異世界における英雄とアヴェンジャーのあり方は。

朱音めあ

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2章

殺人の被害

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「この1週間の内に死亡者が7名。その内の2名は、警備に付いていた兵士だそうです」


 整った身なりの中年の男性が、カギツキのいるテーブルへ事件の詳細が書かれた書類を差し出す。

 ヴァーリア国は大きく分けて東西南北、そして城下である中央の5つに分かれており、この中年の男性は、そのひとつである"東街の街長"である。


「間違いなく、先日別世界から現れたであろう異界人の仕業だろうな」

 書類を手に取り目を通すカギツキ。 

「最早、警備の強化だけでは対処できない問題でしょう。コイツは、あまりにも危険過ぎます。

一刻も早くこの危険な異界人を捕まえる為に、いや処分する為に。どうしても軍の力が必要でして」

「そういう事なら問題ない。私もこの殺人犯は、早々にどうにかせねばいけないと思っていてな。既に対策は考えてある」

「それは助かります・・・ええと、それで。一つお願いがありまして」

 かしこまった様子の街長。  

「なんだ? 言ってみろ」


「今回の事件で、町民達が異界人を恐れてましてね。

前から異界人の事を嫌っている人は多かったが、こんな事件が起きたせいで、批判は更に増えてまして」

「つまり、どういう事だ? 」

「街には極力、異界人を近付けさせないで欲しいと言っている人達がいるという事です。それが例え兵士でも。一部では"異界人の魔力は呪いを産む、近寄ると長生き出来ない"と主張している程です」


 カギツキはヴァーリア人だ。

 しかし軍人である為、魔法や魔力の仕組みはある程度理解しているし、異界人の魔力にそんな影響がない事も知っている。

 だが同時に、軍隊長という上の立場についている事もあり、無知な人々の間違いを正す事は難しい事も分かっている。

 そもそもカギツキには、いちいちそんな都市伝説を正そうという気はない。

 カギツキにとって異界人とは、道具であり武器の様なものだ。 

 異界人が国民にどう思われていようと、カギツキには知った事ではない。 


「なるほど。つまり異界人の兵士は使うな、という事か」

「言ってしまえば、そういう事になりますが、私としては異界人を使う事は仕方無いと思ってましてね。

ヴァーリア人の兵士だけでは、人手が足りないでしょう?」

「いや、配置を変えて対処すれば問題ない。
丁度、適任なヴァーリア人の兵士がいる。彼女の班を殺人犯の出た東の街へ配置し、その埋め合わせを異界人の兵士で補充すれば問題ない」


「そうか、そうか。それは良い返事を聞けて助かりましたよ、カギツキ隊長」

「国民を守るのが軍の仕事だ。相手が魔物だろうと、異界人だろうと」

「ありがとうございます」

「それでは失礼」と一礼し、街長は部屋を出ていった。



「・・・シンキ、カグリに連絡は取れるか?」

 カギツキは、街長が置いていった書類に目を通しながら、シンキに呼びかける。

「カグリですか?」

「珍しく不安そうな顔だな」

「そう見えましたか? すみません。彼女は少し難しい性格をしているので、つい」

 シンキはカギツキの命令に文句を謂う事はないのだが、カグリの名を聞いて少々苦い顔を浮かべた。

「確かに彼女は少々クセがあるが、今回の依頼に最も適している人物だ」

「・・・ですか。はい、わかりました。直ぐに連絡を取ります」
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