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序章
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大阪、京橋にある立呑酒場、尾坂酒店は今日も混迷を極めた人混みで満ちている。赤身まぐろ。この魅惑の肴で、いつもの調子で身体は重力場に吸い寄せられた。
「ごめん、兄ちゃん、ちょっと詰めたって」
「すいません、どうも」店はカウンターのみで埋まり切り、マスターの一言が無ければ到底、列に収まる事は不可能だ。
「なんにしよ」
いつも通り大ビンをオーダー。コップグラスに注ぎつつ、目当てのマグロ赤身を続いて注文した。キャリン、キャリンのビールを喉にかっ込みながら、親父達のダーティな話題に耳をそばだてた。
やはり話題の中心は、風俗の話で持ちきりだ。社交界のご定番ってやつだ。一方で俺は、「熟女クラブ さざ波荘」の話題が登場してくることを密かに待ち望んだ。
ふいに乳首が、小刻みに揺れた。携帯のバイブだ。
「毎度。元気」
気分は悪化する。
「要件は」
「えらく騒がしいな、また飲んどるの、場所変ええや」
「じゃ、切ろか」
「ジロくん、せかすなや。ケツマのスカや、二人用意してくれへんか」
「スカか。二人はきついな」
「ほんなら、一人やったらいけるんか」
「確認してみる」
「何や、確認て。わからんのかえ」
「イヤやったら、ええけど」
「どれくらいで、わかるんや」
面倒くさい。
「そんな時間かからんわ。そんで、金額は」
「5やな」
「他あたってや」
こいつの仕事は、後で面倒がよく起こる。通常料金で引き受ければ赤字は必死。出来れば避けたいのが本音だ。
「ほな、6にしよ」
「・・・・」
「7は?」
「・・・・」
「わかった8や」
「それでええわ。また、手配したら連絡する」
受話口から、何やら批難めいた口調が、聞こえたがかまわず切り、宴を再開させた。
午後三時には、酒場を後にし、
「ごめん、兄ちゃん、ちょっと詰めたって」
「すいません、どうも」店はカウンターのみで埋まり切り、マスターの一言が無ければ到底、列に収まる事は不可能だ。
「なんにしよ」
いつも通り大ビンをオーダー。コップグラスに注ぎつつ、目当てのマグロ赤身を続いて注文した。キャリン、キャリンのビールを喉にかっ込みながら、親父達のダーティな話題に耳をそばだてた。
やはり話題の中心は、風俗の話で持ちきりだ。社交界のご定番ってやつだ。一方で俺は、「熟女クラブ さざ波荘」の話題が登場してくることを密かに待ち望んだ。
ふいに乳首が、小刻みに揺れた。携帯のバイブだ。
「毎度。元気」
気分は悪化する。
「要件は」
「えらく騒がしいな、また飲んどるの、場所変ええや」
「じゃ、切ろか」
「ジロくん、せかすなや。ケツマのスカや、二人用意してくれへんか」
「スカか。二人はきついな」
「ほんなら、一人やったらいけるんか」
「確認してみる」
「何や、確認て。わからんのかえ」
「イヤやったら、ええけど」
「どれくらいで、わかるんや」
面倒くさい。
「そんな時間かからんわ。そんで、金額は」
「5やな」
「他あたってや」
こいつの仕事は、後で面倒がよく起こる。通常料金で引き受ければ赤字は必死。出来れば避けたいのが本音だ。
「ほな、6にしよ」
「・・・・」
「7は?」
「・・・・」
「わかった8や」
「それでええわ。また、手配したら連絡する」
受話口から、何やら批難めいた口調が、聞こえたがかまわず切り、宴を再開させた。
午後三時には、酒場を後にし、
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