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027 魔導の女帝
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「ある英雄……?」
俺の問いに、シュナは小さく頷く。
「うん、そう。ゼロスは【魔導の女帝】――スカーレット様って知ってる?」
「…………」
想定していなかった名前が出て、俺は思わず動きを止める。
それを見てシュナは何か勘違いしたのか、どこか寂しそうに笑った。
「まあ、ゼロニティ様ほど有名じゃないからね。スカーレット様は1000年前の邪神討伐時、ゼロニティ様の右腕として活躍したって言われている魔導士なんだ」
「……そうか」
ぎこちなく相槌を返すも、俺の内心はそれどころではなかった。
スカーレット――通称【魔導の女帝】。
その存在を、俺は当然知っていた。
それもそのはず。なにせ俺が前世でゼロニティだった頃、彼女は最も頻繁にパーティーを組んだ仲間だったのだから。
(そうだった。ゼロニティだけじゃなく、当時の仲間たちもこの時代まで語り継がれてるんだよな……)
ここが『クレオン』世界の1000年後であることを改めて実感する。
それにしても、シュナの口から彼女の名前が出てきたのには少なからず驚いてしまった。
俺は平静さを取り繕いながら、シュナに尋ねる。
「そ、それで、シュナはどうしてスカーレット……様に憧れているんだ?」
アイツに様付けすることへは抵抗感があったものの、一応この時代では偉人であるため、それなりの対応を心がける。
するとシュナは嬉しそうに口を開いた。
「スカーレット様には色んな伝説が残されてるんだよ! たった一人で数百の兵士を圧倒したとか、強力な竜相手に単独で立ち向かい勝利を収めたとか。ただでさえ魔導士はソロで戦うのが難しいって言われているのに、本当にすごいなって。きっと気高い方で、誰かを守るために勇気を出して立ち向かったんだろうな……」
「…………」
キラキラと瞳を輝かせるシュナ。
対して俺は、『クレオン』におけるスカーレットとの会話を思い出していた。
『あー、ストレス解消したい! そうだ、あのPKギルドにちょっかい出してアタシの陣地に誘き寄せた後、最上級魔法で一掃しようっと! うん! これなら全員が幸せになれるから問題ないわね!』
『聞いてよゼロニティ! せっかく新しい魔法を開発したのに、そこらの魔物相手だとすぐに死んじゃって実験できないの! えっ? 「あの町のイベントクエストで登場するドラゴンはかなり頑丈だから試し撃ちにはちょうどいい。俺もよく剣技の実験台にしてる」って? ……最高じゃない! ちょっと行ってくるわ!』
『何で邪神討伐の最大貢献者がアタシじゃなくてアンタなのよ! 納得いかない納得いかない納得いかないー!』
……恐らくシュナの理想と現実には大きな隔たりがある。
その事実を知っているため、俺はかなりの気まずさを覚えていた。
まあ俺自身、アイツと似たようなことをしてたから強く言えないんだけどな。
懐かしい日々を思い出しつつ、現実逃避のように「ははは」と笑い声を零す。
そんな俺の前で、ふとシュナが「そうだ」と切り出した。
「ねえ、ゼロス。伝承によれば、スカーレット様が活躍されたそばにはいつもゼロニティ様がいたって話なんだけど……も、もしかして二人は恋仲だったりしたのかな?」
「ない」
「えっ?」
「それは絶対にないから安心してくれ」
スカーレットとの仲は決して悪くなかったが、そういう関係になるなど想像したくもない。
アイツはどちらかというと悪友だ。『クレオン』を思うがまま遊び尽くす同志という意味で。
「ど、どうしてかな。ゼロスがそんなこと知ってるはずないのに、すごく説得力を感じるよ……」
シュナは俺の発言を受け戸惑っている様子だった。
しまった、少し圧が強かったか。
俺は二秒ほど反省した。
その後、少しだけ場が落ち着くまで時間を要した後、シュナは続ける。
「どこまで話したっけ? そうだ、私がスカーレット様に憧れた理由だったね。小さい頃からスカーレット様の伝承はよく読んでいたから、同じ【魔導の紋章】が与えられたときはすごく嬉しかったんだ。まあその後はゼロスも知っての通り、なかなかパーティーに入れなくて……それだけじゃなく、他にも色々と方向転換するような事態があったりもしたんだけど――」
そこでシュナはこちらに顔を向け、真っ直ぐと見つめてくる。
「ゼロスのおかげで、今日はすごく楽しかったなって。ありがと、ゼロス」
「……どういたしまして。まあ、まだ一番大変なボス戦が残ってるんだけどな」
「そ、そうだったね。いきなり何言ってるんだろ、私」
恥ずかしそうに頬をかくシュナ。
ちょうどそのタイミングで俺たちのMPが全回復する。
俺は立ち上がると、シュナに向かって手を差し伸べた。
「それじゃ、そろそろ行くか」
「うん」
俺たちは最後の準備を整え、ボス部屋に向かった。
数分後、俺たちの前には巨大な入り口が存在していた。
扉はなく、開けっ放しになっている。
隠しダンジョンの場合、中に入場すること自体が困難なためか、ボスとの戦闘が始まってからも逃げ出せる仕様になっていることが多い。
ここ【冥府の霊廟】も同様だった。
俺は隣に視線を向け、緊張しながら杖を握りしめるシュナに言う。
「ボス戦だ、準備はいいか?」
「うん。事前の作戦通り頑張るね」
最後の確認を終え、俺たちはボス部屋に入場した。
この先に待ち受けるのは闇纏いの魔導霊。
討伐推奨レベル35で厄介なスキルを持つ強敵だが、今の俺たちなら問題なく倒せるはずだ。
俺の問いに、シュナは小さく頷く。
「うん、そう。ゼロスは【魔導の女帝】――スカーレット様って知ってる?」
「…………」
想定していなかった名前が出て、俺は思わず動きを止める。
それを見てシュナは何か勘違いしたのか、どこか寂しそうに笑った。
「まあ、ゼロニティ様ほど有名じゃないからね。スカーレット様は1000年前の邪神討伐時、ゼロニティ様の右腕として活躍したって言われている魔導士なんだ」
「……そうか」
ぎこちなく相槌を返すも、俺の内心はそれどころではなかった。
スカーレット――通称【魔導の女帝】。
その存在を、俺は当然知っていた。
それもそのはず。なにせ俺が前世でゼロニティだった頃、彼女は最も頻繁にパーティーを組んだ仲間だったのだから。
(そうだった。ゼロニティだけじゃなく、当時の仲間たちもこの時代まで語り継がれてるんだよな……)
ここが『クレオン』世界の1000年後であることを改めて実感する。
それにしても、シュナの口から彼女の名前が出てきたのには少なからず驚いてしまった。
俺は平静さを取り繕いながら、シュナに尋ねる。
「そ、それで、シュナはどうしてスカーレット……様に憧れているんだ?」
アイツに様付けすることへは抵抗感があったものの、一応この時代では偉人であるため、それなりの対応を心がける。
するとシュナは嬉しそうに口を開いた。
「スカーレット様には色んな伝説が残されてるんだよ! たった一人で数百の兵士を圧倒したとか、強力な竜相手に単独で立ち向かい勝利を収めたとか。ただでさえ魔導士はソロで戦うのが難しいって言われているのに、本当にすごいなって。きっと気高い方で、誰かを守るために勇気を出して立ち向かったんだろうな……」
「…………」
キラキラと瞳を輝かせるシュナ。
対して俺は、『クレオン』におけるスカーレットとの会話を思い出していた。
『あー、ストレス解消したい! そうだ、あのPKギルドにちょっかい出してアタシの陣地に誘き寄せた後、最上級魔法で一掃しようっと! うん! これなら全員が幸せになれるから問題ないわね!』
『聞いてよゼロニティ! せっかく新しい魔法を開発したのに、そこらの魔物相手だとすぐに死んじゃって実験できないの! えっ? 「あの町のイベントクエストで登場するドラゴンはかなり頑丈だから試し撃ちにはちょうどいい。俺もよく剣技の実験台にしてる」って? ……最高じゃない! ちょっと行ってくるわ!』
『何で邪神討伐の最大貢献者がアタシじゃなくてアンタなのよ! 納得いかない納得いかない納得いかないー!』
……恐らくシュナの理想と現実には大きな隔たりがある。
その事実を知っているため、俺はかなりの気まずさを覚えていた。
まあ俺自身、アイツと似たようなことをしてたから強く言えないんだけどな。
懐かしい日々を思い出しつつ、現実逃避のように「ははは」と笑い声を零す。
そんな俺の前で、ふとシュナが「そうだ」と切り出した。
「ねえ、ゼロス。伝承によれば、スカーレット様が活躍されたそばにはいつもゼロニティ様がいたって話なんだけど……も、もしかして二人は恋仲だったりしたのかな?」
「ない」
「えっ?」
「それは絶対にないから安心してくれ」
スカーレットとの仲は決して悪くなかったが、そういう関係になるなど想像したくもない。
アイツはどちらかというと悪友だ。『クレオン』を思うがまま遊び尽くす同志という意味で。
「ど、どうしてかな。ゼロスがそんなこと知ってるはずないのに、すごく説得力を感じるよ……」
シュナは俺の発言を受け戸惑っている様子だった。
しまった、少し圧が強かったか。
俺は二秒ほど反省した。
その後、少しだけ場が落ち着くまで時間を要した後、シュナは続ける。
「どこまで話したっけ? そうだ、私がスカーレット様に憧れた理由だったね。小さい頃からスカーレット様の伝承はよく読んでいたから、同じ【魔導の紋章】が与えられたときはすごく嬉しかったんだ。まあその後はゼロスも知っての通り、なかなかパーティーに入れなくて……それだけじゃなく、他にも色々と方向転換するような事態があったりもしたんだけど――」
そこでシュナはこちらに顔を向け、真っ直ぐと見つめてくる。
「ゼロスのおかげで、今日はすごく楽しかったなって。ありがと、ゼロス」
「……どういたしまして。まあ、まだ一番大変なボス戦が残ってるんだけどな」
「そ、そうだったね。いきなり何言ってるんだろ、私」
恥ずかしそうに頬をかくシュナ。
ちょうどそのタイミングで俺たちのMPが全回復する。
俺は立ち上がると、シュナに向かって手を差し伸べた。
「それじゃ、そろそろ行くか」
「うん」
俺たちは最後の準備を整え、ボス部屋に向かった。
数分後、俺たちの前には巨大な入り口が存在していた。
扉はなく、開けっ放しになっている。
隠しダンジョンの場合、中に入場すること自体が困難なためか、ボスとの戦闘が始まってからも逃げ出せる仕様になっていることが多い。
ここ【冥府の霊廟】も同様だった。
俺は隣に視線を向け、緊張しながら杖を握りしめるシュナに言う。
「ボス戦だ、準備はいいか?」
「うん。事前の作戦通り頑張るね」
最後の確認を終え、俺たちはボス部屋に入場した。
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