異世界における英雄とアヴェンジャーのあり方は。

朱音めあ

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1章

深が覗く 01

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 コハクはマジックデバイスを手に、草木を掻き分けて林の中を進む。


「希少種が動いたぞ!」

 デバイスからカイの連絡が入る。


 すると繁みの中から、溶岩の様に赤い身体の魔狼が姿を見せた。


「こっちからも見えた」

 魔狼もコハク達の動きに気付いたのか、一度動きを止めると、身体から黒い霧を吹き出した。

 そして魔狼はその霧の中へと潜り込んで姿を隠す。


「おい、なにしてんだあいつは?」

 今までの魔狼とは違う行動に、カイの驚く声が聞こえる。

「よ、よく分からないけどあのままじゃ逃げられちゃう! 皆、攻撃して!


 ハルが魔法を放つ。

 無数の魔法弾が魔狼が逃げ込んだ霧の中へ向け降り注ぐが、魔狼が黒い霧の中から飛び出す。


「逃がすか!!!」


 6本の脚で素早く林を駆ける魔狼。

 だか、先回りしていたカイが魔狼へ向かい、剣を振るう。


 魔狼はそれを避けようと跳躍するが、カイの振るう剣が魔狼を捕らえる。

 しかし、魔狼の動きは止まらず、魔狼は着地して再び逃走する。


 ハルはもう一度魔法を放った。

 無数の魔法弾が魔狼に降り注ぐが、素早く動く魔狼には中々命中せず、掠り傷を付ける程度である。


 それならばと、コハクは上に飛ばしていた使い魔を降下させる。

 そして、その使い魔を魔狼の目の前で爆破させた。

 使い魔の爆発に怯んだ魔狼は方向転換するが、追いついた野乃花が盾を構えて魔狼に体当たりを食らわせる。


 地面を転がる魔狼へ、コハクは追い討ちで魔法を放つ。

 数発の魔法弾は魔狼の身体に命中したが、しかし仕留めるには至らない。

 魔狼はすぐに体制を立て直す。


「ああ、もう! チャンスだったのに!」

 デバイスからハルの声が響く。


「ご、ごめんなさい! 焦って剣が抜けなくて・・・!」

「野乃花もそうだし、コハクもよ! しっかり狙ってよ!」

「まぁ、ハルもめちゃくちゃ外してるけどな」

 カイが冗談交じりに言う。

「こんな時に冗談言ってないで、早く追いかけてよ!」

「はいはい」


 カイは魔狼に追いつくと、剣を振り下ろす。

 だがその瞬間、魔狼はまた身体から黒い霧を吹き出す。


「くそ、またか!!!」

 霧を避けて回り込むカイだが、魔狼の方が一瞬早く霧から飛び出し、カイの攻撃から逃れる。



「皆、巻き込まれない様に気を付けろ」

 デバイスを通じて煉の声が聞こえる。


 煉の行動を読んだのか、カイは「お、ヤバ・・・」と呟き、すぐに走ってその場から撤退する。

 そして、煉は魔狼へ向け剣を投擲した。


 放たれた剣は魔狼に当たることはなく、木に突き刺さる。

 その瞬間。


 剣から炎が溢れ、そして爆風を起こす。

 爆風に炙られ、魔狼が吹き飛ぶ。


「うっ、熱っ・・・!」

 コハクはその爆風からはある程度距離を置いていたが、それでも結構な熱さの熱風を感じた。


 魔狼はまだ生きており、地面でもがく様に暴れているが、しかしすぐに立ち上がらない所をみると、大分ダメージを負っているのだろう


 コハクは暴れる魔狼へ向け魔法を放つ。

 放ったのは魔法の弾丸ではなく、白い霧状の光線である。


 魔狼はようやく身体を起こしたが、コハクの放つ光線が魔狼の前足を凍結させて地面に貼り付ける。 

 魔法弾よりも、直接剣で止めを刺した方が確実だと判断した為だ。 

 剣を抜き魔狼へ接近するコハク。

 しかし魔狼はまた黒い霧を吹き出し、身を隠そうとする。


「うっ・・・! くそ!!!」

 一瞬怯んだコハクだが、魔狼は脚を凍らされている為その場から動くことはないだろう。

 コハクは霧に包まれる魔狼へと剣を振り下ろした。


 しかし、剣に手ごたえはない。

 そして、霧の中から溶岩の様な赤の脚が振るわれ、コハクを突き飛ばす。


「ぐっ!?」

 急いで上体を起こすコハク。 


 だが霧が晴れた後には、凍り付いた魔狼の前脚だけが残っている。

「ま、まさか自分で脚を・・・!?」


 魔狼は、凍り付いた前脚を引きちぎって逃げたのだ。   


「アイツ、大分動きが鈍くなってるぞ!」

 言いながら、カイが逃げた魔狼を追う。

 コハクが立ち上がると、その横にハルが並んだ。


「ちょっと、その脚、拾っといてね」

「え? 脚?」

「そう。その前脚、それだけでも価値あるんだから。わかってるの?」


「・・・あぁ、うん。わかった」 


「拾ったら早く追いかけて!」


 コハクにそう命令すると、ハルは魔狼の後を追いかけ始めた。


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