子狐のウエディング

Sigune.

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第1章

第4話

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【15年前 デイドリーム:7歳】
 あの日、デイドリームは家族と『リバティーランド』という遊園地に遊びに来ていた。

 「ジェットコースター楽しかったね!」
10歳で、デイドリームの兄であるクリアー・ココは笑顔で言った。

 「そんな訳なかろうがぁ」
へとへとになったデイドリームの父さんである、ブラウンが吐き捨てた。

 ブラウンは、ウェザーヒーローで曇りの日に射撃が格段に上手くなる能力を持っている。ブラウンは、本部の中で3番目くらいに偉い人らしい。ココ一家の自慢だ。

 デイドリームはしんどくて、クリアーに言い返す気力すら起こらない。

 デイドリームの母さんであるシャイニー・ココがこの状況に、少し笑った。

 シャイニーは昔から病弱で、病院にいるので、あまり外に出れない。だが、症状が良くなってきたのもあってか、乗り物には乗らない条件で、特別に病院から許可が降りた。

 「次は何に乗る?」
クリアーが言うと、ブラウンとデイドリームは口を揃えて「ちょっと待って」と止めた。また、シャイニーは少し笑った。


 ココ一家は、アイスクリームを買って休むことにした。

 「アイス、おいひー!」
クリアーは、周りが「何事だ?」と思うほど叫んだ。

 デイドリームが「静かにして」と言いかけた瞬間、聞きなれた声が聞こえた。

 「このおもちゃ面白いね!」
買ってもらった車のおもちゃで遊ぶ、夢香の声だった。

 デイドリームと夢香は小学校が一緒で、よく遊ぶ仲だった。夢香は女子よりも男子と遊んでいる時の方が多かった。運動が好きなので必然的にそうなるのだろう。

 夢香は、はしゃぎながら後ろ向きで歩いている。

 進行方向には、カクテルホールと呼ばれる気候が入り乱れた荒れている天気の場所がある。カクテルホールは、ダークウェザーズの行動が原因でできた、といわれている。いつもはフェンスがあるのだが、今日は工事の関係で空いていた。

 夢香は後ろ向きで進んでいって、カクテルホールの中へ入って行った。

 それを見ていたブラウンは、カクテルホールへと走り出した。そして、その中へ消えていった。

 その後、見ていた人達は皆、呆然《ぼうぜん》としていた。皆、入りたくても入る勇気がなかったのかもしれない。

 その後は一瞬の出来事だった。

 ズドーンと雷が落ち、雷光が見えた。周囲から悲鳴が上がる
夢花が泣きながら出て来た。タオルで顔を押さえながら出て来た。最初は、おもちゃを捨てなければならない状況だったから泣いているのかと思った。

 だが、違った……ブラウンがなかなか出てこない。夢香に聞いても泣いているばかりだった。

 それから、しばらくしてもでてこないので大体の人が気付きはじめた


 その後、クリアーにこう伝えられた。
「ブラウンは、夢香をかばって落雷で亡くなった」
デイドリームは信じられなかった。もう、「父さんに会えない」なんて嫌だと思った。
 

 後日、夢香の病室に行った。夢香は頭にひどい傷を負っていた。そんな夢香をデイドリームは責めた。責め続けた。

 「なんで、なんでお前のせいで、父さんが、死ぬんだよ……」
夢香は泣いて、何も答えられない。

 「おかしいだろぉ!」
デイドリームはそう言って、そばにあった夢香のハート型のキーホルダーを投げつけた。

 デイドリームの叫びは看護師が見つけて、クリアーが止《と》めに来るまで続いた。


 それから、クリアーとも口論になった。デイドリームはクリアーに「勝手に病室に行くな」とか「お見舞いじゃないのに病室に行くな」などと怒られた。

 この頃から、夢香に対しても、クリアーに対しても無視をし続けている。


 「どうしたの?デイくん」
夢香が、デイドリームに声をかけた。

 デイドリームは、夢香のことを無視して去っていく。

 デイドリームがいなくなった後も、夢香は呆然としていた。
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