レヴィアタン

KeiKou色

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第二話

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 俺は、正義の味方に憧れた。
 あの日、死ぬだけだった俺を助けてくれたあいつのような正義の味方に。
 俺の見てきた誰よりも強く、誰よりも優しい。
 田中  優成。俺はあいつのような、強い正義の味方になりたい。


 今でも覚えてる。
 あの日は、確か実戦訓練をしていた時だ。

 いつも通り訓練に励んでいた時、アングライルの連中がいきなり攻撃してきた。
 目的は、俺達プロデレクトの戦力を削ぐのが目的だったか。

 「クソ…何でここにあいつらが攻めて来んだよ…」
 ここはプロデレクトが所有する訓練施設だ。
 ここでは実際の戦闘員も、俺達のような戦闘員養成所の生徒も使っている重要な施設で、警備も厳重。
 本来ならアングライルの連中は入ることすらできない場所のはずだ。
 「クソ…どうすれば…」
 ここにいたって、いずれ奴らは来るだろうし…かといって逃げる隙なんてありはしない。
 「まだ助けは来ないのか…」
 なんて追い詰められて苛立ちを覚えながら呟くと、近くを歩く複数の足音と話声が聞こえる。
 「おい、そっちにまだ隠れている奴はいたか」
 「いや、俺の方は見つけられなかったな」
 「なら、こっちだな」
 という声だ。
 (冗談じゃない!こっちに来るんじゃねぇよ!)
 どうする?奴らが通る瞬間に飛び出して無力化するか?もうここに来るんならそれしか無い…それに、俺の異能力を使えば何とかなるかもしれない…でも失敗すれば……
 (いや、もう悩んでる時間も無いな…)
 そんな風に考えた時だ。あまりに緊張して回りが見えなくなってしまっていて、すぐ後ろの棚に腕が当たってしまって物を落としてしまう。
 (しまった…!!)
 そう思った時には遅く、奴らは物音に気がついてこっちに来て隠れていた部屋の扉が開かれる。
 「クソ…こうなったら…」
 覚悟を決めて飛び出そうとしたその時だ。
 「な、何だ貴様!!ぐおっ!」
 という声がしたと思ったら、次々と奴らの倒れる音がする。
 静かになった所で恐る恐る出ていくと、そいつはそこに立っていた。
 「大丈夫だったか?危なかったな」
 「あ、あぁ」
 田中優成…対人戦闘において無敵と称される能力を持ち、この戦闘員養成所の中でトップの実力を誇る。
 こうして、俺は生き延びた。
 優成に助けられなかったら、死んでいた可能性の方が高い。
 それから、俺は優成に憧れて今まで以上に訓練に励んだ。


 「あいつら、遅いなぁ。直史なおふみ、先に行っとこうか?」
 「緊急の任務だろ?待っといてやろうぜ」
 俺は三鷹  直史みたか  なおふみ
 プロデレクトに所属し、アングライルの奴らと戦っている。
 そして、こいつは七瀬  信士ななせ  しんじ、戦闘員養成所の時からの同期だ。
 「まぁな、しかし、大変そうだよな。養成所の主席と次席。プロデレクトの中でも指折りの実力者だもんな」
 「あぁ、俺もあんな風になりたいよ」
 そして、あいつの隣で、優成の隣で戦いたい。
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