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第1章
第83話:蒼真の処遇
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朱音は必死に彼の名を呼び続ける。
「ねぇ、しっかりして……蒼真!!」
だが蒼真は微動だにしなかった。
朱音はその顔を覗き込み、必死に呼びかける。
「蒼真! お願いだから目を開けてよ!!」
肩を揺さぶっても反応はない。
その静けさが、かえって周囲の不安を募らせた。
セリスはそっと彼の脈に手を当て、静かに告げる。
「命に別状はありません……ただ、氣の流れが荒れすぎて、身体も心も限界を越えてしまったのでしょう」
朱音は涙をこらえきれず、唇を噛みしめる。
「……ほんと、無理ばっかりして……。いい? 目が覚めたら絶対に説教だからね……!」
その時、隼人が場を収めるように口を開いた。
「とりあえず、こいつを王宮に連れて行くぞ。治療が先だ」
軽い声色ではあったが、誰も逆らえぬ力強さが滲んでいた。
しかし、すぐにレンが顔を真っ赤にして叫ぶ。
「な、何を言ってるんだ! こんな危険な奴、牢屋にぶち込むべきだ!! 勇者を斬り捨てるなんて前代未聞だぞ!」
場の空気が再びざわめく。だが隼人は鼻で笑い肩をすくめて切り捨てた。
「馬鹿言え。牢屋に入れたところで、この力を抑えられると思うか? むしろ暴れられたらどうする」
「だ、だけど……!」
そんな中、セリスが一歩前に進み出る。
「……皆さん、聞いてださい」
静かに放たれた声は、ざわつく場を切り裂くように響いた。
セリスは蒼真を抱く朱音の隣に膝をつき、彼の顔を見つめながら言葉を続けた。
「この人は……王都を救ったのです。
以前、魔族が仕掛けていた爆破計画を事前に止めたのは蒼真でした」
「……なに?」
最初に声を漏らしたのはアメリアだった。驚愕に目を見開く。
レンも呆然とした表情でセリスを振り返った。
「そ、それは本当なのか……!? 俺たちはそんな報告、受けてないぞ!」
セリスは揺るぎない瞳で頷いた。
「報告には上がっていません。彼個人の希望でした……ですが、事実です。もし蒼真がいなければ我々も命はなかったかもしれません」
勇者たちは一様に顔を見合わせ、動揺を隠せなかった。
レグナの腕を奪った冷徹な力の持ち主。しかし同時に、確かに人々を救った存在。
隼人は短く笑い、片眉を上げる。
「へぇ。じゃあ牢屋どころか勲章モンだな」
だがレンだけは納得しなかった。
「いや……やっぱり拘束して牢屋に入れるべきだ! あの力は危険すぎる! 弱っている今ならどうにでもできる!」
アメリアはすぐに首を振り、鋭く言い返した。
「いいえ。彼がいなければ、爆破計画で王都は滅んでいた。救われた事を忘れるつもりですか? 危険だからこそ、正しく導くべきです!」
「導く……?」
レンは目を見開き、憤りを隠さず叫ぶ。
「お前はわかってない! 導けるはずがない! あんな力を抱えた人間は、いずれ制御できなくなる!」
アメリアも一歩も引かない。
「なら力を恐れるだけで切り捨てるのですか!それで救える未来があるんですか!?」
二人のやり取りに紫苑が溜め息をつき、冷ややかに口を開いた。
「……どちらにしても、このまま彼を野放しにするのは危ういわ。監視をつけるという条件つきで王宮に置く……それが落としどころでしょう」
美咲は腕を組み、苦笑しながらも視線を逸らさない。
「レンって勇者は結局ビビってるだけじゃん。……でもさ、あの黒い氣、マジでヤバかったよ。私だって正直怖かった」
勇者たちの意見は完全に割れていた。
牢屋に入れるべきだと声を荒らげる者。
導くべきだと訴える者。
条件つきで監視すべきだと冷静に提案する者。
彼らの視線が最後に集まったのは――黙して立つ隼人だった。
飄々とした笑みを浮かべつつも、その眼差しは鋭く光り、場を支配する気配を漂わせていた。
「……牢に入れる? 導く? どれも正しいようで、どれも的外れだな。」
その言葉に、場の空気が張り詰める。
隼人は視線を巡らせ、あえて軽く笑みを浮かべた。
「俺の考えでは、蒼真が王都を救ったという事実は揺るがない。だから、まずは事情を聞いてから判断しても遅くはないはずだ。どうせ今回の件も原因はレグナの暴走だろうしな」
彼はわずかに声を落とす。
「……ただし、次に目を覚ました時、味方か敵かはまだわからない。だから朱音とセリスに見張りを頼む。二人がそばにいれば、蒼真も目を覚ましたとき安心して会話できるはずだ」
セリスは静かに頷き、落ち着いた声で答える。
「わかりました。蒼真が目を覚ますまで私が見守ります」
一方、朱音は腕を組み、少しむくれたように言い放った。
「言われなくても離れるつもりなんてないわ。蒼真は私が守る。それに聞きたいことも山ほどあるから」
隼人が一区切りついたかと思ったその時、誰かが低く呟いた。
「……で、レグナはどうする?」
視線が一斉にレグナへと向けられる。
「正直、こいつの方がよっぽど厄介だ。暴れられても困る」
「どうせ戦える体でもないんだ、治療って名目で監禁しておくのが妥当だろう」
勇者たちは次第にレグナの処遇を巡って意見をまとめていく。
だがその流れは蒼真の時とは違い、ほとんどの声が徹底拘束に傾いていた。
「ねぇ、しっかりして……蒼真!!」
だが蒼真は微動だにしなかった。
朱音はその顔を覗き込み、必死に呼びかける。
「蒼真! お願いだから目を開けてよ!!」
肩を揺さぶっても反応はない。
その静けさが、かえって周囲の不安を募らせた。
セリスはそっと彼の脈に手を当て、静かに告げる。
「命に別状はありません……ただ、氣の流れが荒れすぎて、身体も心も限界を越えてしまったのでしょう」
朱音は涙をこらえきれず、唇を噛みしめる。
「……ほんと、無理ばっかりして……。いい? 目が覚めたら絶対に説教だからね……!」
その時、隼人が場を収めるように口を開いた。
「とりあえず、こいつを王宮に連れて行くぞ。治療が先だ」
軽い声色ではあったが、誰も逆らえぬ力強さが滲んでいた。
しかし、すぐにレンが顔を真っ赤にして叫ぶ。
「な、何を言ってるんだ! こんな危険な奴、牢屋にぶち込むべきだ!! 勇者を斬り捨てるなんて前代未聞だぞ!」
場の空気が再びざわめく。だが隼人は鼻で笑い肩をすくめて切り捨てた。
「馬鹿言え。牢屋に入れたところで、この力を抑えられると思うか? むしろ暴れられたらどうする」
「だ、だけど……!」
そんな中、セリスが一歩前に進み出る。
「……皆さん、聞いてださい」
静かに放たれた声は、ざわつく場を切り裂くように響いた。
セリスは蒼真を抱く朱音の隣に膝をつき、彼の顔を見つめながら言葉を続けた。
「この人は……王都を救ったのです。
以前、魔族が仕掛けていた爆破計画を事前に止めたのは蒼真でした」
「……なに?」
最初に声を漏らしたのはアメリアだった。驚愕に目を見開く。
レンも呆然とした表情でセリスを振り返った。
「そ、それは本当なのか……!? 俺たちはそんな報告、受けてないぞ!」
セリスは揺るぎない瞳で頷いた。
「報告には上がっていません。彼個人の希望でした……ですが、事実です。もし蒼真がいなければ我々も命はなかったかもしれません」
勇者たちは一様に顔を見合わせ、動揺を隠せなかった。
レグナの腕を奪った冷徹な力の持ち主。しかし同時に、確かに人々を救った存在。
隼人は短く笑い、片眉を上げる。
「へぇ。じゃあ牢屋どころか勲章モンだな」
だがレンだけは納得しなかった。
「いや……やっぱり拘束して牢屋に入れるべきだ! あの力は危険すぎる! 弱っている今ならどうにでもできる!」
アメリアはすぐに首を振り、鋭く言い返した。
「いいえ。彼がいなければ、爆破計画で王都は滅んでいた。救われた事を忘れるつもりですか? 危険だからこそ、正しく導くべきです!」
「導く……?」
レンは目を見開き、憤りを隠さず叫ぶ。
「お前はわかってない! 導けるはずがない! あんな力を抱えた人間は、いずれ制御できなくなる!」
アメリアも一歩も引かない。
「なら力を恐れるだけで切り捨てるのですか!それで救える未来があるんですか!?」
二人のやり取りに紫苑が溜め息をつき、冷ややかに口を開いた。
「……どちらにしても、このまま彼を野放しにするのは危ういわ。監視をつけるという条件つきで王宮に置く……それが落としどころでしょう」
美咲は腕を組み、苦笑しながらも視線を逸らさない。
「レンって勇者は結局ビビってるだけじゃん。……でもさ、あの黒い氣、マジでヤバかったよ。私だって正直怖かった」
勇者たちの意見は完全に割れていた。
牢屋に入れるべきだと声を荒らげる者。
導くべきだと訴える者。
条件つきで監視すべきだと冷静に提案する者。
彼らの視線が最後に集まったのは――黙して立つ隼人だった。
飄々とした笑みを浮かべつつも、その眼差しは鋭く光り、場を支配する気配を漂わせていた。
「……牢に入れる? 導く? どれも正しいようで、どれも的外れだな。」
その言葉に、場の空気が張り詰める。
隼人は視線を巡らせ、あえて軽く笑みを浮かべた。
「俺の考えでは、蒼真が王都を救ったという事実は揺るがない。だから、まずは事情を聞いてから判断しても遅くはないはずだ。どうせ今回の件も原因はレグナの暴走だろうしな」
彼はわずかに声を落とす。
「……ただし、次に目を覚ました時、味方か敵かはまだわからない。だから朱音とセリスに見張りを頼む。二人がそばにいれば、蒼真も目を覚ましたとき安心して会話できるはずだ」
セリスは静かに頷き、落ち着いた声で答える。
「わかりました。蒼真が目を覚ますまで私が見守ります」
一方、朱音は腕を組み、少しむくれたように言い放った。
「言われなくても離れるつもりなんてないわ。蒼真は私が守る。それに聞きたいことも山ほどあるから」
隼人が一区切りついたかと思ったその時、誰かが低く呟いた。
「……で、レグナはどうする?」
視線が一斉にレグナへと向けられる。
「正直、こいつの方がよっぽど厄介だ。暴れられても困る」
「どうせ戦える体でもないんだ、治療って名目で監禁しておくのが妥当だろう」
勇者たちは次第にレグナの処遇を巡って意見をまとめていく。
だがその流れは蒼真の時とは違い、ほとんどの声が徹底拘束に傾いていた。
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