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024 MP管理
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それからさらに数十分後。
岩塊屍人(討伐推奨レベル:27)と遭遇。
鎖縛りの骸骨と同じような手段で討伐し、シュナのレベルが24に上がった。
しかしここで一つ、ある問題が発生する。
「ごめん、ゼロス。今のでMPがほとんど尽きちゃって……」
「大丈夫、こんな時のためにポーションを買っておいたんだ。ほれ」
シュナにポーションを渡しながら、俺は改めて現状を整理する。
スキルのMP消費量はレベルや各ステータスによって微妙に増減するが、現状のシュナだと、聖属性を付与したマジック・ミサイルには75MPを消費する。
現在、シュナの最大MPはレベルアップによる上昇分を含めて最大で168。
そして今回購入した通常のポーションだと、一度の使用で回復するMPは100となっている。合わせて268MPだ。
ここのボスの特徴を考えた場合、保険も含め、最大MP+ポーション使用で4回は撃てるようにしておきたいところ。
つまり合計300――素のMPが最低でも200以上になるまではレベリングに努めたかった。
そのための目安が30レベルという訳だ。
そう考える俺の前で、シュナはポーションを飲み終える。
「ありがとう、ゼロス。これでまだ戦えそうだよ」
「ああ。この調子でガンガンいこう」
現状確認と小休止を終えた俺たちは、探索を再開するのだった。
その後、数時間ほど俺たちは探索を続けた。
適度に休憩を挟み、MPが尽きないよう定期的にポーションを使用する。
結果的に俺とシュナのレベルはそれぞれ、27と26にまで上昇していた。
かなり順調なペースだ。
そうホクホク顔で頷く俺に対し、シュナはレベルが上がるごとに驚いていた。
「なんだか、まだ夢の中にいるみたいだよ。20までレベルを上げるまでに、数ヵ月はかかったのに……」
……夢、か。
それを言うなら、まさに俺の状況もそう言えるかもしれない。
前世で散々プレイしていたクレオンの世界に転生を果たし、順調に成長を重ねているこの状況には、どこかまだ現実感がなかった。
(まあ、そんなこと考えてても仕方ないか)
そう切り替えた後、俺は一定間隔で発動している索敵を使用することにした。
「索敵」
スキルレベルが1なため現状での索敵範囲はそう広くないが、それでも半径数十メートルまではカバーできる。
このスキルのおかげで、ここまで一体しかいない魔物を見つけて討伐することができたのだ。
しかし、今回は少し事情が違った。
索敵に引っかかった数が多かったのだ。
さらに厄介な点として――
「……ふむ。これは群れに挟まれてるな」
「えっ? それって大丈夫なの?」
焦った様子のシュナに対し、俺は安心するように告げる。
「心配しなくていい。前方にいるのは五体と少し多めだが、後方にいるのは二体だけ。今のシュナの残存MPならセイクリッド・ミサイルも二発撃てるし、問題なく突破できるはずだ」
「そ、そっか。なら、大人数を相手に戦う必要はないんだね……」
「……いや」
「え?」
俺はクレオン時代のダンジョンマップと、とある特殊な攻略法を思い出す。
確かに安全だけを考えるなら後方に引き返し二体を倒すのが手っ取り早いが、この先には小広間が存在しているはず。
そこの地形を利用すれば、特定の魔物を効率的に倒すことができるのだ。
そして今の索敵の結果からして、向かってきているのはその特定の魔物に該当している。
「せっかくだ。レベルも上がってきたことだし、少し先の広間で待ち構えて戦わないか?」
「でも七体もいるんだよね? 私、逃げ切れる自信ないんだけど……」
「問題ない、リスクを負わず一網打尽にできる方法があるんだ。もっとも、シュナさえ良ければにはなるが……」
どちらを選ぶにせよ時間はないが、だからと言って回答を急かすのは止めたい。
そう思い無言で答えを待つ俺の前で、シュナは自分の杖を見つめながら小さく口を開く。
「“……”様なら、こんなところで退いたりしないよね」
「?」
小声だったためよく聞き取れなかった。
が、シュナの中では何かしらの決意が行われたらしい。
彼女はやる気に満ちた瞳でまっすぐ俺を見つめると、力強く言った。
「わかった。行こう、ゼロス」
「よし、決まりだな」
こうして俺たちは、広間で魔物の群れを迎え撃つこととなった。
岩塊屍人(討伐推奨レベル:27)と遭遇。
鎖縛りの骸骨と同じような手段で討伐し、シュナのレベルが24に上がった。
しかしここで一つ、ある問題が発生する。
「ごめん、ゼロス。今のでMPがほとんど尽きちゃって……」
「大丈夫、こんな時のためにポーションを買っておいたんだ。ほれ」
シュナにポーションを渡しながら、俺は改めて現状を整理する。
スキルのMP消費量はレベルや各ステータスによって微妙に増減するが、現状のシュナだと、聖属性を付与したマジック・ミサイルには75MPを消費する。
現在、シュナの最大MPはレベルアップによる上昇分を含めて最大で168。
そして今回購入した通常のポーションだと、一度の使用で回復するMPは100となっている。合わせて268MPだ。
ここのボスの特徴を考えた場合、保険も含め、最大MP+ポーション使用で4回は撃てるようにしておきたいところ。
つまり合計300――素のMPが最低でも200以上になるまではレベリングに努めたかった。
そのための目安が30レベルという訳だ。
そう考える俺の前で、シュナはポーションを飲み終える。
「ありがとう、ゼロス。これでまだ戦えそうだよ」
「ああ。この調子でガンガンいこう」
現状確認と小休止を終えた俺たちは、探索を再開するのだった。
その後、数時間ほど俺たちは探索を続けた。
適度に休憩を挟み、MPが尽きないよう定期的にポーションを使用する。
結果的に俺とシュナのレベルはそれぞれ、27と26にまで上昇していた。
かなり順調なペースだ。
そうホクホク顔で頷く俺に対し、シュナはレベルが上がるごとに驚いていた。
「なんだか、まだ夢の中にいるみたいだよ。20までレベルを上げるまでに、数ヵ月はかかったのに……」
……夢、か。
それを言うなら、まさに俺の状況もそう言えるかもしれない。
前世で散々プレイしていたクレオンの世界に転生を果たし、順調に成長を重ねているこの状況には、どこかまだ現実感がなかった。
(まあ、そんなこと考えてても仕方ないか)
そう切り替えた後、俺は一定間隔で発動している索敵を使用することにした。
「索敵」
スキルレベルが1なため現状での索敵範囲はそう広くないが、それでも半径数十メートルまではカバーできる。
このスキルのおかげで、ここまで一体しかいない魔物を見つけて討伐することができたのだ。
しかし、今回は少し事情が違った。
索敵に引っかかった数が多かったのだ。
さらに厄介な点として――
「……ふむ。これは群れに挟まれてるな」
「えっ? それって大丈夫なの?」
焦った様子のシュナに対し、俺は安心するように告げる。
「心配しなくていい。前方にいるのは五体と少し多めだが、後方にいるのは二体だけ。今のシュナの残存MPならセイクリッド・ミサイルも二発撃てるし、問題なく突破できるはずだ」
「そ、そっか。なら、大人数を相手に戦う必要はないんだね……」
「……いや」
「え?」
俺はクレオン時代のダンジョンマップと、とある特殊な攻略法を思い出す。
確かに安全だけを考えるなら後方に引き返し二体を倒すのが手っ取り早いが、この先には小広間が存在しているはず。
そこの地形を利用すれば、特定の魔物を効率的に倒すことができるのだ。
そして今の索敵の結果からして、向かってきているのはその特定の魔物に該当している。
「せっかくだ。レベルも上がってきたことだし、少し先の広間で待ち構えて戦わないか?」
「でも七体もいるんだよね? 私、逃げ切れる自信ないんだけど……」
「問題ない、リスクを負わず一網打尽にできる方法があるんだ。もっとも、シュナさえ良ければにはなるが……」
どちらを選ぶにせよ時間はないが、だからと言って回答を急かすのは止めたい。
そう思い無言で答えを待つ俺の前で、シュナは自分の杖を見つめながら小さく口を開く。
「“……”様なら、こんなところで退いたりしないよね」
「?」
小声だったためよく聞き取れなかった。
が、シュナの中では何かしらの決意が行われたらしい。
彼女はやる気に満ちた瞳でまっすぐ俺を見つめると、力強く言った。
「わかった。行こう、ゼロス」
「よし、決まりだな」
こうして俺たちは、広間で魔物の群れを迎え撃つこととなった。
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