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街
誘う
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「ご馳走さん」
食事を終えたものの、まだ喋り足りない気がする。
双方、思いは一致したようで別ののんびりできる店でゆっくり話す事にした。
「茶店に行こうか、変わった甘味を出すんだ。」
「いいですね。」
喫茶店では、女性が多くて居づらいだろうし。クリスの知っているあの中庭のある店は、静かなのが好ましい。
ここは、案内された場所に行ってみるのが良いだろう。
食事処を出て、さっさと歩く。男2人の歩幅と速度は、あっさり人々を抜いていく。
急いでいる訳ではないが、喋りながらでもない歩みはこんなものだ。
フウが先駆けて行く。それに少し反応した男は妖精に馴れているのだろうか?視えている訳じゃないらしい。
その点は、天啓的な才がなければ無理だが、全く分からない訳じゃない。
(リンなら触れられるかもな)
相性もある。この男は体格に恵まれていているのを差し引いても、鍛錬と魔力操作を疎かにしてはこうはならない。
慣れた道筋なのだろう、広場が見えてきた。そこに立つ白い像を横目に、さらに奥へ進む。
水も綺麗だし、清浄魔法の入った魔術陣が使われているんだろう。
あまり妖精が近づかないのは、そういった理由からか。
フウがひと通り見て帰って来た。リンは、先に行く男のが気になるらしい。
子供が3人通りすぎ、まだ奥へ進むかと思ったが男が道を折れ曲がった。
その路地の先に布が掛かっている。その布を手で払い、男が訊ねている。
「おう、やってるか?」
お目当ての店に着いたようだが、これはなかなか入れそうにない店だ。
妖精が路地で彷徨いている。きっと気に入らない者が入ろうとすると忘れるように帰って行くのだろう。
「これはまた、変わった所だ。」
「ここの饅頭が美味いのよ」
静かで、薄暗い建物の中。
木で掘られた細工ものが壁を飾り、床は植物を織って作られたものらしい。
それをみながら、砂利玉が敷き詰められた道を進む。
外から、部屋に入るらしい。
「靴は脱いでくれな」
そういう作法らしいので従う。ちょっと変な気配が濃いが、危険は感じない。
何かの縄張りという扱いの空間なのか?
招かれているので、問題はないのだろう。妖精とも違う、存在を感じつつ席に座った。
「庭が美しいな。」
城や教会とは趣が違っていがた景色が広がる。ほとんど緑だが、石でできた灯籠が点在していた。
暗くなってからも店は開いているのかもな。
男に注文を任せ、庭の探索に向かって行ったフウとリンを眺めていた。
とても解放感を覚える場所らしい。
食事を終えたものの、まだ喋り足りない気がする。
双方、思いは一致したようで別ののんびりできる店でゆっくり話す事にした。
「茶店に行こうか、変わった甘味を出すんだ。」
「いいですね。」
喫茶店では、女性が多くて居づらいだろうし。クリスの知っているあの中庭のある店は、静かなのが好ましい。
ここは、案内された場所に行ってみるのが良いだろう。
食事処を出て、さっさと歩く。男2人の歩幅と速度は、あっさり人々を抜いていく。
急いでいる訳ではないが、喋りながらでもない歩みはこんなものだ。
フウが先駆けて行く。それに少し反応した男は妖精に馴れているのだろうか?視えている訳じゃないらしい。
その点は、天啓的な才がなければ無理だが、全く分からない訳じゃない。
(リンなら触れられるかもな)
相性もある。この男は体格に恵まれていているのを差し引いても、鍛錬と魔力操作を疎かにしてはこうはならない。
慣れた道筋なのだろう、広場が見えてきた。そこに立つ白い像を横目に、さらに奥へ進む。
水も綺麗だし、清浄魔法の入った魔術陣が使われているんだろう。
あまり妖精が近づかないのは、そういった理由からか。
フウがひと通り見て帰って来た。リンは、先に行く男のが気になるらしい。
子供が3人通りすぎ、まだ奥へ進むかと思ったが男が道を折れ曲がった。
その路地の先に布が掛かっている。その布を手で払い、男が訊ねている。
「おう、やってるか?」
お目当ての店に着いたようだが、これはなかなか入れそうにない店だ。
妖精が路地で彷徨いている。きっと気に入らない者が入ろうとすると忘れるように帰って行くのだろう。
「これはまた、変わった所だ。」
「ここの饅頭が美味いのよ」
静かで、薄暗い建物の中。
木で掘られた細工ものが壁を飾り、床は植物を織って作られたものらしい。
それをみながら、砂利玉が敷き詰められた道を進む。
外から、部屋に入るらしい。
「靴は脱いでくれな」
そういう作法らしいので従う。ちょっと変な気配が濃いが、危険は感じない。
何かの縄張りという扱いの空間なのか?
招かれているので、問題はないのだろう。妖精とも違う、存在を感じつつ席に座った。
「庭が美しいな。」
城や教会とは趣が違っていがた景色が広がる。ほとんど緑だが、石でできた灯籠が点在していた。
暗くなってからも店は開いているのかもな。
男に注文を任せ、庭の探索に向かって行ったフウとリンを眺めていた。
とても解放感を覚える場所らしい。
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