全てを奪われた日、異能喰いに目覚めた僕はすべてに復讐する

雷覇

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第12話:最後の砦も堕ちる

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道場の静寂の中、カイザはキサラに歩み寄り、穏やかだが底知れぬ自信を湛えた声で切り出した。
「キサラさん、もう一度、俺と勝負しませんか? 二人だけで、誰も邪魔しない状況で。」

キサラは鋭い視線でカイザを見据え、唇に微かな笑みを浮かべた。

「カイザさん、貴方の目…何か企んでるわね。それでもいい。受けて立つわ。この道場で、負けるわけにはいかないもの」

彼女の声は落ち着いているが、内に秘めた闘志が滲む。道場の床に二人の影が映りこむ

勝負は剣術で始まった。
キサラの動きは流れるように優雅で、刃の軌跡はまるで舞のよう。
だが、カイザは徐々に彼女を追い詰める。

カイザの異能は相手の動きを鈍らせ、その動きを読むこともできる。キサラの隙を読み取り的確な攻撃をくわえた。剣が交錯する音が響き合い、キサラの息が僅かに乱れる。カイザは無言で微笑み、彼女の剣を弾き飛ばした。

キサラは膝をつき、額に汗を浮かべながらカイザを見上げた。

「参りました…」

その声には敗北の苦さが混じるが、どこか惹きつけられたような響きがあった。
カイザは彼女に近づき、囁くように言った。

「キサラさん、敗北の味はどうです? 俺には全てが見える…お前の心もな」

彼の異能が発動し、キサラの瞳が一瞬揺らぐ。彼女の心の壁が崩れ、抵抗する意志が溶けるように薄れていく。
カイザはキサラの手を取り、ゆっくりと引き寄せた。

「もう抗う必要はない。俺に委ねろ」

キサラの身体は抵抗を忘れ、彼の胸に倒れ込むように抱きついた。
彼女の妖艶な香りがカイザを包み、道場の空気は甘く重いものに変わる。キサラは囁く。

「…カイザさん、貴方に…負けた。」

その声は敗北を認めつつも、どこか解放されたような柔らかさを帯びていた。二人は互いの体温を感じながら、道場の中心で静かに抱き合った。カイザの唇に勝利の微笑が浮かんだ。

彼の手は彼女の背を滑り、腰を強く引き寄せる。
キサラの身体が微かに震え、頬が火照る。
彼女の瞳はカイザに吸い込まれるように潤み、妖艶な美貌が道場の薄暗い光の中で一層際立つ。

彼女の唇が半開きになり、カイザに近づくが、彼は意図的に焦らすように指でその唇をなぞった。キサラの心はすでに彼の異能に支配され、彼女の全てがカイザに捧げられることを望むようになっていた。

二人の距離は限りなく近く、互いの体温が溶け合う。キサラの柔らかな胸がカイザに押し付けられ、彼女の心臓の鼓動が彼に伝わる。道場の静寂は二人の吐息と、布擦れの微かな音で満たされる。

彼女の身体は彼に完全に委ねられ、異能によって洗脳された心はカイザへの忠誠と欲望だけに染まっていた。カイザはキサラを強く抱きしめ、彼女の耳元で満足げに囁く。

「これでいい、キサラ。お前は俺のものだ…」
勝利の微笑を浮かべたカイザの脳裏には、すでに次の標的への策略が浮かんでいたが、今はキサラの完全な服従を味わうことに浸っていた。

翌朝、道場の朝靄に差し込む陽光が、木の床に柔らかな影を落としていた。
静寂の中、昨夜の濃密な熱はまだ空気に残り、道場の雰囲気はどこか甘く、支配された余韻に満ちていた。

カイザは道場の中心に立ち、満足げな微笑を浮かべていた。キサラは彼の傍らに寄り添い、妖艶な美貌に穏やかな従順さが滲む。
彼女の瞳はカイザを見つめ、昨夜の洗脳によって心の全てが彼に捧げられていた。

「カイザ様…ご命令を」と、彼女の声は柔らかく

まるで彼の存在に溶け込むようだった。キサラの指先がカイザの腕にそっと触れ、その仕草には抵抗の欠片もない。ユイ、カナ、シズカ、ユリナもまた、カイザの周りに集まり、甘えるような視線を彼に注いでいた。道場はもはや戦いの場ではなく、カイザの支配が完成した楽園と化していた。

カイザはキサラの腰に軽く手を置き、彼女の柔らかな体温を感じながら内心で満足を噛み締めた。

「キサラ、お前は完璧だ。これからも俺の役にたて」

彼の言葉に、キサラの頬がわずかに紅潮し、従順な微笑が広がる。彼女の心は異能にに染まり、誇り高かったかつての姿は影もなかった。

カイザはアイリの事を思い浮かべた。アイリはまだカイザの力に触れられていない最後の存在だった。彼女の清楚な美しさと、内に秘めた強い意志が、カイザの狩猟本能を刺激していた。

カイザの唇に狡猾な笑みが浮かぶ。

「アイリ…あの純粋さと抵抗する気概、面白そうだな。それに凄い才能を感じる。まだ異能は開花していないが育てがいがある」

カイザの心はすでに次の策略で満ちていた——アイリの心をどうやって絡め取り、彼女の意志を砕き、キサラと同じく自分のものにするか。道場の朝の静けさの中、カイザの視線はアイリを捕らえ、彼女の心に新たな嵐を予感させた。

「アイリ、そろそろお前とも話をしようか」と、彼の声は穏やかだが、底知れぬ支配力を帯びていた。
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