」
声も幼い。それでも私は、彼に伝えなければ。
私は、
”やりたくないと心が言えば、戦う“
貴方に伝えたとおりに。戦うわ。
男は、
彼女を家から連れ出した。
いつも声をかけるセリフをこの時期だけのものに言い変えて、
上司に話しかけた。
この上司に、
食事をなんとか腹に収めてもらい、
横になってもらうのも自分の仕事だ。
なんでも、
愛した人を亡くしたらしく
その焦燥ぶりは未だに語り草だ。
噂では、女がいると聞くが、自分は“それはない”と否定できる。
この上司は、仕事しかしていない。
他はお母上のご機嫌伺いやら一人で出掛けるのみだ。
誰とも居ることを好まなくなっている。
顕著なのは5年前の結婚式以降か。
ハネムーンで出てこない筈が、職場に居て驚いた。
ドッキリか、奥方と新婚早々に喧嘩したかと声をかけようとすれば、
様子がおかしかった。
茫然自若
ここを現実じゃないとでも言いそうな
常のなさに、新居の方ではなく、先代様がいらっしゃるという家の方へ
送り届けた。
その後の詳しいことはわからないが
出てきた時から、無理した笑顔の振りで、仕事漬けになった。
何があったかはわからない。
尋常でないことが起こったのはわかった。
箝口令がしかれているんだ。
自分が今以上に、深入りできない。
もう5年経っているんだな。
上司は優しげな見目が受け、女性から情報を聞き出そうと自分に
声をかけてくるが、丁重にお断りしている。
その手の話を持っていけば、数日中は声をかけられなくなるほど荒れる。
以前、気弱にも見えた柔らかかった眼差しは
睨み付けるかのように、不機嫌だ。
機嫌の問題だけではなく、体調も悪いのだろう。
これだけ働き詰めで、いつ倒れるか賭けをするものまで出てくる。
「倒れないに賭けておけ」と言って金を渡してきた、
この上司が勝ち続けているが。
いつ離婚するか?の賭けには、のっていない。
この上司の働き過ぎは有名でも、
家に帰っていないのはバレていない。
甲斐甲斐しく使用人が協力しているからだ。
洗濯物や食事の持ち込み。
その格好から泊まり込みしているなんて思われないだろう。
小綺麗で、健康的。見かけの上は。
奥方と不仲な奴なんてザラにいるが。
この上司のオクガタと名乗る女を見かけたことのある。近づきたくないタイプだと感じた。
上司の働きぶりは、
罰を受けたがっているかのようだ。
今日は、久しぶりに馬車で帰る姿を見送った。
監視の報告をしに行かないとなと踵を返す。
何をやらかして、監視対象になってんだか。
深入りしまいと、上司の動向だけ端的に伝えに行った。
上のまた上に行くらしい報告を。
帰る前に本屋に、お茶を飲みに寄った。
ここに、あの女は近づかない。
彼女は本が好きだった。
夕暮れから夜になる時刻。あたりはもう暗く食事の時間だ。
家ではいつも通り、持ち帰れる夜食を用意してくれているだろう。
心の消耗を予想して、紅茶の香りで神経を宥めた。
家には夜だけ行く。短時間だけ。あそこで、おちおち寝ていられない。
王命の下に結婚したことになっているが…。
苛々と、不満が溢れる。
気持ちを切り替えるために、詩集を見る。
彼女が好きだったものの、ひとつだ。
“女神信仰”
王族も信仰するそれを…
僕は認めない。
彼女を奪った女神など
結婚式に準備を母と頑張ってくれた、
嬉しそうな顔が浮かんだ。
彼女を守れなかった。
彼女を刺したあの女は、
服を仕立てに行っていた店の近くで花を売っていた娘で。
僕もその花を買ったことがあったらしい。
顔を合わせても気づかない、知らない女だった。
「女神様のお導きです!」
そう真っ直ぐな目で見てきた女は、ただ
気持ち悪かった。
それが通ると思っていることも
オカシイと気づきもしないという態度
幸せいっぱいだと頬を染めたあの女が
…彼女なら僕の浮気を疑っただろうか?
「キャットファイトしてやるわ!」と腕まくりしそうだ
フッとひさしぶりに彼女の声と表情が思い出せて、
頬が緩む。
特にここは、気分が変えられる。
彼女と言った思い出の場所に逃げ込む。
あの女が待っているあの家は、悪夢だ。
彼女がいないのに、なぜあの女がいるんだ?
彼女を殺した、あの女が!!
怒りがおさまらなくなる前に、紅茶を飲んだ。
「彼女が美味しい!」と言った紅茶。
“ここでは静かになさってください”と咳払いされていた。
じわっと目が潤む。
彼女がいない。
1、2年は母を慰めながら、悪い夢だと自分に言い聞かせ普段通りに仕事をして過ごした。
僕たちの家にあの女が住み着いても
「わたしが花嫁です!」なんて妄言を言い出しても
「もう3年経ちましたね。3年を記念して、もう一度、身内だけのお式をあげませんか?」
その妄想が悪化していた女を、居ないものとして扱いはじめた。
仕事場では、
仲の悪い夫婦は多いと検討違いの見立てをしてくる輩もいる。
愛人を持て?奥方と向き合えだって?
あいつは、彼女を殺した女だぞ?
その上、僕の妻と名乗っている!!
箝口令で5年前の事実には蓋がされた。
逆らえば、王の命令に背いた謀反人だ。
一族全員が、死ぬ。
女神様の恩恵を受け入れろって。
できるわけ、ないだろう?
『あら、できないことなんてないわ。
でもね?やりたくないと心が言えば、戦うのよ!』
彼女の声が思い出される。
5年
彼女を喪って、たった年月。
『仕事を頑張ってくれるのはわかるけど、私も構って?』と冗談混じりに言ったり、
子供が欲しいと悪戯っぽく言う彼女に、
「結婚式の後で…」どもりながら答えれば、
「あ、当たり前じゃない。」と赤面した彼女が可愛いかった。
視界が滲む。
彼女に会いたい。
ボタボタと涙が出る。
声を絞り出す。「認められるわけないだろう?」
家に帰るのは、彼女が死んだ日が近いためだ。
王の命令でねじ込まれたこの道に、
女神の思惑通りに、このまま進むのか?
心は否と言う。
だが、どう女神と戦えばいいのだろう?
日が沈む。気分もこれ以上下がらないだろう
いやアレに会ったら。今回は避けられると踏んでいる。
そして、
暗闇が来た。
『抗え』
声?遠くから直接頭に届いたような、音のする方に近づく。
一冊の本に手を出す。“悪魔の誘い”
「まんまだな。」
席に戻りその本を読み進めた。灯りを点けた店の者にもう一杯紅茶を頼む。
パラパラと読む。
女神信仰は先王が認めて広まった信仰なのか。
そういえば、
うちは、植物を育む神様を信仰していたか。
お婆様がよく庭の花を摘んで、お供えしていた小さな頃を思い出す。
本の続きが気になったが、そろそろ出なければ。
母のところへ帰る時間がもっと遅くなる。
『悪魔の誘い』
を買って帰った。
家に入る
僕の愛する彼女が迎えに出てくる事ない
名目上の我が家
緊張する。未だに幻想を抱く自分に。
「おかえりなさい」出迎えがあった。
夢だ
子供が迎えてくれる
うちの家系に良くある色合いを持って、彼女の表情で。
驚きに辺り観察する。
花が生けてある。
母がいた、彼女がいた頃のように。
「何か食べませんか?」そのまま連れられ、
軽くて温かい食べ物が並べられた。
(これは)
黙って食べ進めた。
最後に出てきた
紅茶は、彼女が1番好きだったもの。
飲み干し、置いた。
「誰だ?」
色でわかった。
あの女の連れてきた子供だ。
だが、この“もてなし”は彼女のものだ!
内心穏やかじゃないまま睨みつければ、
「料理人に協力してもらった。」と子供は笑う。
男は、
声を荒らげ立ち上がった。
「誰に聞いた?目的はなんだ!??」
子供は驚いたが、まっすぐこちらを見る。
「これは、
結婚式の後、食べる筈だった食事のメニューだ!
彼女のっ
彼女を真似て、……」
”僕にこれ以上、何をしろって言うんだ。“
その姿は、何かに耐えるようだった。
消え入るような声で言った彼は、
ガシャんとカラトリーの音を立てる。
それが、
彼の嘆きの片鱗が見えたようだった。
嗚呼
彼は、こんなにも傷ついた。
5年。
私はいない。
彼の側にいなかった。
彼に私の声が届くだろうか?
小さく、いきなり現れ、近づいてきた怪しい女の子を。
「貴方に話したことがあった。」
声も幼い。それでも私は、彼に伝えなければ。
私は、
”やりたくないと心が言えば、戦う“
貴方に伝えたとおりに。戦うわ。
男は、
彼女を家から連れ出した。
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