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2章
気遣い 01
しおりを挟む任務に出る兵士達は、基地のホールにある受付に告げてから出る事になる。
「・・・はぁ」
未だ魔物に対する恐怖心が取れないコハクは、憂鬱に感じながら重い足取りで受付へと向かった。
ちなみに、この基地の受付の女性は、中々の美人だと評判であるが、既に婚約者がいるとの噂である。
(そもそもコハクには彼女をナンパする勇気はないのだが)
「おはようございます」
とは言うものの、何かの間違いで受付の彼女とフラグが立ったりしないだろうか。などと思いながら。
コハクは受付の女性に声をかけ、自分がヴァーリア国の兵士である証明書を提示する。
「はい、おはようございます。コハクさんですね。えーっと、少々お待ちください」
すると、受付の女性からいつもと違う台詞が聞こえてきた。
コハクが疑問に思っていると、受付の女性は一枚の用紙を取り出し、それをコハクに手渡す。
「Sランクの式利さんという方から、任務の依頼が届いています」
「式利さんから?」
手渡された用紙を見ると、確かに依頼人の欄には、式利の名前が書かれていた。
***
ヴァーリア国には当然、自動車や電車などは存在しない。
移動手段は、異世界らしく"馬車"なのであるが、しかし馬車そのを引くのは馬ではない。
馬の代わりとなるのは、魔力を原動力とした"使い魔"である。
コハクもよく羽虫型の使い魔を使用するが、馬車を引く使い魔は少々仕組みが異なる。
コハクの羽虫型の使い魔は、魔法により一から形を生成して造られる。
そう聞くと難しそうに聞こえるが、魔術士の兵士達が一般的に使用する"魔法の弾丸"を生成するのと近い。
対して馬車を引く4足歩行の使い魔は、一から生成されるのではなく、木や石の様に何か素材を元として形を作られる種類の使い魔である。
例えば、岩でゴーレムを構成したり、木で自作した人形を操って戦闘に使用する魔術士がいる。
元の素材がある為、一から魔法で造られた使い魔よりも頑丈で、持ちが良いのが特徴だ。
また、魔術士と使用できる素材には相性があるらしく、それぞれ何を素材に使い魔を生成出来るかは個人差がある。
「おはようございます、コハクさん」
依頼書に書いてあった通り、コハクは基地の馬車停留所へ向かうと、そこには式利の姿があった
「お、おはようございます、式利さん。わざわざ任務を用意してくれるなんて、ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ急ですみません。あまり人数に空きが無かったもので。
コハクさんは小型の使い魔の扱いが得意な様ですので、警備の任務は丁度良いと思いまして」
依頼書に書かれていた任務の内容は、街の警備であった。
場所はコハク達の今いる西の街より、南にある街で、馬車で向かうと大体1時間程は掛かる場所にある。
「街の任務を、異界人が任されるなんて珍しいですよね?」
「恐らく最近現れた殺人鬼のせいでしょう。普段よりも東の街に多く兵士が配置されています。
私たちは、その埋め合わせという訳です」
「そういう事ですか・・・」
二人が話をしていると、4足歩行の使い魔がガシガシと音を立てながら馬車を引き、停留所へ到着する。
その使い魔は木製だが、馬よりも太くがっしりとした体系で、ペイントとコーティングを施されたボディはまるでロボットの様にも見える。
「さて、向かいましょうか」
「はい」
そうして、式利に続いてコハクも馬車に乗り込んだ。
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