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第一部 最弱魔術師から最強剣士への成り上がり
01 異世界を救った勇者の帰還
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遥かな旅路の末、ようやくたどり着いた魔王城。
そこで最後の戦いが終わりを告げようとしていた。
魔王の苛烈な攻撃をかいくぐり振るった剣が、魔王の胸元に突き刺さる。
「……ふっ、我もここまでか」
自らの死期を悟った魔王は悔しさの中に僅かな満足感を秘めながらそう呟く。
そして、静かに目を閉じていった。
「倒した……のか?」
「やったのね、ルーク!」
「人類の勝利だ!」
後方で、これまで支援に徹してくれていた仲間たちが嬉しそうに叫ぶ。
俺――ルークが彼らと共に喜びを分かち合うことはできなかった。
「体が、薄れていく……?」
異世界から勇者として召喚された俺は、魔王を倒すためだけに戦ってきた。
魔王を倒し自らの役目を全うした今、もうこの世界に残る理由はない。
契約に従い、帰還魔法が発動する。
「そんな、戻っちまうのかよルーク!」
「仕方ないよ、ルークはルークの世界に帰るんだよ」
「お前のこと、絶対に忘れたりなんかしないからな!」
俺が異世界に呼び出された当初、全く強くもなかった俺を支え、今日まで共に戦ってくれた者たちの言葉に心が満たされる。
オルド、リース、ガイアスの三人に振り返り、手に持つ剣を掲げる。
「俺も、お前たちと過ごしたこの日々を絶対に忘れたりなんかしない。皆、ありがとう!」
それが最後の言葉だった。
俺の体は完全に消え、意識も暗闇の中に落ちる。
ああ、幸せな日々だった――
「はっ、あいかわらずクズルークは雑魚だな! この程度で気絶するだなんて!」
懐かしい声が、俺の意識を呼び戻す。
目を覚まし辺りを見渡すと、制服を着た学生が多くいるのが見えた。
その中でも俺と声の正体――ヌーイは中心で向かい合っていた。
正確には俺だけ地面に寝ころんでいるが。
「起きたみたいだな、ほら、まだ攻撃は続くぞ! 無様に泣き叫べよ!」
その言葉を聞いてようやく思い出した。
ここは俺が生まれ育った世界、ルアース。
魔術師としての才能がそのまま地位の高さに繋がる世界だ。
魔術師の才能がなかった俺はずっと弱者だとして周りから蔑まれる対象だった。
貴族の中では才能に恵まれなかった者たちが集う、ここ王立第二学園では特に。
異世界に召喚され、剣士としての才能を教えてもらうまで、俺自身もずっと自分が周りに劣る存在だと思っていた。
けれど今はもう違う。
どういうわけか召喚当時に帰還したようだが、俺はもう俺の才能を知っている。
今の俺がヌーイ程度に負けるわけがない。
この模擬戦の場を借りてそれを証明しよう。
「よっと」
立ち上がり、自分の体の状態を確かめる。
怪我だらけだ。仕方ない。
体内の魔力の循環を活性化させ、自然治癒力を高め怪我を治す。
よし、もう問題なく動けるな。
「ははっ、起き上がったのか、いいぞ、褒めてやる。そこまで俺に痛めつけられたいみたいだな。クズルーク」
「黙れ、うるさいぞヌーイ」
「は? いまなんつった? お前が俺に黙れって言ったのか?」
「そうだ、お前の攻撃なんて痛くもかゆくもない。怒声の方がうるさくて厄介なくらいだ。少し静かにしてくれ」
「ッ! ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」
これまでただ攻撃の的になるだけだった俺の反抗的な言葉に苛立ったのか、顔を真っ赤にして声を張り上げている。
俺の変わりように驚いたのはヌーイだけではなかったらしく、周囲の者達も騒いでいる。
「おい、あのクズルークが逆らったぞ」
「この学園で一番才能がないくせにな。初級魔術すら使えないくせに」
「それどころか魔力を外に放出することすらできないんだろ? 話にならねぇよ」
外野がうるさいが、すぐに静かになるだろう。
「これでも喰らえ、クズルーク!」
ヌーイが放ってきたのは巨大な炎の塊だ。
中級魔術。この第二学園では優秀なのは間違いない。
けど、俺には通じない。
右手に魔力を集め、小さく振るう。
それだけで炎の塊は弾かれ、空高く飛んでいく。
「軽いな」
「なっ! 嘘だろ!?」
「次はこっちの番だ」
この程度の敵に剣はいらない。
俺は魔力を体全体に行きわたらせ強化を行い、地面を強く蹴る。
一瞬でヌーイの背後に回ったが、それを視認できたものは一人もいないだろう。
「どこにいきやがった!?」
「後ろだ」
「なにっ――ごほっ」
振り向くヌーイの顎に軽く掌底を放つ。
それだけでヌーイは脳震盪を起こしたのか、目を回して地面に崩れ落ちた。
俺の勝ちだ。
「冗談だろ、ヌーイが負けた?」
「てか、クズルークは何をしたんだよ、何も見えなかったぞ」
「何か卑怯な手を使ったんだろ?」
やはり、俺が何をしたのか分かった奴はいないらしい。
自分の体を鍛えることもない魔術師ばかりでは仕方ないだろう。
さて、この後はどうするだろうか。
この場の事態の収拾ではなく、力を得た俺がこの世界でどう生きていくかだ。
向こうでは俺は勇者として、何をおいてもまず魔王を倒すために行動してきた。
けど、この世界では違う。
俺には何の使命もなく、好きなことを好きなようにしても問題ない。
「そうだな、まずは」
今の俺の力がこの世界でどれほど通用するのかを確かめたい。
第一学園、冒険者、騎士、多くの実力者と戦ってみよう。
その後のことは、その時考えればいい。
「さあ、始めるか」
こうして、俺の新しい人生が始まった。
――――
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そこで最後の戦いが終わりを告げようとしていた。
魔王の苛烈な攻撃をかいくぐり振るった剣が、魔王の胸元に突き刺さる。
「……ふっ、我もここまでか」
自らの死期を悟った魔王は悔しさの中に僅かな満足感を秘めながらそう呟く。
そして、静かに目を閉じていった。
「倒した……のか?」
「やったのね、ルーク!」
「人類の勝利だ!」
後方で、これまで支援に徹してくれていた仲間たちが嬉しそうに叫ぶ。
俺――ルークが彼らと共に喜びを分かち合うことはできなかった。
「体が、薄れていく……?」
異世界から勇者として召喚された俺は、魔王を倒すためだけに戦ってきた。
魔王を倒し自らの役目を全うした今、もうこの世界に残る理由はない。
契約に従い、帰還魔法が発動する。
「そんな、戻っちまうのかよルーク!」
「仕方ないよ、ルークはルークの世界に帰るんだよ」
「お前のこと、絶対に忘れたりなんかしないからな!」
俺が異世界に呼び出された当初、全く強くもなかった俺を支え、今日まで共に戦ってくれた者たちの言葉に心が満たされる。
オルド、リース、ガイアスの三人に振り返り、手に持つ剣を掲げる。
「俺も、お前たちと過ごしたこの日々を絶対に忘れたりなんかしない。皆、ありがとう!」
それが最後の言葉だった。
俺の体は完全に消え、意識も暗闇の中に落ちる。
ああ、幸せな日々だった――
「はっ、あいかわらずクズルークは雑魚だな! この程度で気絶するだなんて!」
懐かしい声が、俺の意識を呼び戻す。
目を覚まし辺りを見渡すと、制服を着た学生が多くいるのが見えた。
その中でも俺と声の正体――ヌーイは中心で向かい合っていた。
正確には俺だけ地面に寝ころんでいるが。
「起きたみたいだな、ほら、まだ攻撃は続くぞ! 無様に泣き叫べよ!」
その言葉を聞いてようやく思い出した。
ここは俺が生まれ育った世界、ルアース。
魔術師としての才能がそのまま地位の高さに繋がる世界だ。
魔術師の才能がなかった俺はずっと弱者だとして周りから蔑まれる対象だった。
貴族の中では才能に恵まれなかった者たちが集う、ここ王立第二学園では特に。
異世界に召喚され、剣士としての才能を教えてもらうまで、俺自身もずっと自分が周りに劣る存在だと思っていた。
けれど今はもう違う。
どういうわけか召喚当時に帰還したようだが、俺はもう俺の才能を知っている。
今の俺がヌーイ程度に負けるわけがない。
この模擬戦の場を借りてそれを証明しよう。
「よっと」
立ち上がり、自分の体の状態を確かめる。
怪我だらけだ。仕方ない。
体内の魔力の循環を活性化させ、自然治癒力を高め怪我を治す。
よし、もう問題なく動けるな。
「ははっ、起き上がったのか、いいぞ、褒めてやる。そこまで俺に痛めつけられたいみたいだな。クズルーク」
「黙れ、うるさいぞヌーイ」
「は? いまなんつった? お前が俺に黙れって言ったのか?」
「そうだ、お前の攻撃なんて痛くもかゆくもない。怒声の方がうるさくて厄介なくらいだ。少し静かにしてくれ」
「ッ! ふざけやがって! ぶっ殺してやる!」
これまでただ攻撃の的になるだけだった俺の反抗的な言葉に苛立ったのか、顔を真っ赤にして声を張り上げている。
俺の変わりように驚いたのはヌーイだけではなかったらしく、周囲の者達も騒いでいる。
「おい、あのクズルークが逆らったぞ」
「この学園で一番才能がないくせにな。初級魔術すら使えないくせに」
「それどころか魔力を外に放出することすらできないんだろ? 話にならねぇよ」
外野がうるさいが、すぐに静かになるだろう。
「これでも喰らえ、クズルーク!」
ヌーイが放ってきたのは巨大な炎の塊だ。
中級魔術。この第二学園では優秀なのは間違いない。
けど、俺には通じない。
右手に魔力を集め、小さく振るう。
それだけで炎の塊は弾かれ、空高く飛んでいく。
「軽いな」
「なっ! 嘘だろ!?」
「次はこっちの番だ」
この程度の敵に剣はいらない。
俺は魔力を体全体に行きわたらせ強化を行い、地面を強く蹴る。
一瞬でヌーイの背後に回ったが、それを視認できたものは一人もいないだろう。
「どこにいきやがった!?」
「後ろだ」
「なにっ――ごほっ」
振り向くヌーイの顎に軽く掌底を放つ。
それだけでヌーイは脳震盪を起こしたのか、目を回して地面に崩れ落ちた。
俺の勝ちだ。
「冗談だろ、ヌーイが負けた?」
「てか、クズルークは何をしたんだよ、何も見えなかったぞ」
「何か卑怯な手を使ったんだろ?」
やはり、俺が何をしたのか分かった奴はいないらしい。
自分の体を鍛えることもない魔術師ばかりでは仕方ないだろう。
さて、この後はどうするだろうか。
この場の事態の収拾ではなく、力を得た俺がこの世界でどう生きていくかだ。
向こうでは俺は勇者として、何をおいてもまず魔王を倒すために行動してきた。
けど、この世界では違う。
俺には何の使命もなく、好きなことを好きなようにしても問題ない。
「そうだな、まずは」
今の俺の力がこの世界でどれほど通用するのかを確かめたい。
第一学園、冒険者、騎士、多くの実力者と戦ってみよう。
その後のことは、その時考えればいい。
「さあ、始めるか」
こうして、俺の新しい人生が始まった。
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