私の街が異世界転移

BBやっこ

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需要と供給

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社長室へ案内した。

そのまま部屋に止め置かれてしまう。
できれば部屋から出て行きたかった。

私も野次馬ポジションで様子を見ていたかったのに。
これでは当事者の位置だ。

私の小心者には荷が重い役所だ。
例え、部屋で立っているだけの役だったとしても。

セリフがないだけマシだろうか?と非現実的な
お客様を見て思う。

その方の言うことには、今この地域は転移の魔法により
あなた方の世界とは違う国に立っている。

社長、は?と言う顔しています。
そうですよね、異世界転移なんて言葉知りませんよね?

今の読み物(ライトノベル)とは縁がなさそうな社長です。

「あの、お話に割って入って申し訳ないのですが…」
と躍り出てきたのは、秘書さん!

そう言った異世界が関わると、何かしらのしめがあるのでしょうか?
勇者や聖女、魔王を倒せと言った。

く、詳しい。意外な博識を見せてくださる。

「よくご存知ですね。そう言った読み物があるとは聞いておりますが、
我々の国にはそのような脅威はありませんし、求めておりません」


私はほっと安心しました。
この平和な国のいち会社に求めるものではないですものね。
それにしてもよくご存じで。

母親より若いけど、秘書さんを見る。
その複数の視線に答えるように
「息子の本を借りました。」とお言葉をいただきました。

ほんと、頼りになります。

「勇者や聖女の入らない世界が
なぜ異世界転移など?」力持ち要員でいた課長の呟きです。

おや、課長も
しっかり読んでらっしゃる?


「この世界はイースケンダアルと言います。
発展のため、相互に利益を得られないかと異世界との交流をしております。」

平和な理由、かな?
説明に人をよこしている時点で、まあ対応は真摯。


「転移させましたが、向こうとのつながりはあり戻ることもできます。」

「では、すぐ戻していただけますか?」
秘書さんは息子さんがまだ学生さんだったはず。

帰りたいところですよね。


「可能ですが、夕方まではお待ち願えませんでしょうか。
この機会に得られるもの、損を被ったなら補償をしたいと考えています。

この地域担当は私どもの商会ですが、
他でも同様の説明、提案をしております。」

時計を見る。14時前。ここの外も真昼のように明るい。
説明もあるし、返してくれるし、強要もされない?

「何が目的何ですか?」
とうとう私も口出してしまいました。

本当に目的がさっぱりです。

「この状況に、参加してくださる方を集めています」

そう嬉しそうに私に言わないでいただけないでしょうか?
何か変に参加を認定されたようで落ち着かない気分になりました。
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