焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇

文字の大きさ
33 / 42
第1章

第33話:驚異的な集中力

しおりを挟む
数日後――

部屋の一角に、簡素な机と椅子が設けられていた。
瑞穂が持ち込んだノートや教科書が積まれ
刹那が書いた「海人勉強計画表」なるものが壁に貼られている。

その中央には、こう記されていた。

――目標:高認試験合格。まずは中学卒業レベルを目指す。

「……なんつーか、地味だな」

海人は鉛筆を手にしながら、半ばうんざりしたようにつぶやいた。

「そりゃ最初は地味に決まってるじゃん。小学の教育からやり直すんだし」

刹那が腕組みして胸を張ると、横で瑞穂が丁寧に補足する。

「今日の課題は、小学5年生レベルの算数と、漢字の書き取りです。
 まずは“学ぶことに慣れる”のが第一段階ですから」

海人はため息をつきつつ、鉛筆をカリカリと動かし始めた。
それから一週間。

机に向かう海人の表情は、最初の頃とはまるで違っていた。
集中した眼差し。無駄のない手の動き。
文字は丁寧に、計算は正確に。
まるで“戦闘”と同じように、学びの場にも彼は順応していた。

「……終わった」

ノートをパタンと閉じ、海人は軽く肩を回した。

「今日の分、数学Ⅱ・英語構文・古文読解まで完了。問題集も8割正解か」

 刹那がぽかんと口を開けて彼を見つめる。

 「ちょ、ちょっと待って! なんでいきなり“因数分解”とか普通にできてんの!?」

 「昨日の夜にちょっと集中したら、なんとなくパターンが見えてきた。あとは応用問題ばっかだったし」

 「“なんとなく”のレベルじゃないよ!?」

 刹那が絶叫に近い声をあげる横で、瑞穂は静かにページをめくりながら微笑んだ。

「やはり……想像以上ですね。
記憶力、論理処理、集中力――どれも常人の比ではありません。
……あの六年間、閉ざされた環境の中で知識だけを吸収していた成果でしょうか」

「いや、吸収する相手が本しかいなかったからな。
そりゃあ“本気で読む”しかねえだろ」

そう言って笑う海人の目には、疲れと同時にどこか充実した光が宿っていた。
ゼロも、さすがに評価を変えたらしい。

「補足します。マスターの処理能力は一般の教育課程を凌駕しています。
短期間で高認突破、さらに上位進学校への進学も現実的です」

「おい、それ以上持ち上げるとプレッシャーで寝込むぞ」

「事実です。……が、社会性・協調性においては未評価領域です。
“女子と話す能力”は現段階でゼロと推測されます」

「それは今は関係ねえだろ!」

刹那は苦笑しながら海人の頭を小突いた。

「でも、すごいよ海人。……本気で、高校行けそうじゃん」

海人はしばらく黙ってから、ぽつりと呟く。

「……まだわからねぇけどな。でも、手応えはある」

そして、ふっと小さく笑った。

「やるなら、ちゃんとやる。中途半端は……もうたくさんだ」

瑞穂と刹那は、その言葉にそっと頷いた。
焔木海人――幽閉の六年間を経て、今、新たな“学び”という戦場で才能を開花させようとしていた。

さらに数日後。

山から少し下った町の一角――
焔木海人は模擬試験の答案を前に腕を組んでいた。

静かな試験室。カリカリと鉛筆の音だけが響く。
その中で、海人の動きは一切淀みがなかった。

――終了のチャイムが鳴る。

「ふぅ……」

鉛筆を置き、海人は深く息を吐く。
表情には、緊張ではなく明らかな手応えがあった。
結果はその日のうちに簡易判定された。

「……全科目、偏差値60超え。中には70を超えた教科もあります」

センター職員が目を丸くしながら言った。

「この短期間でこれは……正直、信じられません。どこかの有名塾に通っていたとか?」

「いや、独学です。――あと、ちょっとした家庭教師がついてました」

そう言って、海人は背後に立つ刹那と瑞穂のほうをちらりと見る。
刹那は得意げにVサイン。

「……あくまでちょっとだけね。私の教え方も大概だったし」

「けれど、それを活かしたのは彼自身です」

瑞穂は控えめに笑った。

職員は頷き、手元の書類を整理しながら言った。

「では、試験の出願は正式にお手伝いします。日程はこちら。試験は来月、十分に間に合いますよ」

「……ああ、頼む」

海人は深く頭を下げた。
その様子に、職員は目を細めながら言った。

「それと、もし進学先がまだ決まっていないなら、推薦可能な高校もあります。……たとえば」

その瞬間、刹那がぐいっと前に出た。

「ちょ、ちょっと待って! もし推薦するなら私達の高校にしてください!」

「え? あ、でも、そこって――」

「同じクラスになるかはわかんないけど! 先生に聞いてみるから! 絶対楽し……、勉強にもなるし!」

職員が苦笑するのと、瑞穂が控えめに咳払いするのが同時だった。

「……まずは試験を通ってからね。刹那」

「だよねー!」

 海人はそのやり取りを見ながら、静かに、しかし確かな実感を込めてつぶやいた。

 「……外の世界ってやつが、少しずつ見えてきた気がする」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...