【完結】消えたら? かつて、あなた方がとった方法です。【1000文字ほど】

BBやっこ

文字の大きさ
1 / 1

かつて子供だった

しおりを挟む
「消えたら?かつて、あなた方がとった方法です。」

そう言った旅人の瞳は、驚くほど凪いでいた。

ーーーーーその日は、村で祭りの用意をしていた。

「助けてください!」

村人が怪我をして村長の家まで、逃げ込んできた。魔物が出たらしい。
「そんな、あの辺は狩りにも採取にも通るところなのに。」

「討伐隊を集めるか?」
「だが、狡猾は魔物だ。集団のところに出てこないんじゃないか?」


「誰か、トドメを刺せる者がいなければ」

それは、危険で命がけ。しかも、かなりの力を必要とする。狩人もその危険に尻込みした。

「力を奮う者が、いないなら…」

皆、怪我をした村人を見た。魔物は、独りでいるところを襲ってくる。
臭いを覚え、村に侵入してくるかもしれない。

それなら、1人を犠牲にすれば…。

「あの、旅人に頼めば良いじゃないか!」

苦し紛れに言った提案は、村人を守るために必要な事だ総意が得られた。


「なんとか、頼めないでしょうか?」

魔物のいる森を抜け、祭りがまだ始まるまでには幾分かある時に来た旅人。
その宿泊している先に訪れ、村長が交渉していた。

”魔物を退治して欲しい“

貴方も、旅を続けるのであれば危険だと説得する。
泣き落とし、持ち上げて魔物の討伐を任せようと思った。

若い男だ。心情に訴えて自身にも無関係ではない。まだ旅の途中だ。

“消えても、問題ない“

その結論を奥底に隠しながら、村長は困っていると顔に出して解答を待った。



「気持ち悪い」

そう言われ驚く村長に、旅人は言った。

「助けてください。私もそう言った。」

かつて、この村にいた旅人は彼らの思惑をわかっていた。

「貴方達は、助けを求めた私に消えろと言った。村に入る事を拒否され魔物に怯えながら
私はなんとか生き延びた。この村は変わっていないようだな。」

そして旅人は、この村を出て行く。

「私はかつて村長に言われた言葉を返そう。消えたらどうだ?」

あなた方がとった結論だ。
受け入れなかったから。
私もしない。


そして本当に、旅人は村を出ていった。
「気持ちの悪い旅人だ」

村長の思惑では快く依頼を受けると思ったが。それでもまあ、魔物に狙われる餌が出て行った。

「村に魔物は来ないだろう。」

餌が、わざわざ村の外に出ていったのだから。村長は、村人に警戒を促し、旅人を密かに追わせた。
旅人は、村に近い場所で早々に休んでいた。食事がまだだったと火を起こしている。


「せいせいした。」

そんな気分でいるが、危機が訪れる。

ー魔物だ。

グルグルと唸る鋭い刃を持つ四つ足の魔物。
その目は、何かに狂っているようで、旅人は隙なく対峙した。


そして、遠巻きにで村人達が監視する中、向き合う事数刻。

魔物は去った。
それを確認して、旅人は川を渡り行ってしまった。


その様子を報告した村人達を村長が労う。


そして、その夜。


村は壊滅した。
魔物が入り込み、多くの死傷者が出た。


旅人の纏っていた特殊な臭いを辿って、村にまで魔物が入り込んだ。
村は廃れていくだろう。


かつて、村人であり少女だった村人は呪詛を吐いた。かつて助けてくれなかった村へ。

「殺された気分を味わったかしら。もう、この世界から消えて?」

そして、そんな村も惨事もなかったかのように、旅人は立ち去った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

因果応報以上の罰を

下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。 どこを取っても救いのない話。 ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路

藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。 この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。 「聖女がいなくても平気だ」 そう言い切った王子と人々は、 彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、 やがて思い知ることになる。 ――これは、聖女を追い出した国の末路を、 静かに見届けた者の記録。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...