私の街が異世界転移

BBやっこ

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感情で動く

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会場がブースに分かれているような様相で、
お祭りと見間違えそう。

後輩君が浮かれているけど、会社の上層部は研修というか
出向という形にしたいらしいから、お遊びじゃないんだよ?

会場は、女性が少ないかなっていう印象だった。日本の会社員らしい人達も見受けられる。
(近づいて情報収集するべきかしら?)
この塔の外の部分と、野球ドームから生えているように合体していて
トイレとかレストランはそのまま有るのよね。

後で情報収集しよう。トイレでの社交を有効に使えるわ。
課長は禁煙中でも。喫煙所で話してくるかな?

説明の紙束をもらいつつ、文房具は発達していないのかしら
なんてことを考えて、しばらくは各自で見学の流れになった。

とりあえずうろついても安全で、「この中を探索…」
って「ダンジョンじゃないんだから。」と笑いも起きつつ一時解散。

海外のマーケットに近い印象の不思議空間も
企業ブースと思えばそれほど尻込みしなかった。


魔道具の開発事情から使い勝手のヒアリングをしていたり
固有動物の毛皮、糸を商えないか商談している会社もある。

どうも、ここへのアクセスは可能でもののやり取りがこれからもできるらしい。
とりあえずの接触をした後、対応を求める押し掛ける方法を選んでいるとか。

転移陣という方法で強行的だけど、その方法が一番良い方法なのかもしれない。
一部の異世界を招いて、交流を始めるっていう。誘拐?不時着?

補償の話をしたり、人の集め方が不安を煽らないように配慮している形なんだろう。

会社に来たエルフの男性を思い浮かべる。
友好的に見えるよう、見目麗しい男にしたんだろう。

女性が見当たらないのは知らない異世界が危険かもしれないから?
帯剣している警備がいる。

トイレで他の社員に聞いたところ同じ説明だった。
条件の提示や案内人のような説明口調。

それから、
魔女でもいそうなテントをうろついた。

「仕事は楽しいか?」と聞いてきたのは
占い師風の男。目元も隠れ、八重歯が見える。


その台詞に、有名なビジネス書の冒頭を思い出す。

楽しさなど一瞬、一部なだけで
わくわくもドキドキもなく日々を過ごす

それで良いと思っている
これからもそうだと信じていた私。

「何の占い何ですか?」

「相性占いだな」座って手相を見られるように握られる。

手に剣だこ?

「意中の彼に感じるものは?」の問いに

胡散臭いと率直に思う。キャッチか?


「何かを求めるなら
何かを変えるか、捨てるかしなきゃ


得られないよ?」


そのふわっとした言葉が占いらしい言いようだ。

「そう。でも夢物語に酔っていられないわ」
確か今までの仕事から変わりそうな予感がした。
けど、変な夢は見ない。利益を追い求めるのがビジネスなんだから!


集合場所に戻ると、背の高い人影。

新しい事、特に仕事にも出会いが付くのは、おまけではなく
通常の手順をふんでるだけだと思う。

「先ほどはどうも」と長身のエルフその後ろには、
八重歯の見える男は、今度はフードをかぶっていない。

「お仕事ご一緒させていただくかもしれません。」
営業スマイルだろう笑顔でも惚れ惚れする。

しかし、
「お話、伺わせてください。」

私も接客用の笑顔で応えた。

ちょっと面白そうなことになる気がする。
この異世界交流を楽しめそう!という感情がワクワクの源だった。



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