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第一部 最弱魔術師から最強剣士への成り上がり
09 妹と友人
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ティナの登場によって、場の空気が変わる。
奇異の視線を向けられてはいるが、第一学園の生徒(実の妹だが)と仲良くしている様子を見て、試験結果が本当かもしれないと思ったみたいだ。
「う、うらやましい……」
ヌーイが何か零していたが、何も聞こえない。
「お、覚えてやがれ! 絶対に許さないからな!」
続けて何か捨て台詞を残してこの場を去っていったが、何を言ったのかは聞こえなかった。ほんとうほんとう。
それよりも今も俺に抱きついているティナの方を何とかしなければならない。
だから周りに意識を割く余裕はなかったのだが。
「あっ、ルーク! やったよ、二人とも主席だね……ルーク?」
「……ユナ」
あまりこの状況を見られたくない人物に見つかってしまった。
ユナは俺とティナを交互に見ながら、疑問と混乱に満ちた顔をしている。
「えっと、これはいったい……」
「誰ですか貴女は。私(わたくし)とお兄様の蜜月の邪魔をするとは、いったい何を考えてー―」
「何を言ってるんだティナ。ユナは俺の大切な友人だ。ちゃんと挨拶しなさい」
「友人! なるほど、ただの友人ですね! どうやら私、勘違いをしていたみたいです。申し訳ありませんわユナ様。私はお兄様の妹であるティナ・アートアルドです。以後お見知りおきを」
「は、はい、よろしくお願いします、ティナさん」
ユナの方が年上なのにも関わらず敬語を用い、圧倒されているように見えるのは気のせいだろうか?
「友人、友人か……」
「どうかなさいましたか、ユナ様? そう容易く私の義姉になれるとは考えないほうがよろしいですよ?」
何を言ってるんだろうこの子。
「え? ううん、そうじゃなくて! ……あっ、そうではなくてですね」
「あら、私の方が年下なのですから、敬語は必要ありませんよ?」
「あ、そっか、そうだよね、ルークの妹さんなんだから。それじゃ改めて。私はユナ・ミアレルト。よろしくね、ティナ」
「ええ、よろしくお願いしますわ、ユナ様」
「私にも敬語はいらないよ?」
「私は誰に対してもこの口調ですので、お気になさらないでください」
そんな言葉を交わし、二人は握手する。
何だか不思議なワードが盛りだくさんだったような気がするが、仲良くなれたようで何よりだ。
「あっ、アートアルドさん、ミアレルトさん、ようやく見つけました!」
場が落ち着いたところに、俺たちの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
まず間違いなく、ティナではなく俺とユナのことだろう。
視線を向けると、そこにはもう顔なじみになった職員がいた。
なぜかティナが一番早く職員に対応する。
「どうかなさいましたか?」
「はい、それが……って第一学園の制服!? それにブルーム!? えっ? えっ?」
予想外の事態に混乱している様子の職員を救うべく、前に出る。
「落ち着いて下さい。それでどうかしましたか?」
「それが、アートアルドさんとミアレルトさんのお二人に、学園長からの呼び出しがありました。何でも転入試験の詳細を話したいとかで……」
「「「学園長!?」」」
その単語には俺やユナ、ティナだけでなく周囲の学生までもが驚きを露にした。
第一学園、第二学園両方の学園長でもある彼女が、特定個人と関わることなどほとんどないからだ。
それに本来ならば転入試験の詳細は、資格を持っている全員に一斉に知らされるはず。
俺とユナが個別に招待されたのには、何か訳があるのだろう。
「とにかく、行かないことには何もわからないな」
「う、うん。それにしても学園長って……緊張で心臓が破裂しそうだよ」
ユナに全く落ち着きがないのも仕方ないほどの事態だ。
「私も行きますわ」
そんな中、何故かティナが堂々とそう告げた。
「しかし、学園長に呼び出されているのはお二人だけで」
「問題ありませんわ。私はお兄様の妹ですもの」
「そ、そうですか。では、私は何も聞かなかったということで。伝えるべきことは伝えましたので、それでは」
徐々に処世術がうまくなってきているっぽい職員を見送った後、俺たちは第一学園に向かった。
奇異の視線を向けられてはいるが、第一学園の生徒(実の妹だが)と仲良くしている様子を見て、試験結果が本当かもしれないと思ったみたいだ。
「う、うらやましい……」
ヌーイが何か零していたが、何も聞こえない。
「お、覚えてやがれ! 絶対に許さないからな!」
続けて何か捨て台詞を残してこの場を去っていったが、何を言ったのかは聞こえなかった。ほんとうほんとう。
それよりも今も俺に抱きついているティナの方を何とかしなければならない。
だから周りに意識を割く余裕はなかったのだが。
「あっ、ルーク! やったよ、二人とも主席だね……ルーク?」
「……ユナ」
あまりこの状況を見られたくない人物に見つかってしまった。
ユナは俺とティナを交互に見ながら、疑問と混乱に満ちた顔をしている。
「えっと、これはいったい……」
「誰ですか貴女は。私(わたくし)とお兄様の蜜月の邪魔をするとは、いったい何を考えてー―」
「何を言ってるんだティナ。ユナは俺の大切な友人だ。ちゃんと挨拶しなさい」
「友人! なるほど、ただの友人ですね! どうやら私、勘違いをしていたみたいです。申し訳ありませんわユナ様。私はお兄様の妹であるティナ・アートアルドです。以後お見知りおきを」
「は、はい、よろしくお願いします、ティナさん」
ユナの方が年上なのにも関わらず敬語を用い、圧倒されているように見えるのは気のせいだろうか?
「友人、友人か……」
「どうかなさいましたか、ユナ様? そう容易く私の義姉になれるとは考えないほうがよろしいですよ?」
何を言ってるんだろうこの子。
「え? ううん、そうじゃなくて! ……あっ、そうではなくてですね」
「あら、私の方が年下なのですから、敬語は必要ありませんよ?」
「あ、そっか、そうだよね、ルークの妹さんなんだから。それじゃ改めて。私はユナ・ミアレルト。よろしくね、ティナ」
「ええ、よろしくお願いしますわ、ユナ様」
「私にも敬語はいらないよ?」
「私は誰に対してもこの口調ですので、お気になさらないでください」
そんな言葉を交わし、二人は握手する。
何だか不思議なワードが盛りだくさんだったような気がするが、仲良くなれたようで何よりだ。
「あっ、アートアルドさん、ミアレルトさん、ようやく見つけました!」
場が落ち着いたところに、俺たちの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
まず間違いなく、ティナではなく俺とユナのことだろう。
視線を向けると、そこにはもう顔なじみになった職員がいた。
なぜかティナが一番早く職員に対応する。
「どうかなさいましたか?」
「はい、それが……って第一学園の制服!? それにブルーム!? えっ? えっ?」
予想外の事態に混乱している様子の職員を救うべく、前に出る。
「落ち着いて下さい。それでどうかしましたか?」
「それが、アートアルドさんとミアレルトさんのお二人に、学園長からの呼び出しがありました。何でも転入試験の詳細を話したいとかで……」
「「「学園長!?」」」
その単語には俺やユナ、ティナだけでなく周囲の学生までもが驚きを露にした。
第一学園、第二学園両方の学園長でもある彼女が、特定個人と関わることなどほとんどないからだ。
それに本来ならば転入試験の詳細は、資格を持っている全員に一斉に知らされるはず。
俺とユナが個別に招待されたのには、何か訳があるのだろう。
「とにかく、行かないことには何もわからないな」
「う、うん。それにしても学園長って……緊張で心臓が破裂しそうだよ」
ユナに全く落ち着きがないのも仕方ないほどの事態だ。
「私も行きますわ」
そんな中、何故かティナが堂々とそう告げた。
「しかし、学園長に呼び出されているのはお二人だけで」
「問題ありませんわ。私はお兄様の妹ですもの」
「そ、そうですか。では、私は何も聞かなかったということで。伝えるべきことは伝えましたので、それでは」
徐々に処世術がうまくなってきているっぽい職員を見送った後、俺たちは第一学園に向かった。
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