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2章
気遣い 02
しおりを挟む「・・・ということで、ヴァーリア国は南側の街に行くほど、異界人の割合が多くなるんです」
揺られる馬車の中で、コハクは真面目な様子で相槌をうちながら、式利の説明を聞いていた。
「それで、警備の任務についてですが」
馬車の車内はあまり広くなく、乗れても精々10人が限度といった所だが、軍用の馬車である事もあって、二人の他に乗客はいない。
「警備の仕事は主に、暴れてる酔っ払いや窃盗を見つけて取り締まる事です。コハクさんには、使い魔で街に異変が無いか監視する我々の目となってもらいます」
「・・えっと、使い魔の他に使用できる魔法は"拘束魔法"の様な、殺傷力を持たない魔法に限るんでしたっけ?」
「その通りです」
ただし、と式利は付け加える。
「反乱者と呼ばれる者が居まして。聞いた事もあるかもしれませんが、彼らの中には魔法で応戦してくる者もいます」
「反乱者って、確か・・・」
「はい。彼らは異界人です」
居場所を無くした異界人の成れの果てが反乱者である。
前に、カノールから聞いた話だ。
「これは少々難しい話でして。反乱者は攻撃してくるから、攻撃魔法で応戦しても良いという暗黙の了解が兵士の中でありましてね。
・・・それはつまり、交戦する気がない相手でも、反乱者であれば攻撃しても許されるという事です。
一般人の多くも反乱者の立場なんて気にしませんから、それについて問題視することもありません」
コハクは、無言で式利の話を聞いている。
「私は、それはどうかと思っていますよ。反乱者には確かに窃盗や恐喝を行う者が多く居ますが、彼らを端に追い込んでしまったのは、国のせいでもありますから。
なので、私は基本的に剣を抜くことはありませんし、魔法は拘束魔法しか使いません」
もしもこのまま、魔物に対するトラウマが消えずに、やがて戦う事すら出来なくなってしまったら。
コハクは、自分も反乱者の様になるのではないかと考えてしまう事がある。
そのせいか、コハクはその話に対して共感を感じた。
「ですが、彼らもこちらが兵士だと分かると容赦してきません。なので、コハクさんは使い魔での監視と私達への連絡を」
「・・・はい、わかりました」
コハクがそう返事をした頃、丁度馬車が街の門を潜った。
「それと、これはちょっとした心がけですが。
彼らを思いやる心は大切ですが、けして彼らの言葉を真に受ける必要は、ありませんよ」
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