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「なにもない」
しおりを挟むこの村の住人は「なにもない」コトを「白い」と言う。
この村の住人は「村の外」へ出たコトが無い。
この村の住人は「村の外」には「なにもない」と思っている。
この村の住人は故に「村の外」はもれなく「白い」で埋め尽くされていると思っている。
この村の住人は「村の外」へ出る「門」の場所を知らない。
この村の住人は「臆病」である。
この村の住人は「変化」するコトを「好」まない。
この村の住人は故に「白い」自分たちが「好」きである。
この村の住人は「描く」コトを知らない。
この村の住人は「描く」モノをひとつも持っていない。
この村の住人は「読む」モノを知らない。
この村の住人は故に「文字」を知らない。
この村の住人は「自分」が何処から「来た」のか知らない。
この村の住人は常に見上げた「空」が「白く」見える。
この村の住人は「白い」家にしか住まない。
この村の住人は「白い」家具しか使わない。
この村の住人は「白い」服しか身に付けない。
この村の住人は「白い」自分たちが「好」きである。
この村の住人は「白い」世界を「愛」している。
この村の住人は「白い」で埋め尽くされた「村の外」が気になる。
この村の住人は「村の外」へ行く「方法」を知らない。
この村の住人は「白い」モノを「愛」している。
この村の住人は「白い」コトを「愛」している。
この村の住人は「白い」を「愛」し過ぎて遂に「見る」コトをやめた。
この村の住人は目を瞑って只管に「白い」世界の「夢」を見ているだけだった。
この村の住人は「瞼」を上げるコトがない。
この村の住人は故に何一つ「本当」の世界は「見えない」まま「生き」て「死」んで行くコトを「好」む。
この村の住人の「一生」は実に「幸せ」なコトだろう。
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