黒獅子ですが何か？だから問題でも？

黒い獅子は国家魔導師に拾われたようです

フィー宅にて

目が覚めた時にはいつもと違う天井が見えた。身体も自由に動くし、身体も元の姿に戻っている…そうか、僕は引き取られたんだ。すっかり忘れてた。
あの後僕はフィーナシア・ランドグールという女性に引き取られた。彼女は国家魔導師の中でも最高ランクの実力者だ。
今でも正直不安だ、何故かと言うと…。
｢お！黒獅子ちゃん～おっはぁ～です～♪｣
フィーナシア・ランドグール─通称フィーは普段の仕事の時とプライベートの時とでテンション差が凄いのである。フィーは僕にはとても優しく接してくれている…はず。僕が孤児院で受けていた仕打ちで受けた心の傷を察したのであろう。半獣という事だけで生きる事を罪にされてきたのだ。一般的に可哀想にと思うのが妥当であろう。だからこそフィーは僕の心を少しでも癒そうと優しく接しているのであろう。それに関しては嬉しいんだがいい加減黒獅子と呼ぶのはやめて欲しい。いくら僕に名前が無いからと言っても流石に黒獅子は恥ずかしい。
｢黒獅子さん、今日は私1日お休みなのです～。何がしたいですか～？｣
フィーは僕に今日の予定を聞いてきた。そして絶妙なタイミングで僕のお腹が空腹を告げた。僕は一気に顔が赤くなった。恥ずかしい。
｢ん？お腹すいたのです～？まあ、まずは朝ご飯を食べないと始まりませんものね。朝ご飯の用意をするのです～！｣
フィーはえいえいおーと言わんばかりに右手を上に掲げてから台所へ向かった。わたしは近くにあったソファーに座り、少しダラっとしてみた。孤児院にはこんなに大きな椅子は無かったので、興味が湧いたのである。座る瞬間にソファーのクッションが僕のお尻を優しく包み込むような感覚に夢中になり、僕は身体をソファーに預けた。ふう…とため息をついて静かに黄昏ることが出来るのは何時ぶりだろうか─
｢黒獅子さーん！朝ごはんできたのです～！…ん？どうしたのです？そんなに驚いて｣
いや、流石に油断し過ぎたここに居るのは僕一人ではないという事をすっかり忘れていた。
朝食はステーキだった。朝からステーキとか重すぎると思った人も多いだろう。僕もその意見の一人だ。だが、フィーはそれをペロリと目にも留まらぬ速さで平らげたのである。まるで化け物じゃないか。(僕も人の事言えた身では無い)
そしてこの後、僕にとって初めての外出となるのだ。